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フォーマルの着物が変化するのは是か非か

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本日のお題:フォーマルの着物が変化するのは是か非か

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■フォーマルの着物が変化するのは是か非か

今週のお題は「フォーマルの着物が変化するのは是か非か」です。先日、ツイッターの着物ファンの中で議論になったレースの色無地から端を発して、入卒業式というフォーマルな場でレースの色無地を提案するのが果たしてどうなのか、いろいろな意見を拝見することができて私も非常に勉強になりました。

先に書いておきますが、今回の内容は「それは違う!間違ってる!」という方もおられると思いますし「その通り!」という方もおられるでしょう。メルマガの内容をうまく説明するためにあえて一般論に逆らって表現していることもありますし、そうじゃないところもあります。このメルマガを読んだ方がそれぞれ自由にお考えいただき、少し心の隅に留めていただければ幸いです。

一連の流れをご存じない方のために少し解説いたしますと、ある店がオリジナルのレース着物を卒入学式にと提案&販売したところから始まります。実物を手に取ってみたわけではありませんのであくまでも画像からの判断ではありますが、レースといっても夏物のような透けたものではなく、写真で見る限り地模様のある色無地のように見える、品のいい感じの着物でした。そしてツイッターの反応は「こんな変化があってもいいんじゃないか」「フォーマルな場でこんなのはダメ」…本当にいろんな意見を拝見することができて興味深かったです。

私の考えはといいますと、なかなか面白い提案をする店ですごいな、尊敬する。こんな着物があってもいいんじゃないか、と思います。ただ、入卒業式の着物が欲しい、と店頭に来られた方にこの着物をこちらからお薦めすることは絶対にありません。写真で見ると地模様のある色無地に見えるとしても、レースの着物であれば今までの既成概念の「フォーマルな装い」から若干外れてしまうからです。

反対意見の方の主張は概ね私がお客様に勧めない理由と同じ。フォーマルは周りとの調和、決められた装いの様式美というものが大事。なので一人だけ変な格好をすると浮いてしまうし、集合写真を撮った時にもおかしい。フォーマルはお相手があってこそなので、ドレスコードは変えてはいけないもの、という意見が多かったようです。

その意見については全面的に賛成です。全く異論はありません。

ただ、一つ言わせていただくと、そのフォーマルについての決まりごとは一体いつ作られたもので、そしてこれからも変わらないものなのでしょうか。例えば黒留袖はもともと留袖の下に白い着物を重ね着してましたが、現在は比翼仕立が一般的になりました。黒の一つ紋の羽織につける羽織紐は仏事でも慶事でも白ですが、この近年では仏事に限り黒をつけることが多くなっています。

また、ツイッターでも書きましたが男性の黒紋付羽織袴の半襟は仏事でも白ですが、某歌舞伎役者の葬儀の様子を拝見すると半衿を黒にしている方が多くおられました。ちなみにこの黒の紋付、半衿は白というのはある皇族が亡くなられた時に「参列する時の服装は黒の五つ紋付、半襟は白が望ましい」と宮内庁通達が出され、そこから一気に広まったと聞いています。宮内庁通達から広まったルールですら、この令和の時代になると変化したようです。

これは西欧で喪に服す際に黒を身につける文化が日本に入ったことから黒=弔事というイメージが定着したのでしょう。そして平成から令和になりますと、着物そのものが普段の生活から乖離してしまい、着物のしきたりやドレスコードも受け継がれにくくなったと感じております。現代の感覚では、ともすれば羽織紐や紋付の半襟が白いと慶事に見える方もおられるのでしょう。そういった社会的な感覚に合わせ、より弔意を示すものとして羽織紐や半襟が白から黒に変化するのもアリなのでは、と考えます。

