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霞立つ日

霞立つ春の日に
頬を撫でていく微風に連れられて
遠くから光がやって来る
光はあの日のままそこにある

あれはいつだったか
どんな光だったか
夢だったか

手を伸ばし続けて
触れたかと思えばするすると解け
また向こうに浮かんでいる
白く霞んだその向こうに

風が鼻腔を撫でていく
どこかで触れた光の気配が揺れ
それは見つめようとするほど朧げになり
ぜったいに触れられないままそこにある

瞑った目に熱を溜め
零れそうなかけらを一筋にあずけて目を開く
はっきり輪郭のある世界に
微かな喪失感が漂う
声が引っこ抜かれ
喉に靄が渦巻き吐き気が込み上げる
風が心を撫でると
わたしはまっすぐ立っていられない
心の揺れに目が向かぬよう
泥の中で暴れてばかり


今年も花が咲き散っていく

花の香りがまた遠ざかる



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