和歌山刑務所長に聞く
゛和歌山刑務所゛大阪管内の女子受刑者を収容する刑務所ですが、これまで内部からの情報発信がまったくなかったため、地元の人も刑務所の建物の外観は知っていても、中がどうなっていて、どんな生活が存在しているのかほとんど知られていませんでした。
最近、刑務所長が交代になったのですが、新任の所長は和歌山刑務所について、地元の人に正しく理解して欲しいとの考えであり、特別に取材を許可していただくことが出来ました。
というわけで、わたくしめがドキドキしながら刑務所内部を案内してもらい、所長さんから説明を聞き、感じたことをまとめてみました。
まず最初に、全国には75カ所の刑務所があり、和歌山刑務所は4番目の規模の刑務所になるそうです。和歌山刑務所の定員は500名、現在約400名(うち外国人約50名)を収容しています。
一番驚いたことですが、今いる受刑者達はどんな罪を犯して入所しているか聞いてみると、約半数が覚せい剤関連の罪であるということにびっくり。
日本の社会にも確実に覚せい剤の波が押し寄せてきているのです。
次に多いのが窃盗で受刑者の約3割を占めるそうです。
最近の傾向として、覚せい剤がらみで外国人の受刑者(約8割がアジア圏)が増えて来ているといいます。
現在、和歌山刑務所に入所している最高齢の受刑者は88歳。どんな罪で入ったのか聞くと、万引きの常習者だとか。
いよいよ鉄格子の扉の向こうにある受刑者房に入ります。(ちょっと緊張しました)
受刑者達の主食は米と麦を配合したもので、食費は一日3食分で約520円。
部屋は一人部屋もあれば6人部屋もあり、テレビが据え付けられている部屋もありますが、視聴時間や番組を勝手に選べるわけではありません。
刑務所内には小さいながら図書館もあります。余暇時間には読書、通信教育(簿記・校正・ペン習字など)、クラブ活動(聖書研究・茶道・俳句・コーラスなど)も行っています。
エアコンはありません。夏でも扇風機だけです。
ドラマや映画などで、刑務所の食事の写真や個室の様子を見た時、私たち一般人の中には「ちょっと恵まれすぎている。我が家よりいいもの食べてるじゃないか」などの感想を持つ人もが必ずいると思います。
そもそも刑務所とは「罰を与えるところ」なのかそれとも「更生するための場所なのか」によって、処遇に対する感想も変わることでしょう。
受刑者たちは決してのんきに暮らしているわけではありません。毎日きちんと刑務作業(職業訓練)があります。(監視されながらですから気楽なものではありません)
作業の収入はすべて国庫に入りますが、就業者には作業報奨金が支給されます。(職種にもよりますが、一ヶ月働いて約3~4千円といったところだそうです)
望月所長に聞くと、和歌山刑務所に限らず、現在の日本の刑務所が抱える大きな問題は゛受刑者の高齢化゛だそうです。
刑務所の中で老いていき、職員から毎日おむつを替えてもらう受刑者もいます。
刑務所内部を二時間近く案内してもらって刑務所の外に出た時、私は、大きく空気を吸って「ああ娑婆の空気はうまいなぁ!」と思わず口にしたくなりました。笑
刑務所の内部は運動場もあるし、ホテルのようにこぎれいな中庭もあります。でも、いくら食事が健康的で美味しいものであり、部屋がきれいだろうと、゛自由がなくて刑務所以外どこにも出られない゛ということは本当に耐え難いものだということを強く感じました。
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