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製造業とIT業界②~製造業エンジニアは何県に多いのか~

こんにちは。きんちゃんです。
エンジニアのみなさん、キャリアの設計してますか?
私はエンジニアの皆さんのキャリア支援活動をしています。

私の自己紹介です。よかったら見てやってください!
そしてスキいただけると、めちゃくちゃうれしいです!
今回は「製造業とIT業界②」というテーマでつづります。

製造業とIT業界

私は人材会社でエンジニアと日々一緒に仕事をしています。私の主力のフィールドはどちらかといえば「製造業」です。
いっぽう、いわゆるIT業界にもエンジニアはいます。
製造業のエンジニアとIT業界のエンジニア。
近いようで遠い?遠いようで近い?
先日は業界とビジネスモデルの違いについて綴りましたが、今回はそこで働くエンジニアに焦点を当ててみたいと思います。

勤務先所在地

仕事をするうえで就業場所は大事な要素ですよね。エンジニアにとってもそれは重要な要素のはず。
製造業はモノを製造する工場が必要→広大な敷地が必要→都心部より地方の方が多いのでは?という、チープな仮説。
いっぽうでIT業界はPCがあれば仕事ができる→オフィスの一室で十分可能→都心部でも地方でも差はない→土地の問題よりも情報の取りやすさで都心部に軍配か?と考えます。
令和2年(2020年)の国勢調査の結果を紐解きます。
都道府県別のエンジニア就業者数(*1)とエンジニアが就業者数に占める比率をランキングしてみました。
数だと人口の多い都道府県が優位です。比率の方が実態を現わしているかもしれません。
まずは「製造業・人数ランキング」。
神奈川、愛知は自動車産業はじめ製造業が盛んで有名ですよね。
もともと人口も多いし。東京も多いです。多摩地区には工場も確かにあるし、エンジニアは工場ではなくて都心のビルでも仕事できますからね。

令和2年国勢調査抽出詳細集計より著者作成

続いて「製造業・エンジニア比率ランキング」。
就業者数に占めるエンジニア比率で並べると、愛知、栃木、神奈川、滋賀が上位に。栃木は自動車産業が集積、滋賀は県内総生産に占める製造業の割合が43%と全国一位で、積極的に工場誘致もしています。東日本の茨城と似ていますね。神奈川は比率でも上位に。思えば決して自動車だけでなく、化学工業や重工業もありますね。

令和2年国勢調査抽出詳細集計より著者作成

ここからはIT業界をみてみます。
まずは「IT業界・人数ランキング」。
やはり東京がダントツ1位。神奈川、埼玉と続きます。
首都圏が強いですね。注目すべきはその人数。30万人、20万人、10万人と10万人超の都県が3つもある。製造業では愛知1県でしたがIT業界の特色を物語っていますね。

令和2年国勢調査抽出詳細集計より著者作成

続いて「IT業界・エンジニア比率ランキング」。
人数ランキングと上位はほとんど変動なく、北海道に変わって奈良が入ったくらいですね。奈良県とは意外でした。奈良先端科学技術大学院大学があるからでしょうか、という幼稚な仮説。

令和2年国勢調査抽出詳細集計より著者作成

ここまでをまとめると・・・
<製造業>
愛知、神奈川といった大都市圏はじめ栃木、滋賀、静岡といった地方が上位にランクイン。上位10県の全体に占める比率は21%で、突出している県はなく、比較的幅広い都道府県に分布している。
<IT業界>
東京、神奈川がダントツで多く、千葉、埼玉、大阪といった大都市圏が続く。上位10県の全体に占める比率は27%で、製造業に比べると上位(大都市圏)に集中している。

勤務先所在地でみると、製造業エンジニアは地方に多く、IT業界は都心に多い、と言えます。

*1 エンジニア就業者数:
国勢調査の職業小分類から電気・電子・電気通信技術者(通信ネットワーク技術者を除く)、機械技術者、輸送用機器技術者、金属技術者、化学技術者を製造業エンジニアと定義。
システムコンサルタント・設計者、ソフトウェア作成者、その他の情報処理・通信技術者をIT業界エンジニアと定義。

テレワーク実施率

テレワーク実施率も差がありそうですね。エンジニアという面でいえば製造業エンジニアであってもテレワークは実施しやすいと思いますが、製造現場との接点が多いと出社が多くなるかもしれません。いっぽう、IT業界エンジニアは、フルリモート、フルフレックス当たり前、という風潮も以前ありましたので相当高そうです。
内閣府が2022年6月に実施した第5回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(回答数10,056)によれば、業種別テレワーク実施率は以下のとおりです。

引用 第5回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(令和4年7月)

ブルーの●が今回の調査結果です。
情報通信業は75.9%に対して、製造業は40.7%。製造業はエンジニアだけに絞ればもっと高い気がします。それにしても情報通信業は断トツです。
グレーの■が2019年12月の数値でコロナ前ですが、情報通信業はそれでも30%弱あります。
情報通信業は、PC一つで仕事ができるので、コロナ禍だろうが平時だろうがテレワークで仕事をすることが一つの働き方として定着したり、そもそも入社時から完全フルリモートで仕事をする人たちもいそうです。
かたや製造業はモノづくりをする製造現場ではテレワークは現実的ではないでしょうから、平時に戻るとともにテレワーク率は低下していきそうです。

離職率

離職率を比較してみます。
エンジニアは転職しやすい、転職することが多い、という印象がありますが、製造業とIT業界では大きく差がある印象です。
厚生労働省が毎年発表する「新規学卒就職者の離職状況」では、業種別に
就職後3年以内の離職率が公開されています。
エンジニア以外の職種もそこには含まれているので正確な比較はできませんが、傾向はつかめるかと。

厚生労働省 新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率から著者作成

2019年3月卒業者の就職後3年以内の離職率は、製造業が18.5%、情報通信業は27.8%。10%近い差があります。製造業は過去10年で18~20%程度で比較的安定して推移していますが、情報通信業は23~26%台だったのが2015年を境に28%~29%台に上昇しています。
2015年といえばIT人材採用の潮目が変わった時期にあたります。転職市場が活性化し転職がさらに進んだものと思われます。
製造業とIT業界で、なぜこれほど離職率に差があるのでしょうか。
エンジニアに限定した話でいうと、ITエンジニアのほうがスキルの転用が利きやすいことがあります。開発環境やプログラミング言語、ライブラリ、フレームワーク、OS、データベースなどのスキルセットが一般化されており、自社だけでなく他社でも通用しやすいイメージです。
いっぽう製造業の場合は製品ごとの固有の技術知識ノウハウが多く、ITエンジニアでいうところのドメイン知識の割合が高いです。製品に携わる時間と技術力は比例するものだと思いますが、製品は会社に行かないと触れないのが普通のため(気軽に持ち運べるものもあるかと思いますが)、自己啓発で補えるものではありません。

今回は勤務先所在地、テレワーク実施率、離職率について製造業とIT業界を比較してみました。

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