本の散歩 51/69@千代田区 九段北 furu.164 2020年9月11日 16:09 『敗戦後論』加藤典洋。一読では噛み砕けない堅い話である。日本人はなぜ戦没者をうまく弔えないのか、アジアへの謝罪をきちんと済ませられないのか…と日本の敗戦による‘ねじれ’を加藤はしぶとく考える。繰り返し読むうち、かた焼き煎餅がじんわり柔らかくなるように主張の輪郭が浮かび上がる。加藤は文芸評論家。戦中戦後の作家たちの小説と言行を具に読み解き、中において大岡昇平に共振する。繁栄していく日本の中で敗者の思いを背負ったまま生きた作家に自身を寄せる。加藤は昨年永眠する。真の評論とはこういうものかと今になって知る。 #散歩 #おすすめ本 #加藤典洋 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート