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郵便車

メルカリに出品したものをポストに投函にしに行く。ちょうど郵便車がとまっていた。おじさんがちょうどポストから水色のバッグを出して、クルマに乗り込んだ瞬間だった。『あー、これは間に合わなかったな』そう思いながら、運転席のおじさんの顔をちらっと見る。白髪のおかっぱ風おじさん。私は、人差し指をばってんにして「ダメですよね?」と暗にきいた。おじさんは私を無視しなかった。ちゃんと私を視界に捉えていてくれて、窓をあけてくれた。「どうぞー」と水色のバッグをがばりとあけて。「ご親切にありがとうございます」と頭を下げ、無事投函。

たったこれだけ。これだけのことなのに。おじさんの「どーぞー」っていう心の余裕が有り難かった。最終便だったのに、全然めんどくさそうでもなかった。たったこれだけのことなんだけど、急いで帰って家族におじさんのことを話した。