18*ゆめのなか
バルアトルケものがたりⅣ*18
サクッ サクッ サクッ
雪を踏みしめる音が静まり返った木々の中、きこえています。
どこへいったんだろう・・・?
必死になって探していたのに、何を探していたのかわからなくなるくらい長い時間が経っていました。世界は白い雪に覆われて、それまでのすべての痕跡をみつけることはむずかしく、振り返っても見ることができるのは自分の足跡だけ。やみくもに歩き回っていたのか、いちめんに足跡がついています。
モノクロの世界の中で小さな赤い色をみつけ、ほっと一息をつきました。小さな赤い色は何かの実でした。小さくともるようにそこにある色に触れたくて手を伸ばした時、自分の手に色がないことに気づきました。
手は半透明で向こう側が透けて見えます。自分の体を見てみると、来ていた服も見えず、体にも色はなく、半透明です。
えっ?ぼくはどうなっちゃったんだ?
セオナルドはパニックになりました。ここに来るまでのことを思い出そうと懸命に考えます。考えているうちに、周りの景色がぐるぐると渦を巻いてきました。
白い雪の色、黒い木々の影が混ざり合っていきます。まわりがすべて灰色になって1メートルほど先の地面が割れ、すべての色が吸い込まれていきます。足元が揺れ、体が引っ張られます。セオナルドは何かにつかまろうと赤い実に手を伸ばしますが、遠ざかっていきます。
僕はそっちには行かない!いやだ!いやだ!
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