親父のカレーライス
晩御飯どき、外にいると、どこかの家からいい匂いがしてくることありますよね。
魚を焼いているらしき匂いとか、おでんか何かを煮ている匂いとか、何かを炒めている匂いとか。
ごま油で何かを炒めている匂いなんか、食欲をそそられますよね。
中でも一番わかりやすいのが、カレー。
そしてだんだん我が家が近づいてきて、その匂いがウチのものだと分かると嬉しかったものです。
今でも、夕方ごろ住宅地を通っていると、どこかの家から夕飯のいい匂いがしてきます。
でも、我が家でないことだけは、確か。
どんな食事なのかな。家族は何人で、どんな風に食事しているのかな。
食べながらどんな話しをするのかな。
色々と想像は膨らみます。
家に帰れば食事が用意されている、というのは、こんなにもありがたいものだったんですね。
先日も、バイクで近所を走っていると、どこからかカレーの匂いがしてきました。
「いいなぁ。オイラも今晩カレーにしようかな。」
少し寂しさを感じながら我が家の前に到着すると
「??・・・・・・ウチだ!!」
カレーの匂いの発生源は、どうやら我が家でした。
台所へ行ってみると親父殿が「おう、カレー作ったで。」
満面の笑みでそう言いました。
コンロの上の鍋には、確かにカレーがぐつぐつ煮えていました。
母が居なくなってから僕同様、どうやら親父も料理に目覚めたらしい。
「カレーなんか作れるんや。どうやってやったん?」
「そんなん、鍋にお湯わかして、野菜と肉入れてルー入れて出来上がりや。カンタンなもんやで(笑)」
おとうちゃん・・・具材はまず炒めんと。(笑)
でも見た目はちゃんとカレーでした。
意外なことに、まぁまぁ美味しかったです。
久々の、ささやかな幸せでした。
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