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僕が新型コロナウイルスで入院した話

※ 各データ、情報は2020年6月時点のものです。

退院して2か月が過ぎたので覚悟を決めて書こうと思う。

わが子たちが「おまえの父ちゃんコーロナ」って言われないことを切に願いながら。

ぎょろり先生。帰らない医者。24時間患者の為に新種のウイルスと戦っているおっちゃん先生を想いながら。

恐怖のなか医療現場で戦っている看護師さん達の事を想いながら。


なぜ今さら罹患・入院したことを公開するのか

新型コロナウイルス ” SARS COVID-19 ” に罹患し入院した僕にとってあまりにも誤った情報が多い。聞きかじりや思い込みの無責任な発言が多いのが悲しいし怖い。

それどころか都知事選を含め政治家のコロナ利用もひどいので僕の実体験とこのRNAウイルスについての真実を伝えたい。厚労大臣の判断も怖いのだ。但しこのウイルスは人により大きく症状は違うようなのでそこんとこよろしこ (キムタク風味)。


微発熱からの経過

4月1日

微発熱。かかりつけのクリニックに行った。インフルの検査で検査綿棒を鼻に突っ込んだ。時期が時期だけにレントゲンで肺の確認。問題なし。

コロナなんてありえないと思いながらも念には念。家庭内隔離を開始したのもこの日だ。すべての受け渡しをドア越しに。シャワーは最後に浴びるようにした。翌日には熱は下がったのだけど。

4月6日

午後からだるい。会議も万が一に備えて会議室の端っこに座る。風邪を他の経営陣やメンバーに移してはいけない。

会議終了後、CEOの平田祐介に「ちと体調悪いのでお先に失礼します」と伝え、ちょっと二人でふざけあってから一路帰宅する。

後から聞くとひどい顔色だったらしいがそんな時こそふざけてくれる平田の心遣いが嬉しい。

帰宅して体温を測ると38.5℃。

4月7日

37.0℃。再度クリニックに診察を受けに。相変わらずインフル反応は出ず。レントゲンで肺を確認するも問題なし。

しかしかかりつけ医師が念の為とPCR検査を手配。医師は僕一人の為に昼休み潰して2時間かけて保健所に当日のPCR検査を取り付けてくれた。紹介状と共に。

「もし新型コロナだったら僕にも連絡入るようになってるし貴方に何があってもサポートするから」と女子向けトキメキゲームアプリのイケメンキャラみたいな言葉を言ってくれた。

「そんな大げさな」と思ったが後で振り返ると感謝しかない。


PCR検査

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完全に病院内部から遮断されているのがお分かりになるだろう。まるで野戦病院だ。

17:30に指定の病院に行きお婆ちゃん看護師さんにインフルエンザ検査棒の巨大版みたいな、デカい綿棒みたいなのを両鼻にぐりぐりと押し込まれる。激しくつらい。僕は脊髄反射でいやいやと頭を振る少年のようになる。

お婆ちゃんは看護師 兼 棒術師範に違いない。

これが噂のPCR検査なのか。


4月8日~4月9日

待てど暮らせど検査結果の連絡がこない。「便りのないのは良い便り」と諺を都合よく解釈し、僕はただただ隔離部屋に引きこもっている。

4月10日

今日も連絡来ないのかと思っていたら夕刻18:00に保健所から陽性連絡の電話が入る。

妖精だったらよかったのに。

19:30に入院受け入れ態勢で病院側が準備しているとのこと、入院先の病院まで公共交通機関を利用してはならない、誰かに車で送ってもらってもならないという厳しいお達しを受け、歌舞伎役者さながら「かち(徒歩)のみでござるか!」と青ざめる。しかしウルトララッキーなことに入院先は徒歩10分の病院。この病院は新型コロナ患者の受け入れ病院になっていたのか。

再度言おう、徒歩10分。そう俺はついている。ウルトララッキーパースンだ。


入院の儀

3日分ほどの衣類等をバックに詰め、家族に「アビガンがばっと飲んで治ってくるわ!」と言って家を出た。3日前の緊急事態宣言の時に安倍首相がアビガンの効果が認められましたって言ってたから。

もう暗くなった道を近距離で人様とすれ違わないように歩きながら病院に着くと病院裏の緊急搬送口のそのさらに奥に新型コロナ患者受け入れドアが。

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常にドアが解放されている、外部と直結の普段は倉庫間違いなしの診察室

診察室に入ってしばらく待っていると看護師さんが現れ先ずは検温。

36.4℃。平熱。

人生2度目のPCR検査を受けるもやはり今回も鬼滅の棒。炭治郎もびっくり

看護師はなぜもこう鼻の奥の秘孔を突けるのだろう。棒の先の綿に浸されている薬剤にケンシロウが潜んでいるのか?こちらはアベシでヒデブになる。

 その後放射線室に移りCTで肺の検査をし暫し待機。因みにCT室もすべて使い捨てのポリでおおわれている。入院患者が入るたびに張り替えているのだろう。それだけで大変な労力をかけている。

しばらくすると初対面のぎょろり先生が現れる。

もちろん偽名である。実名なんて出せない。医学界なんて派閥の塊と聞いている。僕がぎょろり先生の本名記載することで間違っても先生に迷惑をかけるわけにはいかない。

目力の中に潜む慈愛の眼差し。敬意をこめてぎょろり先生と呼ばせていただくしかない。

撮りたてCTの映像を見ていたぎょろり先生、開口一番「あー、典型的なcovidの肺炎症状でてるねー」

まじか、たった3日前のレントゲンでも出てなかったのに。と先生に伝えると、このウイルスは発症から10日目位が一番ウイルス増殖しその後数日で急減する傾向があるらしい。

されば先生、一刻も早く回復、復帰したいんでアビガンがぶがぶ投与してくださいとお願いすると、

「アビガンなんて飲んじゃダメ!中症、重症のイチかバチかだったらアビガン処方することもあるけど」今はまだアビガンで良くなったかどうかの信頼に足る統計データも出てない上に明確になってる副作用だけでなく未知の副作用リスクもあるからと。

な、なぬ!緊急事態宣言で安倍首相が高らかに有効性ありと言ってたじゃないすかと食い下がると  

「医者ならみな分かってるけどあれは日本の薬を海外に売るためのポーズ。政治。現にドイツは昨日アビガン輸入決めたねー」って。「副作用リスク読めない中でよほど勝負じゃないと今は使えないよ」って。

なんと、政治に踊らされてぬか喜びしたのか俺は! ガビガーン!

では重症化した時にこの病院にはECMO(エクモ:体外式膜型人工肺)あるんですか?ときくと先生はゴーグル越しにぎょろりとした目で

「エクモつけるとこまで行ったらまず助からないよ」と。 ガビガーン!

つまり新型コロナウイルスに罹るという事は丸腰、運と自分の生命力にかけるしかないことが判明。

といったところで完全隔離スペースとなったエリアを看護師さんに先導されコロナ病棟の病室へ移動。


コロナ病棟暮らし

病室に入るとこれまたフルフェイスの白い宇宙服姿の看護師さんに検温を促された。ついさっき診察室で36.4℃だったと、体感も変わってないと伝えるも入室時ルールなんでとフルフェイスゴーグル越しのつぶらな瞳でお願いされて再検温。

なーんと、いきなり38.5℃に。体感で分からなかった! 

「なんじゃこりゃ!」(松田優作風味)

この時に得体の知れない怖さが駆け抜ける。

初夜就寝(4月10日)

4月11日~4月13日

高熱が下がらず。脱水症状は危険とのことでぎょろり先生の指示で1日2リットルの南アルプスの天然水を飲むも回復せず深夜から点滴。

看護師さん頑張って点滴を入れようとするもフルフェイスゴーグルが雲って見えないようでなかなか血管に刺さらない。僕にとってもコロナ患者と濃厚接触状態の看護師さんにとっても苦行。

ようやく点滴が入ったときの看護師さんの表情は『金脈を掘り当てた西部の金鉱掘り』級の汗が滴る笑顔。のはず。曇ったフルフェイスゴーグルで見えないが。

点滴と南アルプスの天然水2リットルの日々が始まる。食事は異臭がしてとてつもなくまずいが回復したい一心で常に完食する。

4月14日

ウイルス増殖期を三日三晩昼夜ぶっとうしの点滴と水分補給で乗り切り平熱になる。

ぎょろり先生の言った通りピークは発症10日目からがピークであった。

そして不味いと思っていた病院食もなかなかイケる。なるほど僕は一般的に言われている「匂いがしなくなる」症状ではなく「匂いがきつく異臭として感じる」症状というタイプだったのだな。他では聞いたことないけど。

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https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14305

↑ 高熱の中頑張ってで調べた様々な統計データとも同じだった

容体が急変せずに熱が下がるところまで来た。容体は急変しなかったのだ。もう少しだ!

しかしテレビをつけると著名人、その他の方々の急変のニュースが次々と、回復傾向からの急変もあるのか。怖いからもうNHKの朝ドラ「エール」しか見なくなった。

ぎょろり先生曰く

「新型コロナウイルス感染症の容体の急変はウイルスというよりも未知のウイルスに攻撃された身体が自身を守ろうとして免疫が暴走することで起こる」と分かってきたと教えてくれた。

また「当然お年を召した方、基礎疾患がある方が重症化しやすい。しかし体力があり基礎疾患がない人でも免疫暴走による急変が多数起こっている」ことも教えてくれた。

この事実は退院後の5月にメディアで報じられた。日々コロナ対策会議に参加されている一線で働く医師ならではの情報力。

もうこうなると、PCR検査をパスしたい、ウイルスが消滅したことを確認したい、そして家族のもとに無事に帰りたい。兎に角その想いだけだった。

入院して5日目、僕の身体はたったの5日間で勝手に結果にコミットしていた。あばらが浮くほどのダイエットに成功していた。一歩も出れない病室に体重計はないので正確な減量値はわからないのだが。

