続・本の散歩 32/69@豊島区 雑司ヶ谷

画像1 『哀しい予感』吉本ばなな。吉本の小説を読むと、いつしか自分の細胞から蒸発してしまってた思春期の瑞々しい感覚が皮膚に戻ってくる感じがする。淡くて儚い感覚がココロの奥の方に満ちてきてしっとり潤う。たとえば「予感」。コトバにしがたい感覚を文章から読み感じ取れる希少な体験。本書では見えないものを見ようとすること、あるいはうっかり見えてしまうことの畏れ、歓び、哀しみが入り混じった果ての幸福感が描かれる。初めて読んだ時、なぜか雑司ヶ谷をイメージした。いつかの記憶を呼び起こすように散歩した。後ろは鬼子母神。ここ、近い。

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