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行政書士試験合格講座 基本的人権総論 > 憲法の私人間効力

第3節 憲法の私人間効力

 憲法の人権規定は、『公権力』との関係において、国民の権利・自由を保護するものと考えられてきました。よって、基本的に『私人同士』の関係において憲法が問題になることはないとも考えられます。しかし、資本主義の発達に伴い、公権力にも匹敵するような巨大な力を有する私的団体が生まれ、力を持たない一般国民の人権を脅かすという事態が生じている現実があります。
 また、そもそも憲法の理念には「強者による弱者への理不尽を許さない」というものが含まれており、その理念に照らすと、歴史的にみて公権力が強者の代表格だというだけですから、その他の『強者たる私人』は憲法によって拘束されないと考える理由はなく、むしろ拘束されると考えるほうが憲法の理念に適うということができます。
 この点、今日では私人間の問題においても憲法の適用があると考える立場が一般的ですが、その適用方法には諸説あり、判例は、憲法の求める価値判断を民法90条のような一般条項に取り込んで、私人間の問題に間接的に憲法を適用する間接適用説を採っているものとされます。

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