大損する確率は長期投資で上がる
タイトルは決して釣りではありません。
株価のよくあるモデル(μ=7%、σ=20%の幾何ブラウン運動モデル)で確かめてみましょう。
資産が30%も減る大損の確率は、投資開始とともに上がっていき、7年後にピークを迎えます。30%大損する確率は、7年という長期に渡って上がるのです。
7年後のピークで確率は9%程度。10回に1回くらいは、資産が30%減ることがあるわけです。
さらに大損して資産が半減してしまう確率を見てみると、ピークを迎えるのは14年目になります。資産半減の大爆損をする確率は、14年という長期に渡って上がるのです。
14年後のピークで確率は3%程度と先ほどより少し低いですが、30回に1回くらいは、資産が半減することがあるわけです。
この現象は、ひとえにリスクによって引き起こされます。
株価は、プラス方向に動く期待リターン成分と、プラスかマイナスかわからないリスク成分によって決まります。
大損するのは、リスク成分が、たまたまマイナス方向に働いたとき。
投資をはじめて数年の間は、リターン成分よりも、リスク成分により上下に広がっていく動きが支配的になります。そのため、大損する確率は時間とともに上がってしまうのです。
でも、安心してください。
リスクは上下どちらに行くかわからない成分なので、±0%、つまり元本割れするかどうかの確率には悪さをしません。元本割れ確率は、期待リターン成分により、ゆっくりと下がっていきます。
ああ、安心した。
【損】する確率は長期投資で下がります。
長期投資は最高です!みんな長期投資しよう!でも、忘れてはいけません。
【大損】する確率は長期投資で上がります。
がーん。
こちらに、一覧表を貼っておきますね。
ものすごく大損してしまう確率ほど、ピークを迎えるタイミングは年数が経ってからになります。
もちろん、この数字は株価が幾何ブラウン運動モデルに従うと仮定した場合で、本当の株価の動きがぴったりこうなるわけではありません。
ですが、大きく損をする確率が投資開始からしばらくの間上がっていくのは疑いようのない事実ですし、この表は大雑把な目安とはなるでしょう。
数年やそこらの長期投資では大損する確率は上がっていくのですが、もっともっと長期投資すれば、いつか大損する確率も下がるときが来ます。
ここまで読んでくださった皆様にこっそりお伝えしますが、長期投資では大損することもあるのですが、大儲けすることもあります。
元本キープ確率というのが、元本割れ確率の余事象(確率$${1-p}$$)。
2バガー、3バガー程度は、長期投資なら全然夢ではありません。50年あれば、10バガーにも手が届くかもしれない。
将来の株価がどうなるかは誰にもわかりません。しかし、確率的に考えれば大儲けできる確率が高い。でも、大損する確率もある。それが、長期投資というものなのです。
こちらの記事で使った数値はこのスプレッドシートで計算しました。
長期投資においてどの程度リスク資産を持つべきか決めたい場合はこちら
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