1*帰り道で
バルアトルケ物語Ⅲ*1
「アリィ、ぼく、思い出したことがあるんだ。エルフィの言い伝えの本にドラゴンのことが書いてあって、そのドラゴンは、ルミナ島に住んでいるんだ。ピリルの名前の「ル」はルミナ島のルなんだよ。」
突然言われたアリィはびっくりした顔をしています。セオナルドはピリルのなまえの由来について話しました。
「・・・その言い伝えの本はどこにあるの?」
エルフィの言い伝えの本は、セオナルドのおとうさんが大切に保管しているのでどこにあるのかわかりません。
「お父さんに聞かないとわからないんだ。」
「お父さんたち、はやくかえってくるといいね。」
ふたりは気持ちがはやり、小走りになって家へと急ぎました。
「ただいま!!」
セオナルドとアリィが家に着くと、おかあさんはちょうどオーブンからケーキをとり出したところでした。焼きたてのあまいいい香りがしています。
「あら、ふたり一緒だったのね?おかえりなさい。ちょうどよかった。ケーキが焼けたところよ。おとうさんたち、いつもより早く帰ってくるんですって。もうすぐよ。手を洗ってきなさいね。」
「は~~~い!」
セオナルドとアリィは元気よく答えバスルームへと行きました。
一つの蛇口を二人で使いながら
「おとうさんたち、早く帰ってくるって。本の場所を聞かないと。」
「よかったね。わたしセオナルドのおかあさんのケーキ大好き。」
手を洗いおわり、タオルで拭いているところで
「ただいま~~~!わあ、いいにおいだ!グッドタイミング!」
カイトの声がしました。セオナルドのおとうさんがおかあさんに何か話している声も聞えます。
「みんな!お茶にしましょう!」
セオナルドのおかあさんの声にみんないっせいに答えました。
「は~~~い!!」
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