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旅が狂うほど好きになったきっかけ。

初めて飛行機に搭乗したのは、中2の夏休みでした。小6の時、旅行パンフレットで見た沖縄の青さが頭から離れなくなってしまい、いつか絶対に沖縄に行くんだと決めていました。

テストで10位以内に入ったら、沖縄に行かせてほしい。そう両親にお願いし、ガイドブックを脇に勉強して勝ち取った沖縄行きのチャンスでした。

どうやって旅を始めるのか。中学生で、もちろんスマホなんてない時代だったから、迷わず日本交通公社(現JTB)のカウンターに通いました。今思えば何度も何度もやってくる中学生の相手をよくしてくれたなあと思います。

往復の航空券、2泊分のホテル予約、渡嘉敷島への1泊2日のオプショナルツアーを手配してもらい、いざ出発!

小牧空港に到着し、まずは同じ沖縄に出発する人を探しました。そこで出張に出かけると思われるスーツ姿のビジネスマンに目を付けます。

「すいません。初めて飛行機に乗ります。教えてもらえますか?」

なんて怪しいんでしょうか。いきなり声をかける中学生。でも、親切にチェックインを手伝ってくれ、出発までの時間喫茶店で飲み物までおごってくれました。席も隣に指定してくれ、機内でもいろいろと話をしてくれました。

那覇空港でお礼を言って別れ、この旅行中困ったら周りに頼ろう。そう誓いました。

那覇から3時間くらいかけて移動した本部のホテルに2泊したのですが、チェックアウト当日、台風による暴風雨で路線バスが全部ストップしてしまいました。

那覇に移動するためにはタクシーに乗るしかありません。こまった。そんなお金ない……。そんな時、親子連れの旅行客をロビーで発見。そこに狙いを定めます。

「すいません。3分の1払いますので、タクシーに同乗させてください」

不憫に思ったのか、快諾してくれ、無事那覇にタクシーで向かうことができました。そして、お金はいいよって、言ってもらいました。

翌朝は曇り空でしたが台風は去りました。その日はオプショナルツアーに参加予定でしたが台風の影響で中止。さて、どうしようか。計画が崩れた。こんな時は周りを見渡すのだ。誰か見つけるのだ。

するとそこにタクシーの運ちゃんに観光タクシーを勧められている若いカップルを発見。ちょっと高いなあと言っているのをよいことに、さっと前に現れてまた同じセリフを。

「すいません。3分の1払いますので、タクシーに同乗させてください」

今思えば、19歳のカップルがよく見ず知らずの中学生を乗せてくれたなあと思うわけです。「ぜんぜんええよー」と大阪弁で快諾してくれました。

ジョージさんとミエさんっていう大阪から長期で旅行に来ているカップルでした。当時の自分からは本当に大人に見えました。お兄さんとお姉さんのように、仲良くしてくれたんですよね。

タクシーの運ちゃんもすごいいい人で、一日が終わったら、おいしいステーキ屋さんがあるから、みんなで行こうか? ここからは自家用で運転するから。那覇からちょっと北にあるステーキ屋に連れて行ってもらい、そのあとはなんと、運ちゃんの家にも招待してくれ、いろいろと話をしました。

僕の中で本当にこの体験が強烈で、こんなに初めて出会った人たちがあたたかく仲良くしてくれるなんて。旅って素晴らしい! となったわけです。

ちなみに、愛知県に戻ってから、ジョージさんとミエさんと文通までしていました。二人ともすごく長い手紙を書いてくれて、「南へ走れ、海の道を! て映画観て! 沖縄舞台だよー」なんて中学生の僕にはハードすぎる映画を勧めてきたりしました。そして、二人は愛知の僕の家に泊りがけで遊びにも来てくれました。さらに、僕も大阪の二人が同棲する家に泊まりに行かせてもらい、奈良生駒山上遊園地に夜中に侵入し、ジェットコースターのレールを登るという、エキサイティングな遊びまで体験させてくれました。

14歳の自分を対等な友人として付き合ってくれた二人との出会いは、いま、年齢関係なく大学生からおばちゃんまで対等に仲良くできる自分にきっと何かを与えたのだと思います。

ちなみに、その後二人は別れてしまい、何となく手紙を出さなくなってしまいました。

4泊5日の沖縄旅行は格別でした。台風という厄介者が、素晴らしい贈り物を僕にくれたのです。こんな体験をしたらそりゃ、旅にはまりますよ。





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