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あなたがあなたの気持ちを殺さないで

夢とか理想ってやつは、やっぱりどうしようもなく強くて。でも、それが全てではないんだってことを、あなたに覚えていてほしい。



この前、書く仕事がしたいって宣言した。
正直にいうと、投稿した後は「やっちゃったなぁ」なんて思った。
やっぱり夢とか理想ってやつはどうしようもなく強くて、人はそれに抗えないんだなって、ちょっと愕然とした。べつに後悔しているわけじゃないけれど、どうしようもない人間の性を見せつけられたような気分だった。

あと、なんていうか。
わたしの宣言で、だれかが追い詰められていたらイヤだなと思った。
だって、わたしがずっとそうだったから。

「夢を追いかける人」
「前に進み続ける人」
やっぱり世界はそういう人に優しくて。
そういう人を手放しに応援していて。
たしかに、そういう人たちはとても眩しくて、気づいたら目の前が真っ暗になってしまうこの世界では、わたしたちを導いてくれる光でもあって。

でもそんな世界のなかで、わたしはずっと「夢をもつことがこわい側の人間」だった。
「一緒に夢をかなえよう!」なんて言いながら、手を取り合って前に進む人たちを、ただ見送る側の人間で。「あぁいいなぁ」って思いながら、前でも後ろでもなく、ただそこに立ち止まっていて。この世界に自分の居場所なんてないんだと、ずっと思っていた。
大げさでもなんでもなく「死にたい」ってずっと思っていたし、でも死ぬ勇気もなくて、だからなんとなく生きているしかなくて。
生きる意味なんて考えたくもなくて。ていうかそんなの考えたらまた死にたくなるってわかっているから、考えることさえしたくなくて。
だから、もう、ただただそこに立っているしかなくて。

いまは「夢を宣言したわたし」になったけれど。でも、だからこそわたしは、あの「死にたい」という、どうしようもない気持ちを忘れたくなくて。ていうか、あの気持ちと一緒に生きていかなきゃと思っていて。
きっと、わたしだけじゃないと思うんだ。
夢、希望、理想。それらに向かって歩くことが当たり前であるこの世界に、心が引き裂かれそうになっているのは、たぶん、わたしだけじゃないから。

そりゃあさ、ずっと前を向いていられたらいいなと思うよ。健やかで、笑顔で、美しくいられたら、どんなにいいだろうと思う。
でも、そんなこと続けていたら、壊れてしまう。
人の心は、案外かんたんに壊れるって、わたしは知っているから。

「推しのために生きる!!」とか
「あしたは資格の勉強がんばるぞ!!」
なんて健やかに笑っていた人が、次の日にはこの世からいなくなっている、なんてことはけっこうあって。そのたびに思うんだ。
「あぁ、もうムリだったんだな。なんか、もういいやってなっちゃったんだ」って。
その「もういいや」が、わたしには痛いほどわかるから。

だから、いいんだよ。
前を向けなくったって。
夢なんかなくったって。
健やかさのカケラもなく、ぐっちゃぐちゃのどす黒い気持ちに覆われていたって、べつにいいんだよ。人の成功を喜べなくったっていいし、関わる人すべてにイラついていたって、べつにいい。
「こんな気持ちダメだ」って否定しなくていい。

あなたがあなたの気持ちを殺さなくていい。
あなたはあなたのままで、生きていていいんだ。


かくいうわたしも、宣言したはいいものの「夢の宣言なんてクサいことをしている自分」に吐きそうになっていたりするし。いまだに一日に一回は「言わなきゃよかった」って思うし。
なんか「夢に向かって走っちゃう自分」と「いやだぁぁ」って思う自分に振り回されて、じつは「二重人格」なんじゃないかって自分を心配したりしていて。
優しくいようとするけれど、ホルモンバランスがぐっちゃぐちゃで、すべての人に「クソが!!」って思ったりもするし。なんなら「みんな消えればいいのに」って思うことすらあって。

でも、それでも、生きてるんですよ。
どうしようもなく、生きている。

だから、だいじょうぶ。

「夢をみろ、健やかで、美しくあれ」
それがさも当たり前であるかのようにいう不健康な世界の言いなりになんてならなくていい。

どんなにぐっちゃぐちゃで、どす黒くて汚くても、あなたの中から生まれた気持ちはあなたの大切な一部で。そんなカケラを抱えたまま、泣きながら眠って。つぎの朝、カーテンの隙間からこぼれる光を、にらみながら立ち上がる。ちゃんと、立って、生きようとする。
そんなどうしようもないあなたは、じつはこの世界でいちばん美しくて愛おしい存在なんだってことを、どうか、忘れないで。

あなたの居場所になるなんて、そんな大それたことは言えないけれど。

でも、こんなやつでも、生きているから。

だから、どうか。

あなたも、生きていてください。




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