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見えない凶器

見えない凶器

 見えない凶器を持った人間。それが私の家には住んでいました。玄関を開けたすぐ向かいの部屋。2LKのアパートの一室。その人はたった一人でそこを占拠していました。
幼い私の夢は、自分の部屋を持つことでした。2LKのアパートですから、ひとつの部屋を占有されれば、あとは1LKしか残りません。あと一つの部屋は寝室として使っていたので、私の手には入りませんでした。キッチンを私だけの物にするわけにはいきませんで

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白紙の日記

白紙の日記

「何をするでもなく、ただ、白紙を埋める。その作業に没頭したのは、どうしようもなく不安だったから。心の端から端まで、黒く、赤くして、なんでもいいから空虚の色を残すことがたまらなく嫌だったの。それをわかってくれる?」
 真剣なまなざしで、八重子は言った。切りそろえられた黒髪が、蝋燭の光で艶めかしく光っている。病的に白い肌は暗闇からぼぉっと浮かび上がる。血色の悪い頬に、炎がほのかな紅を差して、いつもより

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