見出し画像

ここは、なんて呼べばいいの? 2

 ここ鶴居村は酪農の村だから農村という表現が相応しいように思えるが、60数年前にここで生まれたものとしては、「陸の孤島」という当時の表現が忘れられないでいる。今ではコンビニも村の中心部に出店し、「孤島」という表現は相応しくないだろうが。 


 ネットで注文すれば宅急便がありとあらゆるものをすぐに届けてくれる。このサイトも光ファイバー環境が完備されているからサクサク見たり編集したりできる。便利この上ない。
 しかしデニウス・ロキ(地霊)ではないが、この土地の歴史である「辺境性」は簡単には払拭できない。少し車で村内をドライブすれば、離農農家の農場や住宅が廃墟となって佇んでいる。一旦、山道に入ると昼でも暗く、帰る方向が分からなくなる。魅力的な齧歯類動物が跋扈する自然がすぐ直近にある。熊の恐怖が絶えず付き纏う。彼らはユクスキュルのいう環世界に住み、自分たちを擬人化する人間を嘲笑っている(あっ、これも擬人化だー)。


 この地に住むものは誰でも、辺境としての個性がこの湿原に隣接した一帯の、最大の特徴の一つだと気がつくだろう。グローバル化が進む21世紀にこうした辺境性は希少価値となるのではないか。さまざまな利点をあげて移住をすすめ、紹介するサイトは多いだろうが、「辺境」についてみんなでじっくり考える移住関連サイトがあってもいいだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?