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アイスに「十分食べた」なんて、ないよねえ

すれ違った柴犬、舌を垂らし、尻をふりふり歩く。
振り返ると、柴犬は、立ち止まり、舌をしまい、真顔。そしてこちらをジッ、と見つめていた。何?

秋の日曜日、昼、まだ暑い。レモン味のソフトクリームは、カルピスのような味。優しいすっぱさ。
初夏のような気温の中、道の駅に突如現れた80sのような遊園地。入園無料。

中央部、死😡のチャリ  右下部、爆速💖チャリ

興味本位で鷲羽山ハイランドのスカイサイクルのようなものに乗ってみる。
…阿鼻叫喚。
初っ端からクライマックス。カーブが「死」。遅延ジェットコースター。地獄の一丁目はこちら。
そして、走馬灯がくるくる回る。大体は、親への謝罪。今までありがとう、と言わざるを得ないアトラクション。自力でゴールに辿り着かない限り永遠に、今にも落ちるのではないか、という恐怖に支配され続けること、地獄だな。生命を脅かすアトラクションとは。自戒のできるアトラクションとは。はて。

「ちょっと、怖いネ…😅」
何かを得るには何かを失う覚悟がいる───
感動と虚無が表裏一体
バイオハザードなら安心しきったここで襲われる

寂れた、手作り感のあるゲームセンター、爆走チャリアトラクション、所々色のハゲた、100円を入れたら動く乗り物など、郷愁を誘う。豪華な文化祭みたいだなあと、思う。

剣で刺されるおじさん、序列年功制ならかなり上
私たち、よく頑張ってる。


市場は閑散としていた。15時を回れば魚も、もういない。磯の香が満ちている空間に、水の揺れるステンレスの生簀。それは、均等に点在していて、おばさんが、水を撒く。僅かに開いた、とても大きな、重厚な扉からは、海がのぞく。伊根の舟屋に行ってみたい。
端の方で、魚の惣菜が売られていたので、サワラのたたきを買った。淡白な味のサワラ。わたしはとてもとても、好き。厚い切り身は、しっとりしていた。ツマも主役になる。市場の外で食べる。風が、海の味を連れてきて、サワラはより、濃厚になる。

C´est bon!

女の子がお父さんに怒られていた。
「もうアイスはだめ、十分食べたからだめ。だめだって。この残りは◯◯ちゃんのアイスだから!だめ!」
アイスに「十分食べた」なんて、ないよねえ。


丘の上にある草むらには、楽しそうな親子。海を見渡すことのできる絶景スポットには、誰の隙も許さないカップルたちの群れ。1組は、お揃いのスタジャンを羽織って、交互に写真を取り合っていた。振り向き様の写真や、俯いた写真。インスタ用かな。みな、刹那の幸せを謳歌する。

カップルバイキング会場はこちら💁‍♀️

新鮮で、瑞々しい空気。夕暮れが近い。
傍で、わたしはなんとなく、四つ葉のクローバーを探していた。

さびしさに宿を立ち出でて眺むればいづこも同じ秋の夕暮れ
様々な感懐を含んだ落日は、いつも美しい。

そして、明日が続いていく


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