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247人、「20年ごとの」総理の健康~143日目

 都内新規感染247人。4日連続で200人超。
 今日も暑かった。

40年前の大平さん、20年前の小渕さん

 安倍晋三総理(65)の辞任表明で、朝起き最初に思い出したのは、昭和時代、総理大臣の急死や急病後の死。

 大平正芳首相(1980年6月、享年70)「あーうー宰相」と言われた。総選挙の直前。心筋梗塞による心不全で死去、とされる。
 小渕恵三首相(2000年5月、享年62)「平成おじさん」。ベネチア・サミット直前の2000年4月脳梗塞を発症。退任後、昏睡状態が続き死去。森喜朗首相誕生に続く。
 大平さん、小渕さんと、20年間隔。小渕さんが亡くなってから20年の今年。20年間隔で訪れた首相の健康問題。それがよぎった人も少なくないだろうし、ほかならぬ安倍総理が思っていたかもしれない。いずれにしても、そういう一大事にならなくてよかったと思う。
 人間として健康を祈る、だけでなく、首相の急死は周辺の感覚をおかしくしてしまうのだ。病気理由の退陣でも、急に倒れるより、全然ましだ。

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「日本株式会社」の社長が突然退任へ

 次に思ったのは、虚無感。日本と言う会社の社長が健康上の理由で退任するようなもんだ。普通の会社の社長が退任するだけでその会社の社員たちは大騒ぎだが、その会社はなくとも日本は回るが、日本がないと日本は回らない。世界から日本がなくなる日がくれば別だが(国がなくなったところがあるので、可能性がないわけではない)。

 例えば、今、小池百合子都知事が突然いなくなったら、都民としてはやはり困る。政策の是非は別として。

 直接民主制でないので、代弁者である政治家は「必要悪」でも必要だ。
 日本がある限り、首相は必要悪でも必要だ。
 誰かがやらねばならぬ。

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新聞6紙の見出し等から論調を比べる

 朝6時過ぎ、コンビニに行き、新聞を買い、6紙を並べる。図書館で見てる余裕はなさそうだし(図書館で朝一から、新聞を確保して手放さない人がいたりするので、読めなかったりする。読んだら返そう)、こういう日は多少の出費も必要だ。
 こうした国家の一大事の時、特に、「権力者の病気」という、バランス感覚を失いそうな事態の時は、こういう作業で、バランスをとる必要がある。

新聞6紙の主な見出し

1.<一面 政治部長論文>
読売:国論二分の課題挑んだ
朝日:1強政治の「負の遺産」教訓に
毎日:次に進む道 探る時
日経:政策遂行 切れ目なく
産経:国難に立ち向かう体制づくり急務(今更だが政治部長、女性)
東京:一強と分断の7年8ヵ月

2.<社説等>
読売「危機対処へ政治空白避けよ 政策遂行に強力な体制が要る」
(小見出し)長期政権の功績大きい 総裁選で活発な論争を
朝日「最長政権 突然の幕へ 「安倍政治」の弊害 清算の時」
(小見出し)安定基盤を生かせず 「分断」「忖度」克服を
毎日「安倍首相が辞任表明 行き詰まった末の幕引き
(小見出し)迷走続いたコロナ対応 難局乗り切る体制急務
日経「コロナ禍に政治空白は許されない」
(小見出し)円滑な政権移行を 業績は「政治の安定」
産経「速やかに自民党総裁選を 「安倍政治」を発射台にせよ
(小見出し)多くの仕事成し遂げた 憲法改正は実現できず
東京「首相退陣表明 「安倍政治」の転換こそ
(小見出し)任期途中2度目の辞任 憲法軽視の「一強政権」 速やかに国民の「信」問え

 以上の見出しを読むだけで、それぞれの論調がだいたいわかる。
 一応、これで、頭のバランスがとれる。これで最低限の作業。
 ネットではなかなか難しいので、このアナログな作業は悪くない。

