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懐かしさの正体の話

はーん、どんだけ前の話してんねん、という感じですが、7月にテート美術館展と「エルマーのぼうけん」展に行きました。


今日のブログはとても長いので、暇すぎて指紋眺めるくらいしか今日はやることないという方、もしくはモノづくりや作品づくりの向き合い方に興味がある方だけ読んでくれたらと思います。

一人ぶらり旅in東京をした時のお話です。
東京の土地鑑が分からなくて「今日はよく歩いたな~」くらいやったけど、ヘルスケアみてたら2万歩以上歩いてたし、東京に慣れている人からしたらあり得んムーヴやったと思う。

宿泊してた恵比寿の宿を出発→六本木の国立新美術館→原宿でランチ→中野→立川のPLAY!→高円寺→羽田空港

灼熱の37.7℃を更新した日だったというのに気狂ってら~。


でもどれも行ってよかったと心の底から思います。

てことで、まず国立新美術館の「テート美術館展」のお話。
10月に大阪の中之島美術館に来るし、その時にでも行こうかなーとぼんやり思ったけど、国立新美術館で観てみたくて行ってみた。

チケットにジョン・ブレットさんの絵が〜

ほんま、小学生みたいな感想で情けないですけど、でかくて広くて綺麗だったです。

あれは何という名前の最寄り駅だったんか忘れたけどまあまあ駅から歩いたし坂道もあったりして、美術館に到着するころには、シャワー浴びてそのまま拭かんと来たんすか?ってくらい汗だくだった。
歩くの嫌いじゃないけど慣れてない生粋の徳島人である。


今回観に行ったテート美術館展とは、その名の通りロンドンにあるテート美術館にある作品の中から「光」にまつわる120点もの作品を選出した美術展、ということだった。

絵画をはじめ、映像やモニュメントなど、いろんな表現方法の「光」があってとても「ほほお~」となりました。

個人的にはハマスホイさんの作品を鑑賞できたのがハイライトでした。

室内
思ってたより小ぶりな作品

室内画というものはヒュゲという言葉で表せるそう。
ヒュゲとは、デンマーク語で「暖かい」や「居心地がいい雰囲気」という意味らしい。

1880年代くらいから室内画が流行、普遍的な日常の中の幸せを描いた作品が注目されてたのかな。
(↑のハマスホイさんの作品は彩度も低めで一見暗い雰囲気に見えるが、この時代の作品をいくつか見たら流行していた画風に納得がいく)


どこか懐かしいなと感じてもらえるような作品づくりをずっと意識してるんですがなかなか思い通りに表現できなくて苦戦してる真っ只中だったんで、個人的に暗い室内に光が差す描写がとても勉強になりました。


何気ない生活の描写がいちばん難しいのって不思議じゃないですか。
想像や空想は自分の中で生まれて自分だけが自分のやり方で表現できるもの。誰にも否定されないし、否定される筋合いないし、自由度が高い。

なんかオシャレ、とか、なんかエモい、みたいな曖昧で浅い受け取り方をされるものはピンタレストと少しばかりのセンスがあればとりあえず生み出せたりする。


でも誰のものでもないし誰のものでもあるような日常って、普遍的な情景描写に加えて共感性を求めるから難しいのかなって思う。
「あ~、なんか懐かしい、おばあちゃん家思い出すわあ。」みたいな気持ちって、きっかけさえあれば割と多くの人が味わえる感情だったりする。


だからこそ、その気持ちとか記憶を引き出すためにはよく観察して吸収して懐かしさの正体がなんなのか理解して、さらには表現する力が必要で。
それらが自分にはまだまだ足りてないから思いあぐねるのだー。ひたすら良いと思うものから吸収するしかない。死ぬまで勉強。


ありきたりな景色を緻密に繊細に表現する石田徹也さんやもの久保さんの作品集からたくさん吸収していましたが、今回の旅でもまた得るものがあってうれしい。

ペー・ホワイト「ぶら下がったかけら」
オラファー・エリアソン「黄色 vs 紫」これは実際に見ないと不思議さ伝わらない


オラファー・エリアソン「星くずの素粒子」


朝っぱらからええもん観えましたわ~とご満悦のまま国立新美術館をあとにし、原宿でパスタを食べ、中野に移動。
中野ブロードウェイの中にある中野ロープウェイが好きで、東京に行くときは必ず行く。
商店街のインドカレーのお店でタピオカマサラチャイを飲んだ。

