続・本の散歩 26/69@港区 東京タワー

画像1 『想像ラジオ』いとうせいこう。たとえば復興という名のもとにわたしたちは暮らしの中からかなしみを遠ざけ、忘れようとして生きる。前を向くということではたしかにそうせずにいられないこともある。が、果たしてかなしみとはそのように避けるべきものか。いや、わたしたちはもっとかなしみに寄り添って生きるべきなのではないか。いとうはかなしみという周波数に感度を合わせ、生者と死者が交信し共生する世界を祈る。死者に寄り添ううちに浮かび上がるのは変哲のない日々を生きることの愛しさ、慈しみ。琴線に触れる物語。実在する電波塔の前で。

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