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「私というパズル」自分の気持ちのピースを見つけては心を埋めていく

Netflix映画「私というパズル」(2020年)です。

傑作です。とても深く重い内容なのでエネルギーのある時に見るのがオススメ。映画を見ているときはつらく感じてしまうのですが、見終わってからとても励まされるというか、前を向く気持ちになる映画です。

産んだばかりの子どもを亡くす、という深い悲しみと痛みを抱えた主人公。さらに周囲の人々とのつらい葛藤。夫や母親、妹などそれぞれの家族にとっても悲しい出来事に違いないのだけれど、それぞれの思いや経験や立場によって、悲しみとの向き合い方や、乗り越える時間、乗り越え方は違う。それゆえに同じ悲しみを抱えた人同士なのに傷つけあってしまう。

途中、どうしようもなく悲しくなってしまって映画を中断。(配信はそれができるので、マイペースで映画を見進められてよき)気を取り直して最後まで見終えました。最後まで見て本当によかった。悲しくて辛い気持ちを抱えた人は、時間をかけてゆっくり見るのも良きかな、と思います。

主人公はずっと言葉が少なくて、きっと自分自身も自分の気持ちをどう扱っていいのかわからなくて、苦しみの中をもがいている。そんな彼女の繊細な心の動きにじっくり丁寧に寄り添います。

そして、ようやく自分で自分の気持ちに向き合う時が来て、パズルのピースをひとつひとつ探して、見つけては心のすき間に埋めていく。そんな彼女に大きな拍手を送りたい。

きっとその姿が、悲しみや辛さを抱えた多くの女性たちへの大きな励ましとなる作品だと思います。リンゴの種の発芽のシーンや、実をたくさんつけたリンゴの木のラストシーンが素晴らしい。

何よりも主演のヴァネッサ・カービーが素敵な女優さんでした。熱演に心打たれました。

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