そそくさと電車で立川まで移動して、そこからまた相当歩く。
気にしいなので、汗かいてる自分を客観視して、「あのひと、うみぼうずみたい」と笑われているような気がして勝手にへこむ。
(補足、なんの病も患ってないです)


なんかシャレててプライドが高そうなママたちがおランチなさってるのを横目に到着したPLAY!という展示スペース。

PLAY!の文字が跳ね上がってますわ


ここでは「エルマーのぼうけん」展を鑑賞しました。

本当は2ショット撮りたかったけど
誰にも頼めなかった

なななんとエルマーのぼうけんの展覧会は日本初だったそうで、それだけで沸いた。しかも展示されているのは絵本の原画。これは大歓喜以外の何物でもない。

原画は想像よりはるかに小さかった。
どれも愛らしくて素敵だったけど、特にお気に入りはこれら⇩

大好きなみかん島のはなし
アルダブラゾウガメかなあ
原画ほんまこまい
描きながら肩凝ってたんちゃうかな


エルマーのぼうけんは幼稚園の頃に読んでもらった気がする。小学校に入ってからは自分で読んだ気がする。
なぜか鮮明に覚えているのがみかん島の描写。読み聞かせしてもらいながら、照ったみかんの皮の質感とか酸っぱくて甘くてみずみずしい香りを強く感じたのを今でもはっきり思い出せる。記憶の不思議。

これもまた懐かしさの話なんやけど、よく覚えてないけど懐かしい、あれは事実だったかな、という気分になることがよくある。

明らかに事実の記憶もあれば、「なんか、そういうこともあった気がする」というような不明瞭な記憶もある。

例えばおばあちゃん家のことでいうと、激狭洗面所で切れの悪い液体ソープをいつまでもヌルヌル洗い流していたこととか、白い壁が冷たかったこととか、石油ストーブの周りの空気がゆらゆらしてたこととかは明らかに事実の記憶。

でも、近所の神社で友達と待ち合わせしていたこととか、おばあちゃん家の白くて冷たい壁に妹と一緒に頬をつけたことは不明瞭な記憶なんですよねー。

なんかそんなことした気もするけど、してないような気もする。
勝手に過去を塗り替えてしまったんかな、と、悪いことをしてしまったような、嘘をついているような感覚になる。



厳密にいうと覚えているかどうか覚えてない時点で忘れているんでしょうが、確かだったかどうか確認しようがないのでもしかしたら事実かもしれないという可能性を捨てきれないでいる。

余談、マンホールのうさぎが可愛かった
うさぎを見てそういえば年女だということを思い出す


そんなこんなで美術鑑賞にどっぷり浸った旅でした~。
誰かと過ごすのも好きやけど、いざ欲張りコースの旅行となったら自分のペースで動ける一人旅が最強やなと思う。

テート美術館展は10/2まで国立新美術館、10/26からは大阪中之島美術館。
「エルマーぼうけん」展は2024年の夏ごろまで全国を巡回予定だそうです。
どちらも本当に良かったので気になる人は行ってみてください~


どちらの展示でも魅力的なグッズに目がくらみあれもこれもと買ってしまったが、どれも宝物になったので結果オーライ。宝物は多いに越したことない。大事にしよう。

友達がね、美味しいものを食べに行こうと提案してくれた。肉食べたいし麺食べたいしクレープ食べたい。周りの人間はなぜか優しい。職場の上司にあたる人はなぜかほんとによく話を聞いてくれる。それがとてもありがたいんやけども、にわかには信じがたくて不思議に思ったりする。

また友達のこと、書こうかなあ。
ひとり、既読もつかなくなって返信が返ってこなくなった友達がいる。
なんかしたかなあ。生きてるかなあ。
生きてるならいいんだけど。とか、人の心配ばかりしたりする。


それだけじゃない、大量の不安を抱えて今日も震えながら眠ろ〜、みんなもはよネロ〜

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