もし法事などで一つ紋の羽織、白い羽織紐をつけて出かけて「あの人、お祝いみたいな羽織紐つけてきてる」と言われてまで今まで良しとされていたフォーマルな装いを守ることが正しいとは私は思いません。カジュアルほど極端な変化ではありませんが、フォーマルもゆっくりゆっくり、でも確実に少しずつ変化しているのです。

フォーマルは変えてはいけない。先ほども書いたようにその意見は大いに頷くところではありますが、それでは一体、現代における「フォーマル」のルールはいつ定まったのでしょうか。情報伝達が盛んになった現代でこそ、ようやく日本全国でほぼ標準化されておりますが、葬儀に振袖を着る地方、白喪服を着る地方もありましたし、それ以前は葬儀用の特別な服は日本にはなかったと服飾研究家の方からお聞きしております(これも日本全国で全くなかったかというとわかりませんが…)。現代の人が指す「フォーマルな装い」というのはたかだかこの数十年から百年程度の間に受け継がれてきたもので現代でも少しずつ変わり続けているものなのです。

このメルマガを書くにあたって、件のレースの着物を販売している呉服店の社長のブログも拝見いたしました。許可をとっていないので引用することはいたしませんが、ルールがあることはわかった上でちょっとおしゃれも楽しみたい、というニーズもあり、そのお相手との関係、状況を総合的に考えて失礼のないようにレースの着物を選んでください、という風に読み取りました。

お客様が迷っているのに「最近はこういうのもOKだから!」と無理にお勧めするというのではなく、多様化するニーズに応えるように、あくまでも「こういう着物はいかがですか?」という新しい提案のようです。

正直、微妙な立ち位置の着物と思います。ツイッターでは新しい提案が面白い、という方がいらっしゃる一方で、これを式典に着ていくのはダメでしょう、という方もおられました。なので初心者の方にはお勧めいたしません。着物警察に捕まって「その着物はダメよ」といわれて1日凹むような方は手を出してはいけません。着物を着慣れていて自分だけの装いを楽しんでいる方、自分の軸をしっかり持っている方でないと着こなすことはできないと思います。

もちろん調和は大事です。ただ、最近はジーンズなど普段着で入卒業式に出席する方もおられます。着物を着ること自体フォーマルと見る方もおられます。入卒業式がどこまでフォーマルな場と定義するか、この着物をどこまでフォーマルと認めるか、その境界線は非常に曖昧であり、フォーマルなルールはわかった上でこのレース着物という新しい提案をされたんでしょう。異論は多々あったとは思いますが、冒頭で書いたように私はこの着物を作り、提案した店はすごいな、と思います。

先ほどから何度か書いている黒羽織の羽織紐ですが、あるメーカーが仏事用に黒い羽織紐を販売したところ、時代にあっていたためかあっという間に広まっていきました。これも一つの提案が定着した一例ですよね。

このレースの着物を見て「素敵、フォーマルで着てもいいじゃない」という方、自分は着ないけれど他人が着ていてもなんとも思わない方、自分は着ないし他人が着るのも否定的な方、感じ方はそれぞれだと思います。提案というのはそういうもので受け入れる人が多ければフォーマルの定義が少し変わるかもしれませんし、受け入れる人が少なければ今まで通りなんでしょう。

「レース着物 卒入学式」で検索すると社長の書いたブログが2番目にヒットします。真摯にお客様のニーズと向き合う店の姿勢がよくわかりますのでよろしければお読みいただければ、と思います。

最後に、「省エネルック」ってご存じですか?今でいうクールビズなんですが、簡単にいうと半袖の背広です。政府を挙げて普及に努めましたが、今から思えばコントのような背広で全く定着せずあっという間に消えて行きました。しかしこれも一つの提案で、みんなが良しとすれば定着し、夏の男性用の黒の略礼服も半袖になっていたかもしれません。異論はあるかもしれませんが時代に合わせて提案をしていくのもまたいいのではないか、と思いますがいかがでしょうか。

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや

住所:大阪市大正区泉尾3-15-4

電話:06-6551-8022

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