こんにちは。フリーキュレーターの牛込麻依です。
2023年10月に参加しているAIR日高村の活動レポートをお送りしています。
AIR日高村
本日はお休みをいただき、他の仕事などを進める1日でした。この機会に、過去参加されたアーティストさんたちについてまとめておこうと思います。
まず、私が参加しているAIR日高村について。
全国各地で行われているアーティストインレジデンスのプログラムと異なり、日高村では「関係人口創出」「人手不足解消」に重点が置かれているわけです。
使っている助成金も、芸術系でよく使われる文化庁のものではなく、地方創生の文脈のもの。それゆえ、創作活動、制作作品の提出義務がないのが特徴です。
また、「カウンターパートとなる事業者のもとで、規定の雇用条件で就労していただくプログラム」となっています。簡単に言うと、滞在中には日高村の事業者(主に農家さん)のもとで、農作業などの業務をやってね、ということです。
アーティストインレジデンスというと、どうしてもアーティストは何か制作しなければ!何か発表しなければ!となると思いますが、その義務がないプログラム。滞在中何も作らなくてもOK。何もしなくてもOK。
それよりも、地元の事業者さんとたくさん交流して、シンプルな人手として活躍することに価値が置かれているんですね。
でも、単純に人手が必要なら、アーティストでなくてもいいのでは…?アーティストインレジデンスをすることの意味はどこにあるのだろう…?
まだまだAIR日高村を理解するには奥が深そうです。
2021年度参加アーティスト・久保田舞さん
AIR日高村が最初に実施されたのは2021年。初回の参加者は埼玉県からお越しのダンサー、久保田舞さん。
コロナ禍で環境の変化があり、自分自身と活動方針を見直した久保田さん。「地域」への興味を持ち、地域へ飛び込む経験としてAIR日高村を活用されたのですね。
先日お伺いしたnossonさんもインタビューしていらっしゃいました。
こちらでも「地域と舞台芸術の関わりをもっと密接にできないかなと思うようになりました。」とお話しされてますね。
滞在中は、ショウガや文旦を生産している壬生農園さんでお世話になったそうで、休みの日も日曜だけ。あとはほぼ全ての時間を農業に充てていたというから驚きです。
10日間の滞在の中で、とにかくインプットをされた久保田さん。毎朝のルーティーンとして体を動かしつつも、壬生農園での農作業や壬生ファミリーとの交流を経て、さまざまな「カケラ」を集めたそう。
AIR日高村は、滞在時間も約2週間と短めです。その中で、作品制作に充てる時間も少ない。インプットに専念された久保田さんの滞在は、今後の活動に生かされる時間となったようです。都会の生活では体験することのできないさまざまな「カケラ」を集めることができるアーティストインレジデンスの形もありなんですね。
2021年参加アーティスト・葉栗翠さん
2021年2人目の参加者は、横浜育ちの画家・葉栗翠さん。
2週間の滞在中、トマト農家の日高みよし農園でトマトの収穫作業に従事した葉栗さん。久保田さんと同様、1日のほとんどの時間を農作業に費やしたそう。
インタビューの中でも、「私は地域で働くということに魅力を感じて、日高村に来ました。」とお話しされていますね。
トマトの収穫作業の他にも、地域の方に連れられて狩猟に連れて行ってもらったり、こんにゃく作りの現場に立ち合ったり、農園の中だけの活動にとどまらず、たくさんの方と繋がり、交流し、唯一無二の経験をされたことが伺えます。
都会では体験することのできない自然のなかで、普段の生活では触れることのない方々との暮らしに寄り添った葉栗さん。かけがえのない経験からの収穫=インプットが多かったことでしょう。
成果発表を義務としないからこそインプットに集中し、満足のいく経験ができるのかもしれませんね。
お二人には個人的に直接インタビューをさせてもらいたいところです。
本日はこんなところで。