続・本の散歩 46/69@渋谷区 表参道

画像1 『QUINAULT』上田義彦。昔、写真家・上田義彦氏の仕事に立ち合わせていただいた。終始物静かだった氏が大判カメラの前で冠布をかぶりレリーズを押す瞬間、人が変わったようにパワフルになった。ガシャンというシャッター音が時間を裁断するように響いた。QUINAULTはネイティブアメリカンが名付けた原始の森。気の遠くなるような歳月の中で堆積された樹の命の記憶。恐怖を感じる程の静寂。目には見えぬ何かが写る。ある時、氏はこれ以上そこに居てはならぬ感覚に襲われ森を出たという。きっと熊ではない。Xマス週間に街路樹の前で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?