見出し画像

元企業英語講師、農家になる④<「ありがとう」の返しも「ありがとう」な農業という仕事>

受講生「ありがとうございました!」
わたし「いえ、どういたしまして。よくがんばりましたね。」
英語講師時代の講座最終日によくやったやり取り。
感謝されることの多い職種だったかも。 
でも受講生さんに「ありがとう」って言ったことあったかな?

今は農家になって、うちの野菜を買ってもらうと私が
「お買い上げありがとうございました!」って言う。これ普通。そしてここからが驚いた。
お客さまから
「いつも美味しい野菜ありがとう!」って返ってきた。それも何人もから。

毎日のように聞く「ありがとう」

何年か前に初めてお客さまに「いつも美味しい野菜ありがとうね」って言われたとき、正直驚いた。
「いやいや、ありがとうを言うのはこちらの方で」って返して。お互い笑顔になった。

無人販売所をやるようになってしばらくは、週に数人しか来なかったお客さま。
ここ数年はだいぶお客さまも増えたので、無人じゃない時にお客さまと話すのが私の楽しみでもある。
寒い日には「今晩冷えるから気をつけてねー」
暑い日には「水分とってねー無理しないでねー」
お互い声を掛け合うことも多い。
話しながらふと気づくのは、野菜を買ってもらってわたしが「ありがとう」なのはもちろんだけど、お客さまに「ありがとう」と言われることが多いこと。
毎日だれかに「ありがとう」を言って
毎日だれかに「ありがとう」って言ってもらう。
こんなに毎日何度も「ありがとう」を言うこと今までなかったな。
農家ってこんなに感謝される職業だったのか、とちょっと驚いた。

直接届けることの幸せ


農業をやってても直接お客さまとは接しない農家さんも多い。選択肢としてはアリだと思う。
でもわたしは直接お客さまに野菜を届けたい。
自分の作った野菜を「美味しかったわー」って食べてもらって、「友達も連れてきたよー」って笑顔でまた来てもらって。
「ありがとう」を伝え合うことで、お客さまとの距離が近くなる。
定期的に来てくれる近場のお客さま。
SNSを見て遠くから来てくれるお客さま。
レストランや旅館で野菜を食べて、帰りに寄ってくれるお客さま。
「顔の見える野菜」とか言ってスーパーに顔写真がある意味はあんまりわからないけど、私が直接会って話ができるなら、「ありがとう」を伝える意味がある。

「ありがとう」は伝わる

農家って作物を作るときに、自分の力の及ばないこともある。天候に負けたり、力が及ばなすぎてがっかりしたり、落ち込むこともあるけども。
だからこそ、いろんなことに感謝するのかな。

雨が降って雨に「ありがとう」
晴れてくれてお日様に「ありがとう」
近くに土地を貸してもらって「ありがとう」
買いに来てくれるお客様に「ありがとう」
元気でいてくれるこた社長に「ありがとう」
応援してくれる家族や友人に「ありがとう」
野菜が元気に育ってくれて「ありがとう」

その「ありがとう」はきっと野菜に伝わって、野菜を食べた人にも伝わって、そしてわたしたちに戻ってくる。

農業に挑戦しようかどうか迷っている人がいるなら、ひとまず挑戦してみたらどうかな、と伝えたい。
きっと今まで感じなかった「ありがとう」をたくさん感じることができるから。
たとえ農業から離れることになっても、その「ありがとう」の気持ちは忘れないと思うから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?