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一人勝手に回顧シリーズ#フランシス・F.コッポラ編(10)#ニューヨークストーリー/小粋な3話オムニバス

【映画のプロット】
▶︎M.スコセッシ編"Life lessons"
油絵の具が、塗り付けられた布や新聞紙。ドビー(ニック・ノルティ)は、アトリエを歩き回る。床に置きっぱなしのグラスを手に取り、酒を飲む。絵の具のチューブを踏みつける。ドアのベルが鳴る。
"調子は?昼飯は?"
男が、エレベーターで、上がって来る。
"レストランでの会話だ。チョコ・プディングって?チョコ・ムースみたいさ。"
"仕事を見せないのか?"
"見せる物が、ないんだよ。無駄だ。"
"いいから。"
"ないと言ってるだろう。俺は、眠りたい。"
"描けないなら、食事をしよう。"
"助手を、空港に迎えに行く。タクシーに乗りゃいいのに。"
"そうか。いつ来たら、見せて貰えるかね?個展まで、あと3週間だぞ。"
ドビーは、エレベーター降下のボタンを押す。
"ライオネル。20年間、個展のたびに、これだ。いつだって、上手く行くだろ?自信を持て。"
ドビーは、空港で、助手の到着を待つ。
恋人のポーレットに出会う。
" Hi. "
" What are you doing here? "
"タクシーに乗せたくない。"
"私の伝言は?"
" What? "
"留守電に、戻らないと。"
"戻らない?戻ったじゃないか。"
"留守電(machine)を聞いたら?"
"怖い事を言うね。machineを聞く?"
"フロリダは、女友だちとじゃ、なかったの?"
" Oh, yeah. "
" Someone else. "
" Guy? どこだ?一緒なのか?"
"彼も送る?"
"君の選んだ男を見てみたい。"
"いないわ。"
"バスにでも、乗ったのか?"
"喧嘩して、私を置いて、先に発ったわ。"
" Left you? Left you. 君を捨てる男がいるのか?知っている奴か?"
"グレゴリーよ。"
"あのcomedian? "
" Performance artist. "
"何が、performance artitst だ。俳優や歌手なら、分かる。しゃれた名前で、気取りやがって。そんな奴に捨てられたのか?呆れたね。"
" I don't care. It's over. That's all. 私は、出て行くわ。だから、戻らないと。"
"出て、どこへ?金はあるのか?寄宿舎にでも?俺と寝たくないのなら、別に構わんさ。君は、火遊びして、目覚めた。雇用関係だけ、続けりゃいい。" 
" NYは、嫌。故郷へ帰るわ。"
"故郷に帰る?そいつは、また別の問題だ。さっさと、荷造りして、出てってくれ。ぐずぐずされると、俺が辛い。"
ポーレットは、車に乗り込む。
"Life lessons"のクレジットが、入る。
"♪彼女は言った 理由はないわ 
 考えれば 分かる筈
 苦しい思いに耐えて
 今更こんな事に
 16人の処女の1人として
 カリフォルニアに旅立つ "
2人は、アトリエに上がる。ドビーは、描きかけの2×4mほどのキャンバスに向かう。ポーレットは、荷物をまとめる。
"あいつの写真か。ずっと気がつかなかった。ハンサムだ。君が惹かれたのも、無理ない。"
"彼の舞台を?"
"見たよ。あんな男のために、NYを出て行くのか?"
"彼のために、出て行くんじゃないわ。別の事よ。"
ドビーは、ポーレットが、鞄に詰めるショーツを凝視する。
" It's me? "
"色々な事よ。"
" What things? "
"放っておいてよ。"
"それで、絵はどうする?田舎の物置をアトリエに?壁には、錆びた植木ばさみ。プールの浮きマット。壊れたソリに、ネズミ。ライオンのライオネル・ドビーを捨てる?俺の所に、住み込んで、カンバスを張る。給料付きで、人生勉強ができる。今なら、お買い得のチャンスですよ。いいか?君が出て行ったら、俺はどうなる?It's suieside. 君は、その年齢で、NYにいる。世界の中心にいるんだよ。今、出て行ったら、一生悔やむぞ。"
" I don't sleep with you anymore. "
俺は、君を汚い世間から守る。これからは、それだけだ。"

ドビーは、カセットで音楽を流す。キャンバスの前に立ち、1人で、バスケットボールで遊ぶ。ポーレットは、ベッドに腰掛け、電話。アトリエの音が聞こえる。
"ライオネル。やめて。" 
ポーレットの部屋に行く。
"音が、でかいか?眠れよ。"
"努力してるわ。"
ドビーは、ポーレットの抜き出しの足先を見つめる。 
"そんな格好で寝ると、明け方凍えるぞ。"
カーテンを、荒々しく開く。
"すまん。"
"何か持って来ようか?スープは?"
" Soup? "
"誰に電話を?OK。"
"頭に来るわ。"
新しい音楽が、アトリエに流れる。ドビーは、キャンバスに絵の具を、塗りたくる。暗い感じの抽象画。黄色、赤、青の絵の具を、キャンバスに置く。
ポーレットの部屋に入る。寝ていたポーレットが、起き上がる。
"ノックは?"
"どうぞと言ったかと。セーブルの絵筆がここに。確かに、ここに。"
"寝ないという約束よ。"
ポーレットのアンクレットを見る。
" What? "
"どうしたのかな。急に、足にキスしたくなった。仕事のプレッシャーで、頭がどうかしたらしい。フィリップスの奴が、あと3週間、あと3週間と、念仏みたいに唱えている。足にキスしたかった。 Sorry. 気にしないでくれ。何か欲しいか?"
ポーレットが、誘惑する。ドビーは、添い寝する。ドビーは、妄想から目覚める。
" So, you love me? "
" I love you. I said. "
"私が消えたら?"
"そうだな。屋上で、犬のように、吠える。"
" I don't love you. "
" So? "
ドビーは、また製作を続ける。
翌日。
人物2人が、手を取り、歩く姿。
"ずっと面白くなった。"
"面白いって?"
"退屈じゃない。この絵には、皮肉がある。"
" Irony? "
" Yeah. 悪くない。"
"緊張感は、どう?"
"悪くない。"
"いい加減ね。"
"俺に、そんな口を?"
