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「善意のかけ逃げ」を防ぐためにしていること

対価として直接お金をもらっている場合は、あまり感じないかもしれません。

相談業務の中には社会保険料などから費用が出ていて間接的にお金をもらっているものの、クライエントと直接お金のやり取りをしていないケースもあります。

私が勤めていた相談職もそうです。
働き始めた時は、20代半ば。
クライエントとなる高齢者とはだいぶ年齢が離れています。孫くらいです。

色んな人生経験を積んでこられた方が、サービスとはいえ、もの凄く年下の職員の支援を受けるわけです。

それも外観上は一方的に。

支援する側と支援される側が明確に線が引かれているような関係になります。

そのため、言語・非言語を含め受け止める態度が大事にしてきました。

クライエントの「ケアする欲求(誰かの世話をする)」を満たすような働きかけでもあります。

私がよくやっていたのは、以下の通り。

①リアクションをしっかりと取る

 アセスメントを目的として、こちらが知りたい内容を尋ねていると「ここ、もっと話したいと思っているかも」とクライエントが話したがっている内容を感じることがあります。
初回面談では、関係づくりが大事なので、時間が許す限り聞きたいことだけでなく、クライエントが話したがっていることを積極的に聞き、「それは凄い!」「なるほど!」「え、びっくり」などリアクションも大切にしていきます。

②相談する

 読んで字の如く、クライエントに相談する感じです。私は高齢者分野だったので、
「最近、肩凝りが酷くて悩んでるんですよ」とか
「結婚したら、住む場所ってどうしたらいいですかね」
みたいに経験されたことでアドバイスしていただけそうなネタを提供するようにしていました。
 アドバイスされたら、実践して報告し、「ありがとうございました」で終われるようにしていました。

③メタファシリテーション

 詳細は単独記事でいつか取り上げますが、「いつ、なに、どこ、誰」みたいな事実質問を行う技法ですが、訪問時はこの中の「これは何ですか?」という英語の基礎みたいな質問が効果的でした。
 黒電話とかあったら最高ですね。私も使ったことはあるものの、それはおいといて(笑)、
「え、これは何ですか?」
と尋ねると教えてくれます。身に着けているもの、家にあるものだったら、だいたい説明できますもんね。
 ②と同じく、教えるという行為をしていただくことで、立場を逆転させ、対等な関係を目指します

④出されたお茶を飲む

 これは賛否あると思います。介護職のような直接支援する仕事の場合はリスクも伴いますが、相談職の場合は前述の通り、一方的な支援関係に感じられていることもあります。
 お茶を出すという身近なケア行為については私は受け取るようにしていました。お茶菓子くらいもいただいてましたね。
行政職と同行訪問した時は白い目で見られていましたが(笑)。


①~④までの行為以外にもありますが、なぜこんなことをするかというと、最初に書いたような一方的な支援関係は、かえってクライエントの尊厳を損なう、傷つける行為になる可能性があるからです。
「私はもう何もできないんだな」「こんなに世話ばかり受けるようになって」のような自己認識から脱却していただけるような工夫です。

相手の身近なケア行為を受け取らない、感謝される機会を設けない一方的な支援のことを、「善意のかけ逃げ」と私は呼んでいます。


学習塾で働いていた時も子どもたちからアニメやゲームについて「教えてもらう」ことを通して関係を作っていました。
相手の善意を受け取る、感謝を言動で表現することをこれからも大切にしていきたいと思います。

今回は以上です。
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