【吉松隆】今日行ったコンサートの感想:令和04年(2022年)06月18日(土)【ベートーヴェン】

ヴァイオリン:周防亮介
指揮:キンボー・イシイ
演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団

ベートーヴェン『ヴァイオリン協奏曲 ニ長調』Op. 61
 古典派だねって感じ。ホルンも2人しかいないし、ティンパニも主音と属音の2台だけ。昔、「長調の曲は聴く気が起きない」と言っていたら、Cyさんから「長調の曲ですが短調の展開が多いのでどうですか」と勧められたのだった。聴いてみて、結構好みでした。今回のカデンツァは誰のだったのかな。G線の低音から高音まで縦横無尽でした。重音奏法が恰好良かったです。
 ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン、レナード・スラットキン指揮、デトロイト交響楽団の演奏https://youtu.be/0Cg_0jepxow?t=30

アンコール:J. S. バッハ『無伴奏ヴァイオリンの為のパルティータ 第2番 ニ短調』より、「サラバンド」
 なんかどっかで聞いたことあるけど、バッハだっけ、もしかしてイザイ? とか思ってしまいましたが、J. S. バッハでした。ヴァイオリンひとりで弾き切る、聴かせ切る、作曲力、演奏力が素晴らしかった。
 ヒラリー・ハーンの演奏 https://youtu.be/A8GI6JZWM5c

吉松隆『鳥は静かに…』Op. 72
 吉松隆は鳥の作曲家。鳥の作曲家といえばメシアンですが、違うところは、ピヨピヨチチチといった鳴き声だけでなく、バサバサという羽ばたきや、スー……フワッという滑空と上昇を想起させるモチーフも使うのが吉松隆流。この曲はデビュー作の『朱鷺に寄せる哀歌』を思い出させる鳥の音楽。絃楽合奏で、ロマンチックでした。ヴィオラの持続音から始まってびっくり。絃楽四重奏的なところがありました。やっぱり各パートの首席奏者のみで室内楽的なアプローチをしたくなりますよね。一部、『交響曲 第3番』のモチーフがあったような。作曲年代が近いようです。
 藤岡幸夫指揮、マンチェスター・カメラータの演奏 https://youtu.be/KUeRgnhEEYU

吉松隆『交響曲 第6番「鳥と天使たち」』Op. 113
 現代の交響曲にはオーケストラにドラムスがいます。1管編成で小ぢんまりとした編成。ホルンは2人いるけどね。絃楽の中央にハープ、ピアノとトイピアノ。打楽器はドラムスと総合的打楽器奏者、そしてマリンバ兼ヴィブラフォン。
 第1楽章、「右方の鳥」。ハープでビートを刻むんですか!? 吉松隆、マリンバでリフ・オスティナートするの好きよね。前半は叙情的なんだけど後半はカオスでディオニュソス的になって来る。このあたりは『トロンボーン協奏曲「オリオン・マシーン」』を思い出す。ピアノが完全にベースなんだけど、やっぱロックが好きなんですねえ。
第2楽章、「忘れっぽい天使たち」。冒頭、木管奏者がオカリナを吹く。ポーっと柔らかい靄のよう。そしてピアノの煌めく音の散らばり。ヴィブラフォンが活きて来ますね。第1楽章ではオーケストラ・ワルツが出て来ましたが、今回はハープとピアノのワルツ。本当に叙情的。チャイコフスキーの『交響曲 第6番 ロ短調「悲愴」』が引用される辺り、大変悲しげで美しい。なんかシベリウスの『交響曲 第6番 ニ短調』も引用されているらしいですが、私は普段シベリウスを聴かないので、分かることが出来なかった。分かったらもっと深みが増すんですけどね。
第3楽章、「左方の鳥」。フィナーレ。ジーグなのかな? って思いましたけど、解説には三連符って書いてありました。じゃあジーグじゃないですね。ベートーヴェンの『交響曲 第6番 ヘ長調「田園」』が引用されています。爽やかですね。清々しく美しい中に、結末に向けて盛り上がって走って行く熱量がある。
 吉松隆、一柳慧とか池辺晋一郎みたいにもっと交響曲書いて欲しいんだけど、シベリウスに倣って次の第7番で終えてしまうのだろうか? 若しくは、それすらも書かないのだろうか!? 寂しい! もっと書いて!!! あ! 1階席に吉松さんいらしてたみたいですよ!
 飯森範親指揮、山形交響楽団の演奏 https://youtu.be/EieAuBQMEdM