読書note 01:『緑街』かくらこう著
最近、noteで活躍されているお二人の著作を、紙本で読んでみました。どちらも、とても面白かったので、簡単に感想を記してみようと思います。
まずは、かくらさんの『緑街』(おはなしの喫茶室)から。
『緑街』は、2016年にかくらさんがnoteで連載された中編小説。
noteで第1章の終わりあたりまで読んだのですが、紙本化されることを知り、この作品は、できれば指でページをめくり、目で縦書きの活字を追っていきたいと思い、一旦中断。2017年3月に紙本が出された際にさっそく入手し、改めて最初から読んでみました。
紙本は文庫本サイズで、156ページ。かくらさんの本づくりへのこだわりが感じられる、ていねいな造りとなっています。
物語は、種を植えられた人間が植物と化しながら暮らす雨ヶ崎植物研究所、通称「緑街」を舞台に展開されます。
登場人物たちは、みな胸の中になにかしらの「空洞」を抱えており、それを埋めようとするように、自らの身体を植物へ明け渡します。
主人公キイだけが、ひとり「空洞」から目を逸らすことなく、物語の中を縦横に動きまわる。そして、自らの存在をあやうくする「めまい」に何度も襲われながら、人々が抱えている「空洞」のもつ意味を知ることに……。
といった、かなり幻想的な物語なのですが、かくらさんの文章には濃密なリアリティが漂っており、ページをめくるたびに、緑街の奥へ奥へと踏み込んでいく心地がしました。
この物語では、ミヤコグサ、カゼクサ、スズメノカタビラ、オヒシバ、ムラサキサギゴケなど、僕の好きな雑草たちがたくさん登場し、重要な役割を演じるのですが、個人的にはそれもまた大きな魅力でした。
かくらさんのマガジン『緑街』
現在は、第3章(全5章)まで無料公開中。紙本の入手方法も、こちらに記されています。
https://note.mu/kakura/m/me006ff35bd47
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