"ものになるか、どうか教えて。私には、才能が?それとも無駄な努力?それならそれで、諦めるわ。Tell me what do you think? Com'on. "
"俺の意見が、何だ。大切なのは、君自身だ。描かないでいられないから、描く。才能なんか関係ない。描く事だ。22歳でものになるかどうか、誰に分かる。やめたきゃやめろ。始めたのが、間違いだ。始めたのが、間違いだ?何て、馬鹿な事を。クソっ。"
ポーレットは、母親に電話する。
" Hi, ママ。最低よ。I can't. 学校へ戻りたいわ。I don't know. そっちへ帰っても?もう、こんな街。"
"ライオネル。ライオネル。Music down. ライオネル。"
明るい色を、主体に、キャンバスに置いて行く。具象も浮かび上がる。
ポーレットは、化粧を直す。
"一緒に、行ってくれて、助かる。パーティーのホストのワーグナーは、不動産業者だ。ここへ来て、俺の肩に、手を回して、ジャクソン・ポロックの価値を?あいつのお陰で、この一帯の不動産が、値上がりした。それが、ポロックの価値だ。馬鹿な男だ。"
2人は、夜の街を歩く。
"俺には、68年以来、友達がいない。いるのは、ファン、別れた女房たち、ライバル。" 
"でしょうね。"
"意地の悪い言い方だ。"
誰かが、2人をカメラに収める。 
"髪に、糸が。"
"君は、俺を理解している。"
パーティー会場。
"俺は、陸軍の情報部で、ロシア人が、セックスしている絵を、対ソ戦が始まったら、その絵を、前線の兵士の上にまく。お前が、戦っている間に、女房が寝取られているぞ。"
"絵だけで、ロシア人と?"
"毛皮の帽子で分かる。だが、次の戦争は、ベトナムだった。"
"大先生と同棲してるって?"
"私は、助手よ。" 
"彼女も、アーティストだ。ポーレット。" 
"名字は?"
"ポーレットよ。"
"ライオネルの彼女か。"
"助手だよ。"
若い男が、ポーレットを見つめる。
"アトリエに通っているのか?50年代の作品を集めている。ロスコ、クライン。"
"今は、何も描いてないの。"
"個展は?"
"今は、開かれていないわ。"
若い男が、声を掛ける。
"  Excuse me, ちょっと彼女を借りるよ。すぐ返す。"
"俺は、その手の絵が上手い。体位もいろいろ。大尉が、6枚買ったよ。女房にプレゼントすると。"
"初めて、売った絵だ。"
"君も、アーティスト?"
ドビーは、ポーレットの様子を見る。
"兵隊は言う。生き延べられたら、めっけもん。" 
ポーレットは、若い男と踊る。
" Is that true? "
"あの男は?" 
"女たらしのリューベンだよ。だが、才能はある。"
" Excuse me. "
2人に割って入る。
"ドビーさん、光栄です。"
"話が。"
ポーレットを部屋に押し込む。
" What? "
"俺は、別に君の保護者じゃない。だが、君は、笑い物だ。"
" Why? "
"髪に油べったりのあの男、どこのパーティーでも、あの調子だ。世間知らずの女を騙す常習犯だ。口を出す気は、ないが、あいつが、君を傷つけたり、辱めたら。"
"作品が、笑われているのかと思ったわ。"
"この方が、悪いだろ?"
部屋のドアが、開けられようとする。
"俺が、先に出る。一緒に出て行くと、皆が色々、噂する。"
"ライオネル、ベルリンの画商のブルーム氏だ。"
"ドビーさん、よろしく。光栄です。"
部屋が、騒がしい。
"いいんだ。"
"ベルリンから?"
"西ベルリンです。ブルームです。いつも先生の素晴らしい作品を拝見しています。"
バースデーケーキが、運ばれる。
リューベンが、ポーレットを連れて行く。
ドビーは、1人でアトリエに帰る。ポーレットの部屋の明かりが揺れる。音楽をかける。キャンバスに向かう。音楽のボリュームを下げ、ポーレットの部屋を仰ぎ見る。明かりは消えている。ドビーは、上半身は裸で、椅子に座る。オペラを聴きながら、ポーレットの部屋を見上げる。絵は、完成したか。ドビーが、飲み物を飲んでいると、リューベンがやって来る。
"僕にもくれ。ヘトヘトだ。" 
"落書き専門か?" 
"厳しいな。"
ドビーは、音楽をかけ、またキャンバスに向かう。
ポーレットが、ドレスを手に取る。
"今夜のパーティー用だ。この間のパーティーでは、どうかしてた。謝る。"
"いいドレス。でも、今夜は、別の予定が。女友達と、袋小路クラブへ。"
"誰が出演?"
"私は、平気だと、彼に見せてやりたいのよ。馬鹿だと思う?"
"とんでもない。奴に見せてやれ。あんたなんかいなくたって平気だってね。奴に、面と向かって、言ってやれ。"
"仕事するわ。"
"仕事を言い訳にするな。君の仕事だって神聖だよ。女友達と行くなんて、女学生じみた腹いせだ。俺が行こう。堂々と、相手を圧してやれるぞ。''
"パーティーは?"
"こっちが、大事だ。奴に思い知らせてやれ。面と向かってな。"
袋小路クラブ。
"面倒は、嫌いだ。だが、好き好んで、喧嘩を売る奴がいる。この間、通りを歩いていて、男が、はずみで、俺の足を踏んだ。黙っているので、俺は、言ってやった。 Excuse me. そいつは、What?  俺は、引き下がった。そんな事で、喧嘩を?もし、喧嘩して、運良く、そいつを殺したら、お巡りが来て、お前は、なぜこの男を殺した?足を踏まれました。やり過ぎだよ。僕は、今朝目覚めた。そりゃ、毎朝目覚めるがね。でも、今朝は、目覚めた時の気分が、変だった。いつものように、憂鬱ではなく、悲しみも怒りもなかった。かと言って、幸せとか、和らいだ気分ではない。何というか、平静だった。満ち足りた気分じゃないよ。満ち足りてるって言う奴は、ぶん殴りたくなる。そんな気分は、まっぴらだ。だが、今朝の俺は、even. 最低だろ。"
舞台の照明が破裂する。舞台は、拍手であふれる。
舞台が、終わり、観衆は、バーフロアで、くつろぐ。
"奴に話を。"
"今夜は、疲れたわ。"
"いいから、行って話してやれ。いい舞台だったと、言ってやれ。"
ポーレットは、意を決する。
"グレゴリー。Hi. "
" Hi ポーレット。"
"ちょっと話を。"
男が割り込む。
"いやー、盛り上がっているな。友達を紹介するよ。"
ポーレットは、諦める。
"あいつ。" 
"ああいう男なのよ。"
"ドビーが来ている。あの青いシャツだ。"
"話したか?"
"余計な事を。"
ポーレットは、店を出る。
"クソ野郎だ。"
"それは、あんたよ。酷いわ。"
"俺は、君を愛している。君のためなら、何でもする。君が、手を出すなと言ったから、我慢している。何でもする。あいつを殺せと言えば、殺すよ。"
"やめて。"
" Listen me. Listen. "
雨が降っている。ポーレットは、ドビーにすがり、泣く。
"いいか。I love you. I love you. I do anything for you. 君のキャンバスを張るよ。"
2人は、夜の道を歩く。
" Do you love me? "
"そう言ったろ。"
"何でもする?"
"言えよ。"
" See, then. "
パトカーが、停車している。
"運転席の警官にキスして。Com'on. 愛しているのなら、やってよ。"
"キスしたら?"
