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レポートがうまく書けない人へ

4月から大学生になった皆さんは、きっとレポート課題に不安になっているかもしれません。

そこで、今回は、私が大学教員として長年学生のレポートを採点してきた経験から、こんな風に書くといいかも、と失敗しないためのヒントをお話ししたいと思います。

1:気が付かずに人の意見をそのままコピペしているかも

私が学生のレポートで一番関心をもってみていたのは、その学生が「自分のオリジナルな考え(originarilty)」を表現しているかどうかという点です。

最近の学生はこの点について勘違いをしている人が多いです。

よくある例としては、教えてもらった「他の人の考え」をそのままレポートに書いてしまうことです。

例えば、フィールドワークで指導者から助言を受けて、とても心に響いたとしましょう。それをそのまま、「私は〜と考えた」と、〜の部分にその指導者の助言のことばをそのまま書いてしまうというパターンです。

これはある意味「盗用」とか「剽窃」に近いものになります。人の文章をコピペしているのとあまり変わらないからです。

実際にときどき、学生のレポートを読んだ現場の指導者から「あの〜、この部分私が言ったことそのままなんですけど、、、」と教員にクレームがくることもあります。

2.「自分の考え」という錯覚

これは、出来の悪い学生がやむを得ずやってしまう行為ではなく、多くの学生が「気が付かずに」やってしまうケアレスミスです。

なぜこういうことが起こるかと言うと、学生はその「他人の考え」を自分の考えだといつの間にか思い込んでしまうのです。

このような場合に私は学生は私に「それはあなたの考えではなくて、聞いたことでしょ」と指摘します。そうするとほとんどの場合学生は、「ああ、そう言えば」とはじめて気づくのです。

この理由はなにか考えてみました。

私の予測ですが、学生は素晴らしい意見や自分の心に響いた他人の表現に出会った時に、「新たな学び」を得たと勘違いしてしまうのです。

実はこれは「学び」ではなく、あくまでも「情報」の段階にすぎないのです。ところが学生は「ああそうなんだ」と納得し、この情報の段階で学びを止めてしまうのです。つまり、その情報を自分の頭の引き出しにしまってしまうからではないでしょうか。

そして、その後自分がレポートを書き出す時に、頭の引き出しからその「学びと錯覚した情報」を取り出して、せっせと考察に書き出すのです。

ここで、自分がその情報を吟味して書くことができれば、自分のオリジナルな考えを構築できます。

しかし多くの学生は、そのような深掘りをせずに、そのまま情報を書き写してしまうことになります。そうして、上記に書いたように「コピペ」に近い現象が起こるのです。

では、その得た「情報」を真の学び、つまり自分のオリジナルな考えとするために、ここで学生は何をしたら良かったのでしょうか。

3.なぜ自分の心に響いたのか、その理由を考えてみる

私が、このような状況を回避するために学生へ伝えていたのは、他者の意見を聞いた時にそれがなぜ心に響いたのかあるいは、なぜ学びとなったと思ったのか、その理由を考えてみようと言うことです。

聞いた意見を「なるほど!」と思うのは大切です。

でもここで終わってしまっては、「学び」とはならないのです。なぜかと言うと、それはあくまでも一般論の段階にすぎないからです。

そこで、なぜそのことが気になったのか、なるほどと思ったのか、それはなんでだろうと、今一度深く考えてみましょう。

そのためには、得られた情報を自分の体験と結びつけることが必要となります。つまり、ここで、理論としてえられた抽象的な情報が、具体的なレベルにまでおりてきて、そしてそこではじめて自分にとって意味のある情報となります。

そして、これを文章化することで、学生のオリジナルな考えとなって表出されることになります。

慣れていないと難しいと思いますが、これも繰り返して行くとできるようになります。

簡単に言うと、人が言ったことを鵜呑みにせずに、「本当かな」とか、「なんでそう思うのかな」と自分との対話を続けていくことです。

参考になれば幸いです。

ではでは。


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