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「後継者を育てなかった」

 余裕があれば、次は、「識者のコメント」である。
 各紙の論調がどんな識者を選ぶかに影響するし、政治面、解説面、社会面でまた人選の色合いも変わる。
 たくさん出ているのが、御厨貴先生(日本政治史)が一番気になる。日経も少しあるが、毎日が長い。
・過去の長期政権では佐藤、中曽根、小泉は、どう辞めるかを考えたのに、過去に学んでいない。
・それほど大きな功績はない。
・これほど「右」とつながっていた首相は近年いなかった。
・平成初めの政治改革として挙げた2大政党制が成らず沈んでいった、「安倍1強」とは結局そういうこと。
・安倍首相は後継を育てないまま政権を去る。長期政権は次期首相候補を競わせた。佐藤の「三木、田中、大平、福田、中曽根」、中曽根の「安倍晋太郎(現総理の父)、竹下、宮沢」、小泉の「麻生、谷垣、福田康夫、安倍晋三」。安倍首相は将来を見据えた人事をしてこなかった
 (「後継者育てず、人材不足」は、朝日の識者、奈良岡聰智さん・日本政治外交史、も指摘)

 政治とは関係ないが、安倍さんにお子さんがいないのは、今後のあれこれを起こさないことではいいのかもしれない(私見)。安倍総理の誕生は、祖父の岸信介の存在よりも、亡き父の安倍晋太郎(元外相、元毎日新聞記者、享年67)が総裁選に出られないまま、癌で病死したことが大きい、と自分は感じており。
 小泉純一郎は国を変えてしまったが、安倍総理は変えるまでに至っていない気がする。そして、小泉ジュニアが微妙だが、安倍ジュニアは今度はいない(はず)なので、そうした、ごたごた、はないことになる。
 いや、ジュニアがいないから、長期政権にこだわったとは思いたくもない。仮にも一国の首相である。

自民党の総裁選びの方が衆院選より重要?

 とりあえずこの視点を頭に入れて、ほかの報道を見聞きしておけばとこれで十分と思うが(時間も無いし)、バランスのために。
 読売の北岡伸一さん。最近、彼が編集した地政学の本を買って、まだ読みかけだった。
・外交・安全保障分野で右寄りのイデオロギーを封印し、中道でプラグマティック(実利的)な態度で成果をあげた。第一に対米関係を維持、強化。第二に、主体性を失うことなく中国との関係を比較的平穏に保ち、対立を避けた。長期政権の利点は、大きい。「自由で開かれたインド太平洋」構想など国際社会で存在感を示した。
・一方、内政では多くのスローガンと大きな展望を掲げながら、リスクをとって切り込まなかった。憲法改正道半ば。
・この政権の問題は、首相官邸で安倍氏を支えたいわゆる「官邸官僚」が、時として官僚に対し高圧的に臨み、対話を通じて官僚の能力を十分に引き出そうとしなかったことだ。コロナ対応のつまずきにもつながった。官邸への権力集中は衆院の小選挙区に起因する。この構図が続けば、自民党の総裁選びの方が衆院選より重要になる。ならば「ポスト安倍」には。。

日本の国のあり方、を考えたことは評価したい

 今ごろ、哲学の本を読んであたふたしている、自分がエラソーに何を言う、は置いておいて(だってそんなこと言ったら、何も言えなくなるぞ。うるさいけど、考えています)
 少し前に、乱読の中で、高島俊男 『漢字と日本人』 (文春新書、2001年)を読み終わっていた。
 この高島先生は、そもそも中国語の成り立ちから始まって、漢字と日本語の歴史を語る。そうだ、自分は日本という国の人間なのだと思った本である。面白い。アマゾンレビューも高評価。

 安倍さんが、日本の国を真面目に考えたことは、へたれの自分が偉そうにだが、評価したい。

 とりあえず、こんな感じかな。午前中、出かける前に書きました。

 皆様のご健康を。
 
 

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