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道端でいじめられっこに出会った

出先で小学校の前を歩いていたら校門の前で小さな男の子が嗚咽を漏らして一人泣いていた。周りには1mほど距離をとっておろおろしてるおじいさんのみ。

最初は具合が悪くて花壇に向けて吐いてるのかと思って焦って近寄ったんだけど、大泣きしているだけだと分かりまずは一安心。

「どうしたの?大丈夫?」

聞いてはみるけど答えられないほど激しく泣いている。こんなご時世に触れていいのか迷ったけど、そもそも最初に具合悪いのかと思って焦って触っちゃったし。とりあえず背中を撫でる。

おろおろしていたおじいちゃんは「どうやら仲間と喧嘩したらしい」と伝えると去っていった。

ちょっと落ち着いてきたので小さい体には大きなランドセルを降ろさせて、花壇のフチに座らせる。「お友達と喧嘩しちゃったの?」と聞いてみると「ちがう、おいていかれた」と。確かに歩いていた地域は集団登下校をしているようでこんな小さい子が学校の近くを一人で歩いているのは見たことがない。一緒に帰る子供たちが走って彼を置いて行ってしまったらしい。

そうかー。あるよねそういうこと。置いて行った子たちはもしかしたらそこまでの悪意はないのかもしれないけど(置いて行ったつもりはなくて走ったらアイツついてこなかったな~とかね)、置いて行かれた側の寂しさや悲しさ、心細さは本人にとってとても深刻なものなんだろう。後で学年を聞いたらまだ1年生だった。それは辛いよね。

もう少し話を聞いてみると、こういったことは何度もされているらしい。親に話して迎えに来てほしいと言っても1、2回しか迎えに来てくれなかった(この話をしているときもかなり悲しそうだったので親に不安な気持ちを理解してもらえないのもしんどいんだろうな)。先生には話せていない、学校が終わったら門が閉まっちゃうから(実際には横の小さい門が空いているんだけど1年生ぐらいだと登下校のときに空いている大きい門が閉まったらもう学校には入っちゃいけないんだって思ってしまったんだろうな可愛すぎる)。

「あんなやつたち(置いて行った子たち)なんかともう一緒に帰りたくない、学校行きたくないよおおおおおおお」

目から大粒の涙を零しながら体全体で泣いていてほんとうに悲しくて悔しいんだなっていうのが伝わってきた。

話を聞きながら、帰り道を一緒に帰ってあげるべきか学校側に繋ぐべきか迷っていたけど、置いていく行為が何回も行われているとのことだったので一度学校の先生に話を聞いてもらって親御さんに繋いでもらった方が問題がちゃんと表面化するかと思って、男の子に先生にお話しするの嫌じゃないかなと確認をとったうえでその場で学校に電話をかけて担任の先生に繋いでもらい状況を説明、職員室まで送り届けた。先生に話したのに聞いてもらえない、とかだったらまた対応を変える必要があったのかもだけど、今回のケースではこれが自分ができる最善だったのかなと思う。

反省しているのは男の子への声かけだ。彼が仲間に置いて行かれて泣いていると分かったとき私は安堵した。私は虐められのプロだ。小学校入学から中学校まで色んな人に色んな手法で虐められてきた。この子の気持ちは痛いほどわかる。その経験を活かすときが来た、そう思った。辛かったとき私が言われて支えになった言葉、言ってほしかった言葉を言ってあげよう、そう思ったのだが…。

言葉がでてこない。

「そうなんだ」「辛かったね」しか言えない。

背中をさすることしかできない。


~ここで私が過去虐められていることを相談したときに言われた言葉を振り返ってみよう♪~

「相手に悪気はないんだよ」by教師 → 相手に悪気があるかどうかなんて関係ねんだよ今私が辛いって話してんだよ分かるか?しかも悪意あるやろ絶対。大事にしたくないからって被害者に我慢させてんじゃねーぞ○ね!!(これが一番多かった&嫌いすぎて許せませんでしたすみません)

・「自分も何かしたんじゃない?」by教師 → いやしてないんですけど。もししてたとしても今私が受けているいじめについて相談してるんであって私が何かしたかどうかはまた違う話ですよね分かるか?

