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昭和の妖怪と呼ばれた男 - 岸伸介のCIAエージェント疑惑

戦後日本を牽引した政治の重鎮、岸伸介。しかし、この男の半生には、なお謎が残されています。なかでも、アメリカ中央情報局(CIA)のエージェントだったのではないか、という疑惑は論争の的となり続けています。

本記事では、"昭和の妖怪"と呼ばれたこの男の素顔に迫ります。

1. 岸伸介とは?

岸伸介(1896-1987)は、戦後の自由民主党総裁や内閣総理大臣を務めた重要人物です。
戦時中は陸軍大臣を務め、敗戦後は非軍事化を推進する一方で、アメリカとの同盟関係を重視しました。経済政策では、所得倍増計画を掲げ、高度経済成長期の基盤を築きあげました。

2. CIAエージェント疑惑の発端

岸のCIAエージェント疑惑は、1988年に出版された伝記『The Nobusuke Kishi Era』(著者:ロバート・A・モリス)が発端となりました。この書籍では、岸が第二次世界大戦中から戦後にかけて、CIAの重要な情報源となり、アメリカの対日政策に影響を与えていたと記されているのです。

3. 岸のCIA関与の"証拠"

モリスは、岸がCIAのコードネーム"ラムズ"として活動していたと主張します。その根拠として以下の点を挙げています。

  1. 岸が戦時中に収集した情報が、CIAの機密文書に記載されていた

  2. 岸は戦後、CIAの要請でアメリカを秘密裏に訪問していた

  3. CIAは岸の政治活動を裏で支援していた形跡がある

4. 岸の動機は何だったのか?

なぜ岸はCIAと協力関係を持ったのでしょうか。専門家の間では、以下の理由が指摘されています。

  1. アメリカ重視路線
    岸は戦後の日本がアメリカと協調することが不可欠と考えていた

  2. 反共産主義
    岸は共産主義の脅威から日本を守るためにCIAと連携した可能性がある

  3. 政治的影響力
    CIAとの関係を通じて、自身の政治的地位を高めようとしていた

5. 日米関係に与えた影響

この疑惑は、日米関係に大きな衝撃を与えました。日本国内では、主権国家の政治指導者がCIAの影響下にあったことへの失望と怒りが広がりました。一方のアメリカでも、同盟国の重要人物を情報源として利用していたことが明るみに出て、信頼を損ねる結果となりました。

6. まとめ

岸伸介のCIAエージェント疑惑は、戦後日本の歴史に大きな疑問を投げかけました。
彼が実際にCIAと関係があったかは定かではありませんが、この事件は日米同盟の裏側を浮き彫りにし、両国関係の複雑さを物語っています。

"昭和の妖怪"と呼ばれた岸の半生は、単なる政治家の枠を超えた、時代を映す鏡でもあったのかもしれません。この男の行動原理を探ることは、戦後日本の歩みを理解する上で重要な手がかりになるでしょう。

引用・参考文献

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