【ラジオが好きでんねや】(36)絶体絶命
奇跡的に放送免許の更新がされたFMハイホーでしたが、B社長の放置プレーは依然として続いていました。
正味の放送に支障をきたすことはもちろん、弱小放送局の生命線でもある番組表、公式サイトも全く更新されず、すでに終了した番組がいつまでも載り続けるありさまでした。
これについてB社長曰く「こんなもん見てるやつなんかおらんやろ」
いやいやいや、
前回にも書きましたが、FMハイホーでビックリするような有名芸能人が番組を持つことになりましたが、
番組表にもサイトにも書かれていないので、その番組が存在することをどうやって聴取者に伝えるのか?聴取者はどうやって聴くのか?
まさに宝の持ち腐れ状態のまま、いつの間にかその番組は終了していました。
そんな状態ながらもパーソナリティの皆さんの頑張りで「超低空飛行」を続けてきたFMハイホーでしたが、
いよいよ大事件が起きました。それも連発で。
2021年6月、法人の(株)エフエム西大和と代表取締役(B社長)が労働基準監督署より書類送検されました。
Y局長に対する賃金の未払いです。
ついにFMハイホーの現状が新聞沙汰になってしまいました。
そして、
ある日、スタジオに入ると、中に見覚えのある巨大なラックが置かれていました。
隣町にあるFMハイホー本社に置かれていたもので、放送の根幹を担うマスター機器でした。
そこに社長が居て「一か所にまとめた方が効率的でええでしょ?」
えええっ?!?!
いや、そうかも知れないけど、こんな急にそんな重要なことする?!
っていうか、この機材を動かしたということは、その間放送出来てないよね?!
スタジオでは、社長の他に通信会社の職員さんが回線工事を行っていました。
すぐあとで解かったことですが、
本社社屋の賃料未払いで、ついに強制退去させられたのでした。
それで慌てて機材を運び出したということだったのです。
なんてことだ・・・
と、ともに、
僕はもうひとつ別のことで驚きました。
狭いスタジオの中で異様な存在感を放つ巨大なラック。
これを社長は1人で、一晩で運び込んでいたのでした。
とても信じられないことでした。
驚異的な体力です。
今まで放送局業務を放置してきたB社長とは思えない行動力でした。
やはりB社長としても、放送局が無くなるのは困るということでしょうか。
しかし関心している場合ではありませんでした。
バラバラにしてしまったマスター機器の数々。
「これ大丈夫なんですか?!」「なんとかなるやろ」
B社長は終始こんな感じです。良くも悪くも楽天家です。
しかし結局、最後まで元通りにすることは叶いませんでした。
それからというもの、今でもここで書くのが憚られるような、公共放送とは思えないような超簡易的手法で放送を続けることになるのでした。
2022年が明けてすぐだったかなと思います。
スタジオに行ってみると、先に着いていたパーソナリティさんが、3名のスーツ姿の男性と話しをしていました。
スーツの男性達は、総務省の職員さんでした。
本社に連絡がつかない為(そりゃそうだろう)視察に来たとのことでした。
放送法では、事務所や演奏所(スタジオ)の所在地が変更になった場合は総務省に届け出なければなりません。おそらくそれがなされてなかったのでしょう。
ついに総務省が動いた。
あぁ、ついにこの時が来たか。
僕は腹をくくりました。
今度こそ、本当にハイホーは終わる。
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