ベランダで風を感じながら過ごす、一人の時間
我が家のベランダは狭い。
賃貸で小さな家なので、必然的にベランダも小さい。
日当たりもそこまで良くはない。
洗濯物を朝干しても夜まで乾かないことがたまにあるし、
お日さまも数時間で入らなくなってしまう。
だから正直言って好きな場所ではなかった。
とりあえずガスの給湯器とエアコンの室外機と、避難用のはしごが置いてあるところ。言ってみれば単なる物置。
昼間はずっと仕事でいないからリビングにいても
その場所を見ることもない。
ここまで家にこもる日が来るとは思っていなかった。
ところが。一日中家で仕事をするようになると、外が恋しくなる。
でも出られないからとりあえずベランダから外を見る日々。
そうすると、意外とうちの狭いベランダにも風がやってきて洗濯物を揺らしてくれることに気が付いた。
だけどやっぱり外が恋しくてベランダなら密も避けられると思って引っ越してきて初めてベランダに2分以上滞在してみた。
やっぱり外の空気は美味しい。地元と比べたら東京の空気は汚いけど、家の中と比べると空気が流れているのを肌で感じることができる。
鬱々としたこの気持ちを、風が持っていってくれるような気がした。
バルコニーの空気を浄化しようと思う。
外出しなくとも外の空気を吸えて、ソーシャルディスタンスを保てるバルコニーは気分転換に絶好の場所だ。
それでもやはり、周りはオフィスビルやマンションに囲まれ、どうしても無機質感が否めない。風だってきっと洗濯物以外のものを揺らしたいだろう。
そこで始めたのが緑化計画。
毎朝外に出て、様子を見て、水をやっている。
バルコニーに出るたびに様子を見て、鮮やかな緑にホッコリする毎日。
そこに丁度風が吹いてきて葉が揺れる。
こんな自然にあふれた(?)光景を、自分の家で見たのは地元以来だ。
そこまで広くないのでたくさんの植物を置いたら洗濯物が干せなくなるのでできないけど、とりあえず洗濯物が干せる範囲で緑を楽しみたい。
そして植物と一緒にベランダで風に当たると、その間は現実の嫌なことも忘れて少しの間安らかな時間が過ごせる。
この静かに流れる時間は誰にも邪魔されない、私だけの秘密の時間である。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?