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幼き日の水泳大会

足下が見える。さっきまではあんなに賑やかだったのに今は黒い怪物か何かが大きな口を開けている。静かだ。

心臓の音が聞こえる。

孤独だ。

乾いた音が鳴り響いたと思ったら、手の指先から足の指先まで目の前の黒いやつの大きな口に飲み込まれた。

静かだ。

いつもの25mプールより黒く黒く、深く深く、孤独で静かで先なんて見えやしない。

心臓の音しかしない。

何も見えない。この時間が早く終われとだけ思う。

本番に強いからって言われてたのを思い出す。強いのか、これ?

いつもの壁の触り心地も悪いし、くるりと逆さ間になった時にちらりと見えた外は別世界の様だし、カルキかな?こんな匂いしたっけ?

息が苦しいと思い始めた時、少し前が見えた。この黒い怪物から解放される時が近づいてるのに気付く。

いつもの壁の触り心地を感じ、ゴーグルを外した時、大声が聞こえた。



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