ゴッキンゲルゲル・ゴキ博士の知らんけど日記 その47:「ブラック・ジャック」という奇跡26 ~パク船長~

 第26話「パク船長」は、1974年6月10日、週刊少年チャンピオン誌に掲載された。あらすじはこうだ。

 嵐の夜、数十人は乗せていると思われる船が暗礁にのりあげる。その衝撃で階段から落ちたパク船長は重傷を負う。船員が小型ボートで海岸に乗りつけ、崖の上に立つブラック・ジャックの家に助けを求める。ブラック・ジャックはピノコをおいて船員たちと小型ボートに乗り、船に案内される。パク船長に応急処置を施す。船は沈みかけている。「きみたち 密航者だな?」「密航船でも なければこんな あらしの晩に あかりもつけずにウロウロしているはずはないし・・・・・・」「救助信号もうつはずだ」と言う
ブラック・ジャック。パク船長はこたえる。「おれの国は いま 自由が禁じられてるんでね つらくって 国をにげ出す者が多いのさ」「なにしろ 学校では 政府につごうの いいことしか おしえないし 検閲をうけた本しか 出せないし読めない」「集会やパーティーをやると 特殊警察に つかまるんだ」「ちょっとでも 政府のことを わるくいうと死刑だ」「にげ出さないほうがおかしいだろ? え?」。
 沈みゆく船。あと三時間で転覆。ブラック・ジャックは言う。「船長!もう時間がないぞ」「みんなを 殺したくなかったら すぐSOSを打てっ」「海上保安庁に 救助をたのめっ」。対して、パク船長は「うるさい!!」「保安庁に たすけられて 密航者とわかり・・・」「すぐ 収容所へ ぶちこまれ・・・・・・」「そのあと本国へ 送りかえされる そして待っているものは 脱走罪で死刑だ」「いままでおれは 五百人の人間を 日本へつれてきたが・・・・・・」「だれも みんな自由をほしがっていた みすみす死刑になりにつかまったりはせんぞっ」「本国政府が おれを つかまえて銃殺するまで 一千人を送り出してやるぜ」と言う。全員を陸へ送り終わった船長は、一人船に残る。
 翌朝、船はもう沈んでおり、海岸まで辿り着いた乗客も多くが亡くなっている。一部無事亡命できたかどうかは不明。海をじっと眺めるブラック・ジャック。

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