"本物の愛の証拠よ。嫌なら、出て行くわ。"
ドビーは、パトカーに歩み寄る。
" Hey, hey. 見ろよ。"
"銃を?"
"素手だ。"
"イカれ野郎だぜ。"
ドビーは、車の中を覗く。
" What's up? もっと下がれ。車から離れろ。"
ドビーは、投げキスする。
警官も返す。 
" I love you, too. 消えな。"
ポーレットは、いない。ドビーは、1人、歩いて帰る。
"俺のためか?"
"何が?"
"その格好だよ。"
ポーレットは、ドビーのシャツを着ている。
"俺が、襲いたくなったら、どうする?"
"襲う?"
"平気でやるぜ。愛されている訳じゃないからな。レイプして、殺して、kill myself. "
"自分をレイプしたら。"
"俺は、いなくて同然の男なんだろ?"
" Good night. "
"やれるぞ。"
ポーレットは、ドビーの描きかけの絵を眺める。

ある日のバー。ポーレットと女友達。
"ハイジの展覧会を?"
"グループ展だけど。"
" Where? "
"エルパソよ。ドナルド・ダウドよ。"
"彼の個展を?"
"行ったでしょ?"
" Sorry. "
"忘れるなんて、呆れた。"
グレゴリーらが、入って来る。
"彼に、奨励金が。"
"親のお金よ。"  
グレゴリーが、やって来る。
" Hey. "
" Hey. "
"どう?"
"元気よ。"
"今、俺、袋小路に出ているんだ。いつか、観に来てくれ。
ドビーが、割り込む。
"観に行ったよ。大根め。"
"やめて。"
"何だって?"
"人の心を踏みにじって、平気なのか?"
ドビーは、背後から、グレゴリーの首を決める。
ドビーが、帰宅する。ポーレットは、アトリエの物をひっくり返す。
"よせ、俺への腹いせか?"
" Punishing you? "
"謝るよ。愛してるよ。"
"2時間で弟が迎えに来るわ。どこか、消えてよ。"
" What are you doing? "
"故郷に帰る。"
"NYにいろよ。俺が何でもする。俺より、君の絵は、どうなる?"
"芸術家は、描かずにいられない?私は、ものになるの?Com'on, right now. Com'on. 出て行くわ。" 
"君は、まだ若い。I love you. "
" Love me? 便利な女なだけよ。神へのいけにえなの?人間って、才能があれば、わがままが許されるのね。Good bye. "
"俺は、モンスターか?では、君は?少しは、自分を愛しろ。そうすりゃ、人の愛が分かる。"
"覚えとくわ。"
"俺のせいだ。のめり込み過ぎる。愛にのめり込み、創作にのめり込み、こうなる。そして、自分勝手な事ばかり、言う。もっと、君に優しくするよ。そのために、一番いいのは、描くのをやめる事だ。描くのをやめて、君に優しくする。それで、いいだろ?"
"関係ないわ。弟は、海兵隊よ。さっさとどっかへ行って。もう、顔も見たくないの。Get out. "
"俺のビルだぞ。"
ドビーは、音楽をかけて、キャンバスに向かう。ポーレットの支度は整った。
"一言言えば。ポーレット、君には、絵描きの才能がない。別の仕事を探せと。"
"そうか。俺が、君を利用したと、思っているんだな?俺だって、人を愛し、苦しむ。君が生まれる前に、4度結婚してんだ。知った口、聞くな。"
ポーレットは出て行き、ドビーは、絵を描き続ける。
"小娘なんかに、踊らされてたまるものか。ああいう娘が、芸術家を堕落させる。"
ドビーの個展が開かれる。
"ドビーさん、僕も、画家の端くれです。作品を見ると、女房と別れたくなります。"
巨大な絵が、壁にかかっている。
"白ワインを。"
ドビーは、絵を眺める。
ホストの女が、腕に触れる。
"何だね?"
"幸運のおまじないです。"
"僕に?"
"私にです。才能が乗り移るように。"
"君もアーチスト?"
"私は、ただの絵描きよ。もし、あなたのように、なれたら。"
"暮らしは?"
" Expensive city. "
"だが、NYだ。ここも、バイトか?"
ドビーは、女をしげしげと眺める。
"助手を探している。給料付きの人生勉強だよ。心当たりが?"
"本当に?"
"それで、君の名は?
▶︎フランシス・F.コッポラ編"Life without Zoe"
"フルートが、法律で禁止されていた?昔は、そうだった。フルートの音色が、so beautiful. 処女が皆、騙されてしまったからだ。世界一のフルート奏者のパパ、クラウディオ・モンテスの話だ。ママは、シャーロット。世界中を旅して、写真を撮り、本を書いている。生まれた時に見たこの美しい顔。パパは、銀のフルートで、子守唄を吹いてくれた。それが、初めて聞いた音。わたしの名は、ゾイ。ギリシャ語で、命という意味だ。"
" Life without Zoe "のクレジットが入る。
"♪ゾイを忘れないで ゾイを怒らせないで
 彼女は とても変わった子
 子どもっぽくて とても大人
 ゾイを忘れないで ゾイを怒らせないで
 彼女のいない人生なんて
 彼女がいると この世が生き返る "
"両親は、いつも留守で、私は、ホテル暮らし。Too much perfum の高級ホテル。ヘクターは、専属の執事。親代わりに、私の面倒を見てくれる。"
ヘクターが、朝食のワゴンを運び込む。
" Miss モンテス Bon jour. 起きて。学校に遅れますよ。熱々のチョコレート。砂糖とサッカリン、1杯ずつ。"
"学校なんか行かない。気分が悪いの。"
"熱があるのかな。風邪が流行っている。"
ゾエの額に、手を当てる。
"火傷した。早く薬を。Please help. 星占いを見て、学校へ行くか、どうか決めよう。ゾイ・モンテス 牡羊座。早く朝食を食べて、ノロクサせず、起きて着替え、学校へ行く事。ノロクサって?"
"ふざけないで。"
"これは?素敵だよ。''
"パパの所って、沢山、手紙が来るのね。"
"これは?"
" No. "
"フリオ・イグレシアスticket. "
"これなら、手間がかからないよ。"
"いいわ。"
"手紙を開けるのは、学校から帰ってからにしたら?"
"シャラズ大使館で、パーティーが。"
"シャラズってどこ?"