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4月16日

退院に向けた1回目のPCR検査実施

※2回連続陰性が出ると退院できる

相変わらず秘孔直撃のつらい検査だ。鼻血もでた。看護師さん曰く皆さん結構鼻血出ますねーと。そうですか。。。陰性でありますように。

4月19日

検査結果・・・陽性  

せめて妖精ならよかったのに

4月21日

2回目のPCR検査実施

今回の看護師さんは北斗七拳の主ではないらしく我慢できるつらさ。秘孔さばきは人によるのね。陰性の予感!

4月23日

検査結果・・・陽性  

せめて妖精ならよかったのに

ぎょろり先生は入院から毎朝7:00と夜の10:00過ぎに回診に来てくれる。夜は僕のベッドサイドバーに寄りかかって30分ほど二人で新型コロナ談義をするのだが子供のころ家庭の医学オタクだった、そしてずっと遺伝子オタクだった僕との話が妙に弾む。だから夜の回診はいつも僕の部屋が最後なのだ。

デオキシリボース、リボヌクレオチド、塩基配列、二重らせん構造に一本鎖配列。RNAウイルスは一本鎖なのでその話とゲノム解析の話がメインになる。

4月24日

3回目のPCR検査実施 

今回の看護師さんは更にふわっと優しく秘孔をなでる。フェザータッチだ。

4月25日

検査結果・・・陰性!

せめて妖精なら、いや院政だー!やほほーい!

次も連続陰性なら退院確定。しかしまた陽性だったら振出しに戻る"(-""-)"

ぎょろり先生曰く、PCR検査の精度はまだまだ低く死滅したウイルスでも拾って陽性が出る。よって2連続がなかなかでないと。なんじゃそりゃー!

4月27日

4回目のPCR検査実施

ここで来たかトキ!この看護師さんはトキ!奥義を知っている。秘孔を突く奥義を知り尽くしている。そこまで秘孔を永遠に突きまくったら死滅ウイルスでもブルース・ウイルスでもなんでも捕らえてしまうじゃないか!退院できないじゃないか!

家族にのもとに帰りたいのにー。子供たちが写真を送ってくれるマロンちゃんにも会いたいのにー

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4月28日

検査結果・・・陰性!

連続陰性確定!やほほーい!明日退院できる!

家族に会えるー


退院

4月29日

退院。20日間の入院を終え退院。

看護師さんにずいぶん長かったですねと言われる。

しかし看護師さんたちは本当にすごい、新型コロナの患者だらけの病棟で戦っているのだ。感染リスクの高い現場で。累計感染者数と死亡者数の比率を考えた事ある人はあまりいないだろうからお伝えすると

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そう、5%を超えているのだ。感染者100人中5人以上がお亡くなりになる。学校の一クラスあたり2.5人の死亡率なのだ。そんな事実に囲まれながら100人収容する病院だと5人以上が急変して亡くなるのを日々目の当たりにしてながら看護師さんたちは戦ってくれているのだ。今もあの病棟の看護師さんたちを想う。

顔までアルコール消毒やけで赤くなり、曇ったゴーグルの中必死で戦ってくれている看護師の皆さんを。

「コロナはただの風邪」とかいって都知事選のスローガンにしている人の神経がわからない。

確かに風邪でありそれが引き起こす肺炎の一種である、しかしワクチンも対応薬もない現状では間違いなく「ただの風邪」ではない。

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僕の「入院診療計画書」の一部


家に帰らない男。僕の事ではない。ぎょろり先生だ。

早朝から回診し、深夜まで回診しているぎょろり先生はいつ家に帰っていつ寝ているのか看護師さんたちに聞いてみた。みなさん似通った回答で

「先生は毎日24時間戦われています」 

やはりだ。参った。本物だ。日本医療の宝だ。そんな状態で僕と毎晩お話の時間を取ってくれていたのだ。コロナと戦っているのだ。頭が上がらない。

おっちゃん、いい加減家に帰って寝てほしい。


さあ、僕も家に帰ろう。

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20日間の入院でゲーヒージャーモージャーモー

エピローグ

政府が出す内容と実体験や僕が調べたデータとあまりにもかけ離れていて 恐ろしく思っていることをここに

加藤厚労相はPCR検査を不要とする理由について「国内外での研究では発症日から7~10日程度経過した場合にはウイルスが検出されない。また検出されたとしても感染性がほとんど無いという知見が示されている」と説明した。

本当に怖いんだけど。日本政府や役所。データのソースを知りたい。

上で書いたが発症後10日目からがピークだ。


おしまい

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次の話 新型コロナウイルスで入院した僕が今度は濃厚接触者になって隔離された話

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