続・本の散歩 50/69@四谷 外濠公園

画像1 『コーヒーと恋愛』獅子文六。わたしがコーヒーをブラックで飲むようになったのは職場に砂糖やクリームがなかったから。美味いも不味いもなくやがて慣れた。昭和初期はブラックで飲む人はまだ少なかったようで、本書に登場する蘊蓄を並べるコーヒー通達も砂糖やクリームを入れてる。主人公は俳優のモエ子。豆や道具に煩いことを言わないが、天性のコーヒーの名手で“まったくウマい”コーヒーを入れる(あー飲みたい!)。戯曲のように舞台が目に浮かぶ軽妙なラブコメディ。風刺が痛快。云十年前、上京したての春に希望と緊張で桜を眺めた四谷にて。

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