" No. "
"今夜、調べよう。遅刻すると、ママが。"
"ママは、電話で、指図してばかり。自分の生活は、しっちゃかめっちゃか。"
"スクールバスに、乗り遅れるよ。もう8時6分、7分過ぎだ。君の大好きな新鮮な卵だぞ。ご注文どおり、7分半ぴったり茹でた。塩だけ、コショー抜き。20回噛むんだぞ。"
ヘクターは、飼い犬に、卵を与える。
"黄身だけ?後で、白身もちゃんと食えよ。"
"クレジットカードが、また赤字だわ。"
"ママが、注意しただろ。"
"赤字の分、お小遣いから引かれるのよ。タクシー代にも困っちゃう。ママから電話があったら、適当に。"  
"分かってますよ。"
"ありがとう。"
"バスに乗り遅れないでくださいよ。"
"ゾイ。"
" Good morning. リリーさん。"
"また現金がないのかね。"
"お早うを。50ドルを細かいお金で。つけといてね。万が一のタクシー代よ。"
"遅れるぞ。ゾイが、また学校に遅刻しそうです。果たして、今朝は間に合うでしょうか。急げ。走れ。"
バスは、ゾイの目の前で、発車する。
"タクシー。"
フィールズトン小中学校。
"またバスに乗り遅れたの?"
"ご心配どうも。"
"転校生よ。"
ターバンを巻いた従者に付き従われて、男の子が、学校に向かっている。
" Very very nice suits. "
"あの頭見てよ。"
"ターバンよ。知らないの?" 
クラスで。
"インタビューを。"
"世界一リッチな子どもだって、噂よ。"
"情報が早いわね。"
"当然よ。世界一なのよ。"
"インタビューの交渉は?ボディガード付きよ。"
"PRになるのよ。" 
"彼に、何て言うの?" 
"シャンパンとキャビア、BMWとフェラーリを見せるよ。" 
" Beautiful music. "
"彼は、運転手付きの銀のマセラッティよ。"
"アンドレア。"
"何か用?"
"アブーの電話番号を。" 
"表紙に彼の写真を。"
"僕の趣味は、長い散歩をする事。金を使う事は、飽きた。パパの富を相続して、それを更に増やし、24歳で世界一のリッチマンになる。ドラッグも手に入るけど、興味ない。チョコ・バーの方がいい。"
" Realy. "
"パーティーも、嫌いじゃない。カーライルか、コンコルド・ホテルが多い。去年は、トラッドなプレッピーで、ビデオゲームやパソコンに熱中していた。最近は、ファッションと音楽とアート。"
"ピープル誌じゃないのよ。"
"最近は、ソックスを履かない。"
" Dose'nt wear soxs. "
ゾイは、メモをとる。
"モーガン・フェアチャイルドは、僕の電話友達。これで、僕の秘密は、バレただろ?君らは、見抜いた筈だ。同じ年頃の友だちが、いない事さ。"
"リッチだから、大人の友だちは、楽に作れる。"
"だから、1人?"
"独りぼっちだ。"
"私にも、覚えがあるわ。両親と旅をしていて、友だちが、いなかった。"
"君が、友達がいなかった? Really? "
"ママがウサギの話をして。"
"ウサギの話?どんな話?"
"昔々、独りぼっちのウサギがいたの。友だちがいなくて。ママは、山のように、おもちゃやニンジンをくれた。"
ゾイとアブーは、湖畔のベンチで、話し込む。 
"1人で、好きなように遊びなさい。それを見て、ウサギが沢山、寄って来たの。ママから聞いた話よ。寂しくなったら、1人で楽しそうに遊ぶの。すると、ほかの子が、集まって来る。"
" I see. じゃあ、僕も、君と一緒に、遊ぶよ。"
" Let's go shopping. "
" OK. "
午後11時。ゾイは、アブーに送られて、ホテルに帰る。
"アブー。楽しかったわ。"
" So am I. "
"遅くなったわ。"
"叱られる?"
"大丈夫よ。Good bye. "
"そういう名の方は..."
男たちは、拳銃を取り出し、フロントのカウンターを乗り越える。
"皆、動くな。"
"俺は、警備員じゃない、俳優だ。"
"黙れ、静かにしていろ。"
"助けて、ジミー。"
"そこに伏せろ。言われたとおりにしろ。見るな。
"あいつらを見るな。見るな。"
"おい、黙っていろ。"
"子どもに、手を出すな。"
貸金庫をこじ開けて、中の物を取り出す。
"パパの貸金庫よ。"
"静かにしろ。"
"あの中のカフス・ボタンを貰う約束なのに。"
"黙れ。"
"オーディションなのに。あざが。"
"シャネルのシミ隠しを。"
" Really? "
"どうだ、何か欲しいものは?毛布は?クラブ・サンドイッチでも?何でも言ってくれ。持って来るぜ?さあ、引き揚げようぜ。Com'on. Let's go. "
"騒ぐな。また戻って来るぞ。"
"何よ、偉そうに。"
"ギャング役は、こなせるぞ。"
" Bravo. ゾイ、無事か?You are very brave. "
ゾイは、部屋に入り、鍵をかける。
"最近のNYは、高級ホテルにも、強盗が。幸い、貸金庫のパパの封筒は、取り戻した。ゾイは、大きな宝石のペンダントを取り出す。
"あの強盗たち、馬鹿ね。ヘクターに話そう。"
"ヘクター、早く起きて。"
" What? "
"ロビーに強盗が。"
" Are you all right? "
" Yeah. 見て。パパの貸金庫にあったの。こんな手紙も。『シャラズの涙』を、フルートのお礼に。ソロヤ妃。"
"シャラズ?今朝の招待状は?"
"紙くずカゴに捨てたよ。"
"封筒は?"
"強盗が落としたの。"
"ベガス、よせ。全部、つながるかな?"
破いた招待状を、つなぎ合わせる。
"全部、あった。シェイク・オマールは。"
"シークよ。シーク・オマール。"
"晩餐会とパーティーに、ご出席ください。ソロヤ妃が、有名なイヤリング『シャラズの涙』をつけます。イヤリングの片方がなきゃ、問題だぞ。"
"片方は、ここなのよ。パパが困った事になるわ。"
"パパのフルートに感激して、耳から外してくれたんだよ。"
"シークは、きっとお妃とパパの仲を、勘繰るわ。 Oh no. "
"お妃を探して、ダイヤを返さなきゃ。"
"アブーが、知ってるかも。"
"アブー?Who's アブー?"
"新しい友達よ。Hi アブー?ゾイよ。Fine and you? ちょっと話が。シーク・オマールって人を?シェイク・オマール。Ah あなたの叔父さん?Oh, he is the king. ソロヤ妃は、叔母さん。アブー、パーティーしない?"
"おもちゃやニンジンで。" 
"ニンジン?何の話だい?"
"ウサギよ。"
"ウサギだって?"
"あなたの両親は、旅行中?最高だわ。Perfect. "
パーティーが、開かれる。
"トム・クルーズだよ。"
"ジミー。"
"ママが、演出家を招く事があったら、売り込んで。"
"酷い写真。"
"イカすわ。"
"女は、制服の男に弱いって、本当だね。"
"アブーのパーティーへ?"
"ゾイ。ちょっと。ママから電話が。"
"インドの滞在が、延びるって、言うんでしょ?ママが。ママが戻ったわ。"
"ゾイ。ただ今。パパが見たら、驚くわよ。12歳の子が、酒を飲み、ヴォーグ誌を。"
"ママ、どうしたの?"
