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Nujabesとshing02と高橋源一郎〜名前が持つノスタルジー〜

人生のなかで読んだ全ての小説がそうであるように、「さようなら、ギャングたち」もまた出会えてよかったと思う作品である。

しかし、歌の歌詞というものはまちまちだ。歌詞に感動して曲をヘビロテすることは稀だ。だってメロディーが良くないと聞く気起きないし。というような桑田佳祐もびっくりな論法で聴いている。

そんな俺でも、shing02の歌詞とNujabesのトラックには流石に目を向けざるを得なかった。Luv(sic)全編完成に12年かけたって、それは天才たちが推敲の末出来上がったものだもん、傑作に決まってるよね...

その中でもお気に入りの歌詞は

Never same, everything but the name, all fresh just like back then, how we do everyday(名前以外同じものはもう何一つない。昔いつもやってたみたいに、新鮮に生きるんだ)

名前以外同じものはもう何一つない。しかし、高橋源一郎の世界では名前さえも移ろいゆくものになっている。各々が自分に名前をつけ、古くなった名前たちは役所の裏の川に捨てられ、子供らの悪戯対象になる。

眠れない夜に初恋を思い出し、クーラーが効かない教室を懐かしむことができる。2度と手に入らないそうした記憶に温かみを添えてくれるのが、いうまでもなく名前の存在だろう。

名前だけが絶対な世界に生きている私たちにとって、名前が移ろいゆく世界は当然信じられたものではない。しかし、別れの間際、おんぶをして一緒に歩いたキャラウェイちゃんと「わたし」の間には、確かに愛があり、その表現に涙した。そこがこの小説のすごいところであると感じた。

はっきり言うとこの作品を完全に理解できないので、これ以上語るとどんどん細く薄くなっていきそうだから、ここら辺でやめます。曲も小説も、どちらも、これからも大好きです。

した。


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