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「薬を一錠選んで下さい」の最適解

【問題】

先日、Twitterでこのようなツイートが流れてきた。
4種類の、現実ではあり得ないような効能の薬があり、そのどれを選ぶかという問題である。
私なら圧倒的にあの色の薬一択だと思うのだが、皆さんならどれを選ぶだろうか?これについてはTwitter上でも様々な意見が飛び交っていた。
私はこの問題について、仕事中であるにも関わらず熟考に熟考を重ねた結果、非常に画期的な見解にたどり着いたので、本記事ではその詳細について述べていきたい。

まず4種類の薬の選択肢を書き出していこう

①預金残高が50億円になる(赤)
②亡くなった誰かを健康な状態で生き返らせる(青)
③心身の痛み、辛さを感じなくなる(黄)
④病気に一切かからない(黒)

この中から選べるのは1種類、使えるのも1回のみという前提で考察していく。

【赤】
まず一つ言えるのは、今すぐに現金が必要で切羽詰まっている…例えば借金取りに追われていたり、身代金を要求されていたりする人でなければ、赤を選ぶのは愚の骨頂であるということ。
よく考えていただきたい、青も黄も黒も、他の3つの薬は自分で服用しなければ50億円以上でも売れるぐらいの価値があると思わないだろうか。
もちろん、どうやって売るかという問題は付きまとうが、これだけの効能の薬ならもっと高値で取引されても良い、製薬会社や某ロン・マスクなどに持ちかければとんでもない価格で取引できる可能性がある。

というわけで赤の薬の選択肢が消えたところで、次に他の薬を自分で使うことを考えてみよう。

【黒】
黒の薬は「病気に一切かからない」だが、これは例えば親族のほとんどが癌などで若くして亡くなっている家系の方など、自分が重い病気にかかるリスクが高い場合には有効かもしれないが、いかんせん体感が薄い。大病をせずに寿命をまっとうしたとして、それが本当にこの薬の効果だったのか、単に自分が健康だったのかは藪の中となる。それに私も親族に癌で亡くなった人はいるが、皆ある程度高齢になってからだったので、その辺りを鑑みて有効性を考えると一旦選択肢としては魅力は薄めだ。

【黄】
では黄の薬の「心身の痛み、辛さを感じなくなる」はどうだろう?
てかこれっていわば無限モルヒネみたいなものではないだろうか…。
確かに痛みや不安が消えるのは一見良いことのように思えるのだが、そもそもなぜ痛みや不安が存在するかというと、それは人の行動にブレーキをかけるためなのだ。例えば足を骨折した時に痛みがなくそのまま動き続けることができれば、折れた足はさらに壊れていきいずれ取り返しがつかなくなる。
また、心に痛みや恐怖があるから、人は危険な行動をせずに済んでいるとも言える。何をしても痛くないし何も辛くないなら、その無敵感から何にでも立ち向かって行けてしまうし、どんな危険な行為も可能になってしまう。
皆さんもスーパーマリオでスターをとって無敵になった時、調子にのってそのまま落下してゲームオーバーになった経験はないだろうか?
「無敵の人」という言葉が少し前に流行ったが、無敵感というのは時に人を狂わせるものなのだ。
もしこの薬を飲んで、肉体の痛みを感じず無敵感を得て、それで他人を傷つけても心すら傷まない人間になってしまったら、それこそバイオハザードのゾンビと何ら変わらないのではないだろうか?
私は黄色の薬の服用は一番おすすめしない。

【青】
では残るは青の薬だ、これこそが私の大本命である。
まず、「亡くなった人を健康な状態で生き返らせる」は自分の内的な問題の改善ではなく、物理的に視認できる(死人だけに!)効能だ。
それが何を意味するかというと、死人を生き返らせる模様を映像に収めることができる。もうこの時点で圧倒的に強い。それは世界中の誰もが夢見た魔法であり、ドラゴンボールの世界観そのものだ。生き返らせるついでにYoutubeに動画をアップするだけでかなり儲かるだろう。
しかし、問題は誰を生き返らせるかである。

誰を生き返らせるかによって動画の再生数や話題性も変わってくるとか、そんな小さな問題ではない。考えてみればどんな偉人や有名人でも生き返らせることができるのである。そしてそもそもこの問題、赤の薬は服用すると銀行口座が書き換わるような世界観である、その世界観であればこの青の薬、現在肉体がない人でも生き返らせれるのではないだろうか…その場合、生き返らせる人によっては世界をひっくり返すほどの影響力があるだろう。

【誰を生き返らせるか問題】
誰にでも、もう一度会いたい身近な故人が一人ぐらいいるかもしれない。でも私はせっかく50億円や、病にかからない身体や、ほとんど麻薬みたいな薬を蹴ってこの青の薬を選び、それを金持ちにさらに高額で転売することもなく自ら使おうとしているのである。
どうせ生き返らせるなら、もっと世界にとんでもないインパクトを与える人間を生き返らせたいと私は考えたのだ。
アインシュタインやレオナルド・ダ・ヴィンチなどの天才をかなり若い状態で蘇らせれば現代でもとんでもない活躍をするのではないだろうか、とか、妄想は膨らむ一方だ。

そんなわけで、色々と候補を挙げた中から今回私が選んだ、この青の薬で生き返らせる人物、それは…

「イエス・キリスト」である。

現在、世界最大の宗教勢力はキリスト教であり、信者は約23億人ほどと言われている。これはいわば、「史上最も崇拝されている故人」である。正直ブッダとも迷ったが、宗教としての規模と「復活」との親和性で最終的にキリストを選んだ。おそらくこの人の復活が一番世界を震撼させることは間違い無いだろう、そしてその復活の模様を記録した映像はYoutubeでとんでもない再生回数を叩き出し、私は約2000年ぶりにキリストを復活させた男としてキリスト教圏の国々では英雄となり、崇められ、めちゃくちゃにチヤホヤされつくし、モテにモテまくり、しまいには聖書にその名を刻むこととなるだろう。その価値を無理やり金銭に換算したとして、もはや億円兆円レベルではない。

そういうわけで、私は青の薬一択と思うのです。

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