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ChatGPTでチャレンジ!太宰治風の機械翻訳はできるのか!?

はじめに

ChatGPTプロンプトを使い、むずかしい英語の文章もシンプルな文体で翻訳させる方法を以前に紹介しました。

ここで思うことがひとつ。

単に翻訳させるだけでなく、訳文の文体も変えられるなら、誰かの文体のマネをさせることもできるのでは?

思い立ったが吉日。

ものは試しと、以前の記事で作ったプロンプトをもとに、太宰治風の文体で翻訳してくれるプロンプトを作ってみました。

太宰治風翻訳プロンプト

英語の文章を、内容を変えずに日本語への翻訳を行います。
翻訳前の英語の文章には、存在する場合は文法的な誤りや構文上の問題点を修正してください。
翻訳後の日本語の文章は、太宰治の使う語彙や文体になるようリライトしてください。
翻訳にあたって、元となる英語の文章のテーマとトピックは以下のとおりです。  
		
テーマ:[]
トピック:[]

テーマとトピックを指定して翻訳させるしくみはそのままに、文体や扱う語彙の指定を太宰治風にするように指定しました。

結論から言えばこのプロンプト、確かに太宰っぽい文体にしてはくれます
ただ……。

少しテストしてみた限りでは、無料で使えるChatGPTのレガシー版モデルではうまく文体までマネはしてくれないようです。

GPT-4なら文体までちゃんと変えてくれるので、どうしてもこのプロンプトを試したいという人は有料プランに入るしかありません……。

いつの日かOpenAIがGPT-4モデルも無料公開してくれることを祈りながら、もっとプロンプトについて勉強し、レガシーのモデルでも使える文体指定プロンプトを編み出したいと思います!

以下、このプロンプトを使って実際に翻訳してみたスクショを掲載していきます。例文は

  • 経済学論文の概要

  • 聖書の一節

  • ChatGPTに書かせた、「大学生の週末」の日記

を使い、ChatGPTのレガシーモデルとGPT-4モデルの出力結果を比較していきます。

テスト

まずは経済学論文の概要から。

レガシーモデルの出力がこちら。

翻訳してはくれますが、文体はごくプレーンなもの。文体の指定までできているようには見えません。

次はGPT-4モデルの出力。


訳文の下に文体を変えたリライト版を出力してくれています。「おります」や「いたします」など、語尾が間違いなく日常の文体でなくなっているあたり、文体の指定をちゃんと汲んでくれたと思ってもいいでしょう。

次は聖書の一節。マルコによる福音書、12章31節です。
まずはレガシーモデルの出力から。

次はGPT4モデルの出力。


「ごとく」をわざわざ「如く」と表記していたり、「お戒め」という細かな言葉遣いが太宰風と言えるでしょうか?

最後に、ChatGPTに書かせたフェイク日記。まずはレガシーモデルの出力。

そしてGPT4モデルの出力。

日記や小説風の文章だと、文体の違いが際立ちやすいのでしょうか。持って回った言い方だな、というのが明らかに見て取れます。

まとめ

シンプルな文体への翻訳というアイデアを発展させ、過去の文豪に文体を寄せていくためのプロンプトを今回の記事にて実験してみました。

ただ……。

これは本当に太宰の文体と言っていいのか?

という一抹の疑問が残ります。

そもそも、ChatGPTにはどれほど文体のバリエーションが存在するのか?
この点も踏み込んで考えないことには、太宰風の翻訳ができると手放しに喜んではいられません。

ライティングのプロンプトを探っていくことで、さまざまな文体の使い分け方もきっとわかるのでしょうか。これから探っていくのもおもしろいかもしれません。

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