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恥辱のチャンピオンベルト

僕は数ヶ月前からずっとチャンピオンベルトを巻いている。チャンピオンであり続けるための努力はしていない。

何の努力もしていないのに防衛戦に勝ち続けるなんて、ボクサーなら誰でも描く夢だ。それを叶えているなんて凄すぎる。

と、思えたらなんと幸せだろう。
僕の場合、なんの努力もしていないから、チャンピオンベルトを巻き続けているのだ。夢ならさっさと覚めて欲しい。

背中から脇腹にかけてポヨリと、おヘソ周りにボテッと。長く続く自粛生活で蓄え続けた脂肪は、まるでチャンピオンベルトのようだ。恥ずかしすぎる。

早急に、このベルトを返上しなければならない。
このベルトは、現実に打ち勝って初めて返上できる。現状を知るために、これまでの試合展開を振り返ってみることにする。

今まで現実が襲いかかってきたのは、脱衣場で服を脱ぐタイミングだけだった。
しかし、ディフェンス巧者の僕は鏡に写るおもしろ体型から軽やかに目を逸し、現実からの攻撃を捌いていた。

ここまでは互角の勝負のはずだった。

しかしどうだ。最近は人に会うたびに「太った?」と質問される。四方八方からの連撃。
本当に太ったこともあり、怒りは湧かないが、このままだと取り返しがつかなくなるという危機感を感じる機会が格段に増えた。
なんとか耐え忍んでいるが、このままでは捌ききれない。

現実VS僕の試合。ポイント数では現実有利か。
ラウンド間のインターバルで物思いに耽る。
なんでこんなに太ってしまったんだろう。コロナが流行る前は痩せすぎて心配されていた僕がなぜこんなことに。
最近家にいる機会が多い安心感と暇な時間から、食が進んでいるのは間違いない。


まずは暇を作らないようにしよう。暇を予感したらとりあえず何か手を動かそう。
そして、これから典型的なダイエットの糖質制限や、腹筋、走り込みを始めようと思う。
参考文献として、ロッキーを観る。あれだけ有名なボクシングの映画なのだ、きっとハードなトレーニングをしているはずだ。感化されよう。

アマゾンプライムビデオをTVに映す。
忘れてはいけない。映画といえばと、TVの前にポテトチップスとコーラを用意する。

今日は休日。明日から。明日から。

インターバルが終わる。締まりのないゴングが鳴り響いた。

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