"酷い言い方ね。ここは、私の寝室。これは、私のイヤリング。"
"さよなら。"
" My hats? 邪魔する気は、なかったのよ?ごめんなさいね。"
友達は、引き揚げ、ゾイは、母親に抱き付く。
"ママ、what's going on? "
"言いにくいんだけど、パパとよりを戻す事になりそうなのよ。"
" What. "
ゾイは、後ろに倒れる。
"ゾイ、可愛い娘。嬉しくないの?"
"我慢しよう。ドレスのせいよ。"
"ドレスが、どうかした?"
"肩が、とてもbig. "
"ゾイ、肩の話なんか、よして。"
"男より大きい肩なんて。パッドは、すぐズレる。広い肩は、もう時代遅れよ。帰ると知っていたら、プラザに移ったのに。"
"変な子。"
"またタバコを吸い出したの?アーチストたちと、付き合うなと言ったのに。それに、パパをライバルと思うのをやめて。"
"娘に向かって、何て事を。母親に何て事を。"
" Right. "

"アブーの仮装パーティーへ"
ゾイは、パーティーのポスターを作る。父親の肖像を描く。父親が、戸口に立っている。
"パパ、パパ。心配したのよ。"
"元気か?"
"このとおり、元気よ。素敵なスカーフね。貸して。"
" Of course. "
"くれる?冗談よ。ポスターに使って。"
" Wonderful. とても上手だ。レコード・アルバムのジャケットに使おう。"
"座って。疲れたでしょ。何か飲む?"
" Sure. Hi ベガス。元気か?"
ゾイが、酒を注ぐ。
" Thank you. "
"それで?"
" Well 人生は、悩み多い。だが、最悪ではない。"
"演奏旅行を切り上げたの?"
"分かるだろ?"
" How is it? "
"ちょっと、尻に火が付いてね。分かるかね?"
"想像つくわ。"
"お前は、心配しないでいい。"
電話が鳴る。 
"パパにだ。Hello. Yes.  Still? "
"どうしたの?ママも戻ったのよ。"
"知ってる。昔、フルートが、禁止されてたって話を?"
"100万回聞いたわ。"
"音色が、あまりに美しく、心を惑わしたからだ。"
"禁止は、当然ね。"
"またタバコを?"
"たまにさ。"
"フルートを吹く人が、タバコなんか。"
窓から、歩道に立つ男を見やる。
"何も、心配する事はない。ただ、その。とても美しい女性がいた。お妃だ。"
"パパの演奏を?"
"とても感動して、パパにイヤリングをくれた。こうやって、外して言った。あなたの演奏を聞いて、涙が、『シャラズの涙』が。パパは、それをポケットに。"
"素敵だわ。"
ゾイは、イヤリングを取り出す。
"てっきり、盗まれたと。国王は、国王は、とんでもない誤解を。"
"きっと、ママも。"
"  Exactly. やっと仲直りしかけた時だ。"
"返すのよ。" 
"家来が、監視を。"
"私に任せて。"
"お前が?可愛い娘だ。"
"クラウディオ、素敵よ。"

" Taxi. "
ゾイは、仮装パーティーに出掛ける。 
"雨よ。衣装が濡れちゃうわ。"
友達と合流し、一緒に歩いて行く。ホームレスのダンボールハウスから、手が出て、足首をつかむ。
"何か食い物を恵んでくれ。"
"キス・チョコよ。明日も上げるわ。"
"本当か?腹ペコなんだ。忘れるなよ。"
" I promise. "
" Taxi. "
仮装パーティー会場。 
"遅いわね。"
"雨で、タクシーがなくて。"
"皆、来てるわ。"
アブーは、プレスリーの格好。
" Wellcome my house. 楽しもうぜ。"
バンドの演奏で、皆踊る。
"アンドレア。BFを連れて来たの?"
綱渡りの曲芸に、歓声を上げる。揃いの金色の衣装を付けた少女たちが、踊る。
"ゾイ。お陰で楽しいよ。"
"私も。"
ゾイが、額にぶら下げたダイヤのペンダントに、見張りの目に留まる。
"お妃様に会わせて。"
アブーは、ゾイをお妃の下へ連れて行く。
"叔母様。友だちです。"
"ゾイ・モンテスです。" 
ペンダントを渡す。
" It's pleasure to meet you. あなたは、宝石よ。ゾイ・モンテス。"
お妃は、指輪を抜き、ゾイに与える。
アブーとゾイは、パーティーに戻り、楽しむ。

"シャーロット。僕らが、愛し合えないなんて、馬鹿げてるよ。"
"夫のフルートに、すべての女が、心を奪われるのよ。"
"ゾイは、嫉妬など、くだらないと。"
"12歳の子よ。"
"だから、真実を言う。"
キスしているところに、ゾイがやって来る。
" Cut. "
"皆で、外へ、食事に行きましょう。"
"どこへ?"
"RTRよ。ロシアン・ティー・ルーム。日本やタイ料理は嫌。"
RTRから、3人が出て来る。
"歩くのは、気持ちがいいわ。"
街角で、男が、フルートを吹いている。投げ銭する。 
"笛吹きとフルート吹きの違いを?"
" I dnn't know. "
"こっちは、貧乏だ。"
クラウディオは、部屋に帰り、フルートを吹く。
"パパ。子守り歌ね。パパの子守り歌。"
" Good bye, Zoe. "
" Good bye? "
"電報が来たんだ。アテネで、演奏会がある。ローマとウィーン。急に決まったんだよ。今に、君が、big girl になったら、一緒に行こう。君が、スケジュールを立て、パパの絵を描き、キャビアを注文する。"
"パパ、一緒に連れて行って。" 
"今は、ダメだ。"
ゾイが、ホームレスの小屋に声を掛ける。
"そこにいるの?約束どおり、持って来たわよ。"
チョコをぶち撒ける。
"だから、NYはいい。いい1日を。また来ておくれ。" 
"ママ、見て。"
" She is wonderful. "
フィギュアスケート選手の練習風景を見る。
"美しくて、優雅で、素晴らしいわ。皆が、夢見る女性ね。"
"私って、馬鹿ね。何も見えてなかった。"
"馬鹿は、私よ。"
変な顔をする。
"すぐ目の前に、こんな素敵な娘がいたのね。"
"パリ行きのファースト・クラスが、2枚あるのよ。明日の朝、8時の便よ。"
"あなたとパリへ?It sounds good to me. "
"シャネルのショーを見て、ついでにローマに。"
"そうね、悪くないわ。"
"それから、ギリシャへ。"
"ギリシャで、パパの演奏が聞けるわ。"
"アクロポリスにも登るわ。" 
ギリシャの神殿前で、クラウディオは、フルートを吹く。ゾイと母親も、演奏を聴く。
"3人は、それからツアーをしながら、幸せに暮らしました。"
▶︎ウディ・アレン編"Oedipus Wrecks."
