14*おかしな格好をした女の子
バルアトルケものがたりⅡ*14
セオナルドとピリルは川に木の葉を流し、どちらの葉が先に流れていくのか、競争しています。
「葉っぱは、真ん中においたほうが速く流れるね!」
ピリルが言いました。
「うん、旅の勉強のとき、まっすぐな川の中を歩いて渡るときは、真ん中は流れが速くて、深さもふかくなっているから気を付けるように、って習ったよ。川が曲がってたら違うんだって。」
セオナルドが言いました。
「そうかあ、ぼく、深い川は渡りたくないなあ。」
ピリルはじっと流れていく葉をみています。
ポチャン
葉のそばに何かが投げ込まれました。
セオナルドとピリルは川の向こう岸を見ましたが、何も見えません。
ポチャン
今度はふたりとも、石が投げ込まれたのが見えました。
二人は顔を見合わせて、シィーっと合図をし、静かに、周りを散策しました。
川を少しくだり緩くカーブを描いているところに、エルフィの女の子が小石を川に投げ込んでいるのをみつけました。
川岸には背の高い茂みがところどころにあるので、その女の子からセオナルドとピリルは見えていないようです。
なんだか変な格好をしているな ここらへんではみたことないぞ
セオナルドは茂みに隠れ、様子をうかがいながら思いました。
ピリルは少し離れた大きな木に隠れて見ています。
その子は頭に大きなゴーグルをかぶり、かなり大きなサイズのカーディガンを羽織っています。カーディガンの下には、ビニールのようなものでできたつなぎを着て、長靴を履いています。
「アリィ!もう行くぞ!」
大人の男のエルフィの声にその女の子が反応した時に、正面から顔が見えました。金髪のショートヘアで、片方の横の髪の毛だけが長く、カールしています。大きな目は真っ青で、光っています。いたずら好きそうなのがひとめでわかります。
その子は声のする方へ走って行ってしまいました。長靴が重そうで、カーディガンは手の先までぶらさがり、なんともおかしなかっこうです。
「なんだかおかしな格好をした女の子だったね。」
ピリルが言い、セオナルドもうなずきました。
あの子、誰なんだろう・・・?
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