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花束を君に

毎年今頃になると花屋にシャクヤクが並ぶ。ピンポン玉ぐらいの固そうに見える丸いつぼみたちが、マレットのように何本も楽し気に並んでいる。せっかく買ってきても、マレットのままで終わってしまうシャクヤクもたまにあるけれど、たいてい咲いてくれる。

丸い蕾の中にくしゃくしゃに織り込まれていた花びらたちが、やがて伸びを始めて、ふっくらと柔らかく開いていく。そして2-3日で水球の球ぐらいまで開き育つ様には息を飲む。ゴージャスだけどかわいい。

立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花

美人の様子を描写した都都逸の中でも歌われているシャクヤクは、この季節の一つの楽しみ。日本人は楚々とした美人が好きなのかと思いきや、この都都逸を見ると案外とゴージャス系の美人が好きなのかもと思ったりする。ちょっと中国的な雰囲気も漂わせている芍薬の花。

去年は真っ白なシャクヤクと出会えた。毎年少し早めに出てくるのがワインレッドのシャクヤクで、2-3週間ぐらい遅れて薄いピンクのシャクヤクが花屋に並ぶ。でも真っ白なシャクヤクは近所の花屋で見かけたことがなかった。

真っ白なネギ坊主のような蕾を家に持ち帰ると、とても素敵な花を咲かせてくれた。花びらの数がとても多くて、花の大きさも赤ちゃんの頭ぐらいになったように思う。花びらが開くとと所々にほんの少し赤いふがはいっていた。ゴージャスさが別格。もしかしたら結婚式で使われる予定の花だったのかな。幸せのおすそ分け、ありがとう。


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