シェルドン(ウディ・アレン)が語る。
"僕は50歳。法律事務所に勤めるエリート弁護士。問題は、母との関係なんです。この間、母の死んだ夢を。"
棺が、車に載せられる。
シェルドンが、車を運転するが、棺から指示が飛ぶ。
"左折して。道が、違っているよ。"
"道は、分かっているよ。"
"もっとゆっくり、急ぐ事は、ないだろ。"
"時速50kmだよ。"
"口答えするなら、行かないよ。"
シェルドンとカウンセラー。
"母親が、邪魔か?"
"今夜、初めてリサを、母に会わせるんです。I'm nervus about that. 昔から、僕に恥ずかしい思いばかり。一緒に買い物へ行くと、大声を張り上げて喋る。いつも赤面していました。今夜も何かあります。"
"もう、大人なんだから、許す気持ちを。"
" I try, I can't. Do you know? 僕を傷付けるんです。会うたびに、酷い顔だね、なんて。勿論、愛してます。でも、消えてくれたら。"
シェルドンは、リサと待合わせ。
"母さん。待たせた?" 
" How are you. 酷い顔だね。"
"まあ、いいお住まいですわ。"
" Thank you. "
"彼は、嫌いなの。"
"いつ、そんな事を?"
"ユダヤ趣味だって。"
" What's that mean. "
"ミルズの本名は、ミルスタイン。"
"話してある。" 
"お黙り。邪魔しないで。You lose tha hair. 昔は、ふさふさした赤毛で、あだ名は、レッド。それを嫌がってね。パンをお食べ。亡くなったこのこの父親も、ツルツル頭だった。"
"僕は、まだ毛がある。"
"すぐだよ。リサ。お仕事は?"
"パートで、広告代理店へ。子どもがいるので、理想的ですわ。"
" How many? "
"3。"
"離婚を。"
"デザートを食べて。"
母親とリサ(ミア・ファーロー)は、アルバムをめくる。
"見て、これは、生後1年7か月。可愛いお尻を丸出し。"
"母さん。いい加減にして。"
"あたしが、何しても、気に入らないの。レストランでは、私が、talk too loud と。人に聞かれて困る事は、話していないわ。すぐ、恥ずかしがるの。ずっと、おねしょを。"
" Excuse me. I'll be back. "
"タクシーを呼んだから、帰る。食事は、terrific. "
"シェルドン。Look. 結婚するのは、おやめ。"
"その話は、よそう。"
"あたしは、話したいんだよ。3人の子連れの金髪女なんかと、騙されてんだよ。"
シェルドンが、カウンセラーを訪ねる。よろよろと中に入る。
" Are you OK? "
"また母です。"
"リサとの夕食かね?" 
"あれは、先週です。今日は、勤め先で、それも重要会議の最中。うちの事務所は、格式があり、堅いんです。"
"ミルズさん。お母様です。"
" What? "
"お母様が、ここへ。"
シェルドンは、会議を抜ける。母親が、老婦人と連れだってやって来る。
"母さん。"
"シールおばさんよ。"
"何の用だい?"
"キャッツを見に。"
" Mr.キャッツ?"
"ミュージカルよ。切符をくれたでしょ。" 
"何だ?そのキャッツか。" 
"ついでに寄ったのよ。いいオフィスでしょ。耳が、聞こえないの。"
"シェルドン。どうした?"
"会議中なんだよ。"
"愛人のいるベイツさんよ。"
ベイツとシェルドンは、顔を見合わせる。

" Hello. Mrs.ミルスタイン。It's リサ。日曜に、シェルドンや私とお食事でも。子どもたちに紹介を。是非、何とか。"
シェルドンは、身振りでやめろと伝える。
"お昼を頂いて、楽しい1日を。" 
日曜の昼。
"何で、外で食べなきゃ、ならないの?なぜ、こんな寒い所で? あたしをどこまで歩かせるの?外で食事するなんて、雨でも降って来たら。なぜ、外なんかで食べるの?外のテーブルなんか、好かないよ。"
マジックショー。中華風の男が、ステージに立ち、筒から花束を取り出す。
"なぜ、こんな所へ。手品は、嫌いなんだよ。"
"子どものためだよ。" 
"あたしは、大人だよ。"
"黙って見て。"
" All rhght. 黙って見てりゃ、いいんだろ。"
カップから布を取り出し、布は、花束に変わる。
"あれが手品かい?くだらない。"
"私は、かの偉大なシャンドー王だ。まず、のっけから、あっとのけぞる大奇術を。勇気あるプリンセスにお手伝いを。客席のどなたか。男性では困る。プリンセスを。そこのレディ。 Right over there. そこに座っている方。皆さん、拍手を。"
シェルドンの母が指名される。
" How are you? "
" Not so good. あなた、chinese? "
"くすぐったいのですが、お体に剣を刺します。"
"くすぐるの?"
"まさか、冗談です。お名前は?"
"セイディ・ミルスタイン。STEIN。あれは、息子よ。Lowyer なの。ミルズに変えたのよ。" 
" How old are you? "
"聞かないで。" 
"箱の人間が消える中国伝統の大奇術です。"
箱の近くに連れて行く。
"前に、私の顔を?"
" No. "
"しびれる?この箱に入るだけで、いいんです。"
"そこへ入るの?嫌よ。"
"バッグは、預かっておきます。"
" No. no. 宝石と大事な書類が、入っているのよ。"
" Say good bye. 心配はありませんよ。飛び込んで。"
"飛び込むわ。ここに、飛び込むのね。"
"彼女が消えたら、ご喝采。では、剣を。2振りの鋼鉄の剣です。アルミメッキ仕上げ。1本目。鼻を引っ込めて。さあ、1、2の3。2本目。さあ、痛いよ。お尻にグサリ。3本目。大丈夫?最後の1本が、グサリと行くよ。さあ、ご覧ください。"
箱の扉を開けると、中は空っぽ。見事に消えました。セイディは、消えました。出て来ていいよ。"
箱を開けるが、依然、中は空っぽ。
"どこだ。どこだ。横にも、底にもいない。消えるなんて。"
シェルドンは、マジシャンに抗議する。
" Where's my mother? "
" I don't know. "
"知らないで済むか。"
" She vanished. "
"消えた?そんな馬鹿な。"
"こんな事、初めてだ。"
助手も、加勢する。
"初めてよ。これこそ、本当の奇跡よ。奇跡よ。"
"仕掛けは?"
"箱の中の秘密のスペースは、空。劇場中を探したが、 she's gone. "
"いない?そんな馬鹿な事、ある訳ないだろ?この箱を作った会社は?"
