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探し物

ここはどこなのだろう。頭の中にあったイメージ。舗装されていない道。ちょうど車が通ったのだろうか。轍の部分には雑草が生えていない道。空は曇っている。タイヤで踏み固められた砂の部分だけが、2本真っすぐに続いているように見える道。そこに這いつくばって、草が顔に当たっている。何かを探しているのだろう。後ろの方から、人の歩く音が聞こえ、振り返ってみると人がいた。どこかで見たことのあるような顔。頭の中で思い出せるような顔なのだが、誰なのか分からない。きっとどこかで見たことのある顔。名前も知らない。すぐ横を横切り、道の先へ歩いて行こうとする。動きは緩慢なのだが、だんだんと遠くへ見えなくなっていく。草の間から覗き込むように、そして凝視する。急に何を思い立ったのか立ち上がる。何を探していたのかも忘れた。先に進まなければ行けないような、そんな気持ちになる。そんな気持ちになった瞬間に、先へ進んでいった人が、すごい速さでこちらの方へ走ってくる。みるみる内に近づいてきて、すれ違う時、目を合わせようとしたが、目は合わない。すごい形相をしていた事だけは確かだった。この先には何があるのだろう。そういえば探し物をしていた。また地面に這いつくばって、何かを探し始める。顔には草が当たっている。

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