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暑い寒いの副産物

日本の四季はいつからか二季になったのだろうか。昭和中期に育った私の記憶では日本の四季は均等に存在していたと思うのだが。例えば345月は春、678月が夏といったように。ところがいつの間にか均等どころか春と秋は一目散に通り過ぎる季節になったような。もしかしたら今や春は桜が咲く期間のことを指し秋は?読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋はすでに過去のことになったのだろうか。そういえば10月10日が体育の日でなくなってからはや20年経ったらしい。もはやあったことさえ知らない人もいるんだろうな。
さてそれはそうと少なくとも日本には冬がある。寒いのが苦手な人にとっては嫌な季節なのだろうが季節があるって素敵なこと。実は副産物まで生まれている。コートを着るようになるとそんな感覚が芽生えた原点を思い出す。今から30年位前に行ったバタム島でのことである。バタムはシンガポールから船で50分程のところにある島。おそらく今は諸々整備されているだろうが当時は島自体が観光化して6か月の時ゆえ、まぁなかなかの刺激的な旅となった。例えば着いた船着き場でのこと。インドネシア領のため入国審査を終えて外へ出てみたら・・目に飛び込んできたのがくつを履いていないたくさんの現地の人たち。私たちは瞬く間に囲まれた。そしてそこからはほとんどジェスチャーコミュニケーションで過ごすことになったのだ。ただ救われたのがホテルの支配人が日本人だったこと。6か月前、日本から一人赴任してきた彼に私たちはジープで案内してもらった。ジャングルの中を走る体験はちょー刺激的。高いところにある藁の家やだだっ広い市場、海岸ではこどもがココナッツの木にするする登って実をとってくれた。まさに天然のココナッツジュースだ。甘かった。冷蔵庫代わりの箱の中にはたくさんの魚がいた。そしてテレビもあり。ただし映るのは朝と晩のみ。どうやら昼は誰も仕事をしなくなるのでやらないらしい。道々で支配人は色々なことを話してくれた。ホテルのスタッフを現地で採用して一番初めにやったことはくつを履く習慣をつくること。これに2か月かかったと。そして一番教えるのが難しかったのは『準備をしておく』という考え方。ここは1年中暑い。だからTシャツ2枚あれば過ごせるんですよ。1枚は着て1枚は干して。そもそも準備は要らないんです。いや~つくづく思います。日本の四季には意味があるんだなぁって。


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