"20年前に倒産した。"
"分子分解か何かかも。"
"分子?僕の母を箱詰めにして、消して、何が分子だ。" 
"劇場側は、responsibilty ないよ。"
"無料招待券を2枚贈呈しよう。"
"何が、招待券だ。"
"警察を。"
" No. 新聞に漏れると、困る。弁護士の母親 奇術で蒸発。" 
"客が、怖がると、僕も困る。" 
"商売の心配か。"
"考えてみよう。900人の客が、見ていたんだ。箱から出られる訳もなく、奇術士もお手上げ。これは、問題だ。"
シェルドンらは、シール叔母を訪ねる。
"母を見なかったか?上のアパートにも、戻っていない。見なかったかい?"
"貸してもいいけど、返しておくれよ。"  
"母さんから、電話がなかった?" 
"何の用なの?" 
" Looking for mother. "
"母さんね。今朝、話をしたわ。スカーフを貸して、それきりよ。"
" Hello. さっき電話した者です。僕の母は、見つかりました?警察か、死体置き場か、病院か、どこかに。さっきも電話を。Nothing at all. OK. OK. Thank you. "
"シェルドン。お母さんは、元気?"
シェルドンの勤務先。
" Are you OK? "
" I'm fine. "
" Hello 何か情報が?こっちも、何もない。私立探偵を雇った。剣で頭を突かれて、記憶喪失症か何かに。Call you back. "
シェルドンの家。シェルドンは、ぼんやり外を見ている。
"お願い。もっと元気を出して。きっと無事よ。"
"でも、もう3日だよ。"
" I know. "
"君は、綺麗だ。"
2人は、ベッドの中。
"凄く良かったわ。今みたいなsex初めて。素面なのに。"
"なぜか、解き放たれた気分だ。凄く、リラックスしている。ストレスから、急に解放された気分だ。"
カウンセラーと向かい合う。
"生まれ変わった気分です。最初は、パニックに襲われました。それが、1週間経つと、肩の荷が下りた気分。知らず知らず、顔がほころんで、仕事もファイトで、ばりばり。性生活も最高。リサは、こう言っています。ベッドで、あんなに大胆なあなたって、初めて。"
" What do you think? "
"勿論、母がいなくなったからです。それ以外に、理由は考えられません。母に、こんなに影響されてたなんて。恐ろしい事が、起こった訳じゃない。死んだ訳でなく、ミステリアスに、静かに姿を消した。もう戻りませんよね。"
"フリン私立探偵事務所"
" Mr.フリン。"
"ミルズさん。残念ながら、まだ何の進展もありません。"
" It's OK. 母は、無事に戻った。僕が、自分で探した。母の話では、ミニ発作みたいなものが、起きて、記憶を失ったまま、街を歩いていた。だから、この件は、もう忘れてくれ。"
"忘れる?"
"母は、もう探さないでいい。"
シェルドンとリサは、ベランダで、シャンパンを飲む。
"気分は?"
" Great. こんないい気分は、初めてだ。"
シェルドンは、雑貨店で、ヨーグルトを買う。
"ミルズさん。お元気そうで。"
"どうも。"
"ほかに?2ドルです。"
"景気は?"
"お陰様で、何とか。"
"表が、やけに騒がしいな。"
母親が、空に現れ、語りかける。人々は、空を見上げ、騒いでいる。
"シェルドン、そんな所にいたんだね。皆さんと、お前の事を話していたんだよ。"
" Where are you? "
"知らないよ。よく考えたけど、あの女との結婚は、おやめ。"
"こんな所で。"
"後悔するよ。"
"こんな所で、やめて。"
"ほかに行けないんだよ。半年前に会って、もう結婚するなんて。"
"相手が、いい女性なら、賛成よ。"
"急ぐ事ないわ。前の女房への慰謝料もある。"
"やめて。" 
"子どもに、干渉するな。"
"うちの娘も、親を無視して、勝手な真似ばかり。"
"いくつなの?"
"26。"
"写真、ある?"
" Home. "
" Home? 私は、持ち歩いているわ。"
"これは、悪夢だ。息ができない。酸素をくれ。新鮮な空気を。制酸カリを。"
"可愛い赤ん坊でしょ。"
"俺のも、見てくれ。""私の孫よ。"
人々は、子や孫の写真を取り出す。シェルドンは、帰宅する。
"3人の子持ち女なのよ。あの子は、生まれた時から、頭がよくて、学校は、ダメだったけど。" 
電話する。
"ドロシー?ミルズだ。今日は、事務所を休む。ボスに、病気で休むと。It's OK. 心配しないで。"
TVニュース。
"ミルスタイン夫人は、未亡人。息子さんのシェルドンは、法律事務所の弁護士。彼は、名字を変え、子どもの頃は、おねしょを。"
"あなたは、なぜ、こんな事に?息子のフィアンセと奇術ショーに行ったの。子連れ女よ。『どう、思います?』息子は、母親に従うべきよ。"
"酷い。僕は、街中の笑い物だ。"
"誰も、笑っていないわ。"
"君は、そう言うが、僕には、悪夢だ。" 
"恥ずかしいのは、分かるわ。"
"あの奇術士を殺してやる。八つ裂きにして、告訴する。"
"確かに、恥ずかしいわね。"
" Kill myself. それしかない。" 
"別の州に、越したら?"
"そこの空にも、ふらふら現れるよ。地下鉄の中で、暮らそう。" 
"水平服を着ると、お人形のようだったわ。"
"10歳の僕の事を、街中の人に、喋っている。"
"お願い、このタオルを、取り上げないで。大きくなるまで、タオルをしゃぶりっぱなし。いつも頭に来たわ。"
"ミルスタイン夫人の珍現象は、既に2週目。何事にも驚かぬNY人種は、慣れて来ました。"
"彼女の市民権と自由は、守らねばなりません。空から、犯罪の通報もしてくださる。大助かりだ。"
シェルドンは、出社する。玄関にマスコミが詰めている。
"シェルドン、どこへ?"
マスコミが気付き、追う。
"ちょっと、お話を。"
"何も、恥ずかしがる事、ないでしょ?"
"やあ、ママの坊や。"
シェルドンは、電灯のソケットに、濡らした指を突っ込み、自殺を図るが、一向に感電しない。
" What are you doing? "
"自殺する。"
"死んで、解決すると、思うの?"
"悪夢だ。耐えられない。"
"分からない言葉の悪口に耐えている私は?クルバって?Anyway. "
"ユダヤ語さ。淫売って意味さ。"
カウンセリングルーム。
"リサと僕は、最近、喧嘩ばかり。相手が、何か言うと、噛み付く。自殺しかありません。"
"ミルスタイン、ミルズ君。こんな提案は、どうかな?この際だ、思い切った方法を。"
" Yeah. "
"私の知り合いに、霊能者が。女性で、オカルトとか、超自然現象とか、科学を超えた謎に、挑む。"
"僕は、信じません。" 
"だが、信じる時では?"
"トレバさん?" 
" Come in, シェルドン。Come in. 酷い顔。"
"何か食べる?"
" No. No thank you. 言っとくけど、僕は、超能力は、信じない。"
"お母さんの言うとおり。痩せているわ。" 
"この数週間、全然、食欲がなくて。"
"落ち着いて。こっちよ。くつろいで。" 
"いい家だ。この中に蛇が?"
