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今は『宝島』を歌おう~50日目

 オンライン会議後の飲み会による二日酔い残る
 朝起きたら、それほど不幸でもない気持ちだった。それくらいでいい。幸せを感じ、それを失う時も既に知っている。人生、その繰り返し。

 青森国際ホテルの破産。その前に青森グランドホテルももうなくなっていたのか。昔々、ねぶたを見に行って、跳ねた、遠い思い出。

「今死んでもいいくらい幸せ」を知る時

 また、どうでもいいことを書く。

 昔、「今死んでもいいくらい幸せ」という言葉の感覚が全くわからなかった。そういうことを言う人(リアルで近くにいたかな?テレビかな?)を、何をおおげさな、うそつき、そんな感覚があるわけない、と心のどこかでバカにしていた。

 少し前、「あ、これ多分人生で二番目くらいの幸せかも」と感じた時があった。人生で一番まではいかないけど、かなりの幸福感。他人から見ると「何それ」のレベルだが。
 その時、「『今死ねば、この幸福感のピークのまま死ねる』と思う感覚」を自分は理解し、「今死んでもいいくらい幸せ」と思った。語弊を恐れずに言えば「ならば、今、死にたいかも」。
 これか。
 ずれていたねじとナットが合って、ガチンガチンガチン、と何か入るべきところに入るというか。

幸福感は必ず失われる

 なぜ理解したか、もその時同時に理解した。
 この幸福感は続かず、必ず失われる、とわかっていた。この時間を今止めれば、この後に必ず来る幸福感を失う悲しさを味わわずにすむ。
 大人になるのに、ほんと、時間かかったね。遅いよ。

 それまでも多少の山あり谷ありの平凡な人生(矛盾か?)を送ってきた。
 しかし、その少し前の時期に自分に訪れた、挫折、苦悩、失望、絶望というやつは、世の中的にはよくあるけど、自分にとっては結構それなりで。
 詳細は省くが、時間をかけてなんとか立ち直った(と思う)。

 その後、久々に訪れた幸福感は、たいしたことなくても、ものすごく心が高揚した。でも、続かないこともセットで肌感覚でわかった。
 今、小さいなりの山のてっぺんにいて、またすぐ下り坂になる。それまでそう感じなかったということは、それまで、右上がり続きの人生を信じてたのだろうか、幸福が失われたことを認めたくなくて、肩ひじ張って生きていたんだろうか、と今は思う。でも、その時はそれでよかったのだ。
 こんな程度のこと、世の中の人はもっと若い段階でとうに知ってたのかな?だろな。早く知る人もいるし、知らないで生きてても何の問題もないし、とにかく自分は知った。元には戻れない。

あの時は幸せだった、と思える幸せも忘れ、ていい?

 その時の人生二番目くらいの幸福感は、予想通りまもなく失われた。
 ああ、消えたな。でも、あの時は幸せだったな。そういう時間があったことは、消えないな、この先忘れても。
 そう、忘れた方が「次」に行ける。

 幸福は絶対的なものでなくて、落差を受け取る個人の感覚だから、もともと続かないものなんだ。外から貼るレッテルは別にして。

 検索したら、10年余り前のYahoo!知恵袋に
「今、死んでもいいくらい幸せ」という表現をする人ってどう思いますか?
 という問いと、いろんな回答があった。むろん、正解はない。
 みんな、いつの時代も、同じようなことを考えるのだな。

悟り、はやはり少し寂しいらしい

 「悟る、と楽になるらしいよ、でも、つまらないんだって」
 少し以前の苦悩の最中、ある人にそう言われた。何をゆうとんのじゃ、悟りなんて、難しいもの!(頭に浮かんだのは坊さん)、説明もできんくせに! そんなもんより、今この苦しみから逃れたいのじゃ~~

 でも、今は何だか、結果的に、やや悟ってきたような気がする。いろんな本とかにも書かれてますが、自分の場合も、おそらく「あきらめ」か「手放す」か、その辺のように、振り返ると思う。そして少し寂しい。

「さあ行こう夢に見た島へと」

 なんでここまでの話を書いたのかというと、朝起きて頭に浮かんだ歌が、「さあ行こう夢に見た島へと」だった。なんだっけ、この歌。
 今は検索すればすらすら便利。
 『宝島』という、1978年のテレビアニメ主題歌だった。内容も結末も全く記憶にないのに、ずっと頭の中で生き続けてきた名曲。
 ONE PIECEについていけずとも、自分は、これでいい。

 なんで急にこの歌が頭に浮かんだんだろう。浮かんだ瞬間に、もう自分は子どもではないと痛感し、この歌を歌う時は過ぎたかと自問した。
 昨日、世阿弥『風姿花伝』の話を聞いて、若い時にしか咲かない「時分の花」はもう自分にない、と、胸にぐさぐさ来たから?
 そして、それはそれとして、今、再スタートの時だから?

 ……『風姿花伝』はひとまず置こう。今は、そこに、そういう伝承があると知っておけばよい。そして、すべてを手にしては「次」に進めない。

 今は『宝島』を歌おう。

 皆様のご健康を。

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