・「私のほうがもっといじめられていた」by母 → 知らねー!!私が今いじめられてて辛いって話をしてるの分かる?結局私がそれは大変だったねと言う側に回る羽目になる最悪のやつ。

・「大人になって振り返れば大したことない」by母 → 私ね、今、子供なの!今辛いの!分かる?分かんないかー!

・「じゃあ学校辞めれば?」by母 → 上2つについて「そういう話をしてるんじゃない!」といった場合に現れるオプション。ちなみにガチで学校に電話をかけ始める。なんでそう極論なの?30年以上生きた大人の親が提示できる選択肢が我慢するか学校辞めるかの2択しかないの?選択肢少なすぎない?ここはチープなRPGの世界なの?


…うわぁ、全然参考になんねぇ。むしろ言われて最悪だった言葉しか思い浮かばない。

たくさん虐められて周りに支えてもらえなかったから言われたくない言葉は分かるけど言われて嬉しかった言葉や言ってほしかった言葉が出てこない。

でも君の味方だよってことは分かって欲しくて背中をさすって、言葉を否定せず、「辛かったね」と言い続けることしかできませんでした。

後から調べたら、

・「話してくれてありがとう」(話していいんだとホッとするらしい)

・「つらかったでしょう、たいへんだったね」(子供の気持ちをそのまま受け入れる)

・「よく頑張ったね、もう我慢しなくていいよ」(これまでを評価、自己肯定感を大切にする)

・「何があっても絶対味方だからね」(一人じゃないことを伝えて安心させる。)

などなどが声かけするとよい言葉らしい(いじめ総合対策サイトより)。

確かに。これ言われたかったわ…。

ごめんよ男の子…。


今まで色んな手術受けたことあるから私もオペできるよ!なんてことがないようにつらさを経験したことがあるからと言って苦しんでいる人のケアができるわけじゃないんだなと痛感しました。


小学生の頃イジメが本当に辛くて一人で公園で泣いていたとき、20歳前後のお兄さんが話しかけてきて話を聞いてくれて「自分はいつか教師になりたいと思っている、本当に辛いことがあったら話聞くから電話してきていいよ」と連絡先を書いた紙を渡してくれたことがある。予備校が近くにあったからもしかしたら大学受験生だったのかもしれない。

その時はそんな風に親身になってくれる人がいなかったからすごく嬉しくて心が救われて元気が出た。あまりの嬉しさに母にそのことを話してしまった。

「そんな都合の良い人いるわけないでしょ!あんたを誘拐して変なことしようとしてるんだよ!」

そう言われて連絡先を取り上げて目の前でびりびりに破かれた。

「今回危ない目に合わなかったのはただのラッキーだ、下手したら殺されてたんだよ!」

すごい剣幕で叱られそう言われて当時はそうなんだ、やさしそうだったのに危ない人なんだ、知らない人を信じちゃいけないんだ、自分にとって都合の良い人なんかいないんだ…そう落ち込んだ。(これは今になっても人に辛い感情を見せたり悩みを相談できない足枷になっていると思う。)

母が言っていたことは正しくもある。そういうこともあるだろう。実際そうだったのかもしれない。

でも。大人になった今だからこそ。

長い時間ずっと話を聞いてくれて辛かったね、君は頑張ったよ、自分は味方だよと励ましてくれたあのお兄さんはとても温かくてかっこよくて当時の自分にとって救いだった。多分本当に予備校生かなんかだったんだと思う。先生も親も助けてくれないと泣く私の力になりたいと思って紙に書いた連絡先をくれたんだと思う。

大人になって思い返すまで「弱みに付け込んだ不審者」として記憶していたけど今だからこそそう思う。そして本当に感謝している。もはや実際に不審者だったとしても感謝している。

そんな存在に今日私はなれただろうか。助けてくれる大人はいる、自分のことを分かってくれる人はどこかにいるって彼は思ってくれるだろうか。

私は毒親育ち、いじめ、色んな病気を経験してきているけど、それはあくまで経験でしかない。同じ目線に立つだけではダメなんだ、支える側になるには支える側の知識や経験が必要になるんだなと気付きました。


あの男の子が今日ゆっくり安心して眠れていますように。そしてみんなと楽しく登下校できるようになるといいな。


ぺたり



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