"失礼して、やりかけの事を片付けるわ。"
" What are you doing? "
"死んだ友達と、話を。" 
"僕は、外していようか。"
" No, no, no.聞かれて困る話じゃないわ。ジェフリー、話の続きは、木曜日に。まず、バターとスパイスで、肉に味を付けるのよ。それから、オーブンへ。Yes. That's right. "
"時間がかかるなら、失礼を。"
"悪いけど、仕事なの。またね。"
"信じられん。まゆつばとは、思ったが。超能力なんて。僕は、科学と理性を信じる知的な人間だ。"
"でも、お母さんは、空を漂っているわ。"
シェルドンは、被り物をして、祭壇を拝む。タロットで占う。
"ラージサイズのペパロニとアンチョビ。一つは、チーズ増量のレギュラー。"
部屋の邪気を払う。
"母のいないいは、早く出よう。何を撒いている?"
"豚の骨の粉よ。"
"ユダヤの神よ。お許しを。"
"弾くの?"
" No. "
"弾かせて。"
トレバは、ピアノを弾く。
"上手だな。昔から、練習を?"
"前世で、ピアニストだったのよ。3回生まれて、1度は、ピアニスト。1度は、バレリーナ。1度は、ジンギス・カンの洗濯婦。気の荒い男で、服に糊を付けると、怒った。"
" Out of the house. Out of the house. "
椅子に、母親の人形を置き、呪文をかける。
シェルドンが、外を歩くと、工事夫に声を掛けられる。
" Hey, シェルドン。下着を着たか?風邪引くぞ。"
"マフラーも忘れるなよ。"
"いじめないでおくれ。Very sensitive. 可哀想に。大丈夫かい?"
トレバは、フードを被り、呪文を唱え、回る。
"くだらない。もう嫌だ。3週間、無駄な努力だ。"
"羊のいけにえが、必要だ。"
"殺すのか?"
"まさか。獣姦も駄目よ。"
"君は、ペテン師だ。見た瞬間から、分かっていたよ。"
"そのとおりよ。"
"厚意には感謝してるよ。君は、いい人だ。費用も半額にしてくれた。"
"無料にするわ。"
" You are crying. なぜだ。"
"失望させた。"
"最初から、別に期待など。"
"失敗して、あなたを失望させた。"
"成功する筈がないだろ?ロスなら、プール付きの家と教会が建つけどね。"
"信じていたのよ。この世には、人間の理解を超えた謎やミステリーがあると。なのに、失敗ばかり。"
"気を落とすな。母もちゃんと、宙に浮いているだろ?今まで、何か超能力的な事を?
"ないわ。ウエイトレスよりましだっただけよ。"
"ウエイトレス?"
"女優志願だったけど、仕事がなくて、ウエイトレスのバイトを。ある日、星占い師に会って、こういう職業は、お金になると、聞いたの。現代人は、そういう助けにすがると。それで、本などで、勉強を。女優と同じね。才能がないと。"
"何も、泣く事はない。君は、いい女優になれる。気立も、とても優しい。"
"ありがとう。"
"すぐ成功しないからって、諦める事はない。"
"こんな人生なんか、意味ないわ。"
"やけになるなって。夕食を奢るよ。リサは、今夜、残業で遅い。食事でもすれば、気分も。いいだろ?だが、外は、母さんが見張っている。"
"それじゃあ、あたしが作るわ。"
"そんな。"
"せめてのお詫びよ。"
"ガス台の前で、呪文でも、唱えるのかい?"
"ボイルド・チキンを。"
" Great. 母が得意で、僕の大好物だ。だが、母が調理した鶏は、全く味がない。あれは、奇跡だ。"
"脚1本しか、食べないの?ジャガイモも食べて。"
"食べたよ。鶏も食った。"
"痩せ過ぎだわ。残り物を包むわ。持って帰って。外に出るのが、嫌なんでしょう。"
"そんな、食べきれないよ。とても、美味かったよ。今夜は、正解だった。楽しかったよ。君は、とても、話が面白いし。とにかくとても楽しかった。本当に楽しかった。感謝するよ。"
" I have nice time, too. "
"食事も済んだし、そろそろ失礼を。遅くなったから、失礼する。ありがとう。"
"チキンと付け合わせのジャガイモよ。パンケーキも少し。"
" Thank you, very much. "
"楽しかったわ。"
"僕もだ。It was a relax time. 食事も、全部美味かった。またいつか一緒に。"
"もう帰らなきゃね。リサが待っているわ。"
"では、これで。Good night. "
" Good night. "
"楽しかった。Thank you very much. "
" You are welcme. "
"ひと皿ごとに、歯を掃除したのは、初めてだ。"
シェルドンは、帰宅する。リサのメッセージが、差し込まれている。
"シェルドン。子どもたちと、田舎の姉の家へ。このまま、黙って別れましょう。最近は、喧嘩ばかり。お母様の言うように、急ぎ過ぎたのかも。もう耐えられません。愛って、ある朝、突然、消えてしまうものなのね。All best, you. リサ。"
シェルドンは、持ち帰ったチキンを1本取り出し、眺める。
"シェルドン。シェルドン。Wake up, morning. "
"母さん。母さん。僕の新しいフィアンセだよ。"
トレバが、はにかみながら、従う。
"前の女は?"
" She's gone. トレバ、僕の母だよ。"
" Hello I love your son. 少し痩せ過ぎだけど、いい人だわ。"
"今度の彼女は、気に入ったわ。"
" Me, too. "
"これで、下へ降りられるわ。"
空から、母親が消える。 
" Where dose she go? "
"急に消えたわ。変ね。"
"ここよ。Here I am. "
家の中、ソファに座っている。
" Here I am. "
" Are you OK? "
"あたしが、無事でない事がある?"
"お母様。トレバです。よろしく。"
"あたしこそ嬉しいわ。素敵な女ね。"
"彼の子どもの頃の写真を?"
"持ってますとも。最初から、説明するわ。これが、6か月目。この大きな口。いつも、ワーワー泣いて。手を焼いたわ。この頃は、ちょっとマシになったわ。"
シェルドンは、うんざりしながらも、微笑みを浮かべて、2人を見つめる。
【感想】
個性的な3人のニューヨーカーと、彼らを取り巻く者が織りなすドラマ。それ以外に、特に3話に共通する要素はない。第2話が、コッポラパートで、ヒロインを世界的な音楽家一家のお嬢様で、高級ホテル住まいの少女とした事で、興味を引くが、父親が、お妃から授かったダイヤのイヤリングを返すくだり、転校生のアラブの王族の息子一家との関係は、あっさり描かれ、拍子抜け。ラストも、強制終了したような感じ。
第3話の母親が、マジックをかけられ、忽然と姿を消し、空に現れる設定が、面白い。個性的な登場人物と相まって、ちょっと、ダニエル・シュミットのようなテイストがある。

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