見出し画像

マッチングアプリ大戦記 episode26

「26人目 Yさん 27歳 ?似 ペアーズ」

episode25の方と添い遂げることを考え、移住、転職活動をしているさなか、別れを告げられ、あとにも引けなくなり、引っ越しと転職をしてしまった。会社にもそのことを伝えていたので、その帳尻を合わせるために、やけくそになり、また戦いを始めることになった。

どういうきっかけかは、もう思い出せない。確か顔ガチャをした気がする。事前に見せて欲しい旨を伝えたが、恥ずかしいと言われ、実際会うのに恥ずかしいもクソもあるかと思った。
初対面は、行ってみたかったカウンターのみの焼き鳥屋。予約が出来ないらしく、開店ダッシュをするために待ち合わせをした。マスクで現れた彼女は、とても綺麗な格好をしており、期待が膨らんだ。肩を並べながら、歩いている最中、マスク越しにあまり好ましくない臭いがしたが、気のせいだと思うようにした。
お店に着いて、隣同士に座り、マスクを外した顔をおそるおそる見た。見る人が見たら可愛い感じだが、僕的にはギリギリアウトかセーフの瀬戸際だった。
話し始めた途端、最初に感じた違和感は間違っていなかったと確信したが、話している内に、家でウイスキーを飲んだり、職場のワイン会にも参加するくらいの酒好きということもあり、話が弾んだ。
彼女の最近の話になり、実は休職中で、数週間後から新しいところで働き始めるということだった。辞めざるを得なくなったのは、上司がストーカー化したからだ。休日どこに行くにも、つけられていたらしく、あそこにいたよね?とか、一緒に出かけてたのは誰?とかいうことを言われるようになったらしい。
それで精神も参ってしまって、内緒で引っ越したが、それでも誕生日プレゼントを口実にして、引っ越し先の住所を聞き出そうとしたらしいので、なかなか強烈なストーカーだと思った。
他には自分でお店並みのネイルが出来ることや、アロマキャンドルを作って楽しむなど、僕好みの想像力豊かな人だと思い、また会いたいと思った。
緊張か楽しさか分からないが、バンバン酒を飲み、最後には信州の酒を飲んだ頃から、彼女の様子がおかしくなっていった。
トイレに行く回数が多くなり、戻ってこなかったので、逃げられたと思い、ドアノブに手を掛けたら、扉が開いた。
彼女は、便器にうずくまり、戻していた。僕はとても可愛そうなことをしてしまったと、水を買いに行き、お会計を済ませ、彼女の最寄り駅まで一緒に帰った。
そんなことをしたもんだから、もう2度と会えないと思ったら、2回目はパスタランチ、3回目はかっぱ寿司、4回目はワインを飲みに行ったが、なかなか心を開いてもらうことは出来ず、それきりになってしまった。
新しい職場にいい人でもいたのだろうと、思うことにした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?