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リサイクル着物の裄のお話

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本日のお題:リサイクル着物の裄のお話

呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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■リサイクル着物の裄のお話

今週のお題は「リサイクル着物の裄のお話」です。最近当店の着物の商品説明に「裄の縫い代は○cm程度ありそうです」という一文が追加されているのはお気づきでしょうか。リサイクル着物店をやっていて一番多い質問が「この着物の裄はあと何センチぐらい出せそうですか?」というものですので、それなら商品登録時に調べて前もって書いておいたほうが親切だな、と思って始めた次第です。

まずは裄という寸法について説明いたします。

裄とは「ゆき」と読みまして、「裄丈(ゆきたけ)」と呼ぶ方もおられますが同じ意味です。背中心から袖口までの長さを指し、洋服でいう「袖丈」と同じ腕の長さの寸法です。ちなみに着物にも「袖丈」という寸法がありますが袖山から振りまでの長さで、洋服とは全く違うところを指しますのでご注意ください。たまに話が噛み合わないことがあります笑。

裄の標準的な寸法は身長150cm程度の方で62cm-64cm程度、155cm程度の方で64-66cm程度、160cm程度の方で66cm-68cm程度というところでしょうか。手を斜め45度ぐらいに下ろして背中心から手首のグリグリまで測るとこのぐらいの長さになっていることが多いはずですので初めてリサイクルの着物を購入する時にはこのぐらいの裄の物を選んでおけば短すぎたり長すぎたり、ということはないと思います。

が!

身丈はお端折りで調整できますし、身幅は打合せでなんとでもなりますから(だから着物を着ていると多少太っても気づかない…というのは余計ですかそうですか)、洋服と違って着物の寸法って非常に柔軟で調整しやすくなっているんですが裄だけは別です。他の主な寸法は着付けの仕方で簡単に調整できるのに対して、裄はそうはいきませんから裄の長さだけはしっかりと確認して選ぶ必要がございます。

短いのはまだいいんですよ。着物を着てずっと「気をつけ!」の姿勢をしているわけでもあるまいしグリグリより多少長くても短くても他人は意外と気がつかないので多少寸法が合わない程度でしたらそういったこともリサイクル着物の楽しみ方と思っていただければリサイクル店としてはとても嬉しいです。

しかし長着よりも長襦袢の裄が長いのはいけません。そのまま着てしまうと袖口から長襦袢が出てきて昔でいう「シミチョロ」状態になりみっともなく見えてしまいますので全力で避けてください。え?シミチョロって?シミチョロってのは、昔女性物の下着のシミーズ(スリップみたいなもんですかね?)がスカートの裾からちょろっとはみ出てる状態のことを指すんですけどこんな単語、もう50代以上の人しかわかんないですよね笑。

それはさておき、長襦袢といえどやはり下着ですので外から見えるのはあまりよろしくないですし、いかにも寸法の合わない着物を着ていますというように見えてしまいますのでいくらリサイクル品といえどシミチョロ…じゃなくてジュバチョロは避けたほうがいいです。ちなみにフルオーダーの場合、着物の裄より長襦袢の裄は4mm-8mm(1分-2分)程度短くして袖口から出ないように仕立てられます。

しかし、リサイクル品を購入するのにお持ちの長襦袢の裄と寸法がぴったり合ったものから選ぶというのも不可能な話ですし、せっかく気に入ったのに裄が少し短いからと諦めるのは悲しいですよね。要は長襦袢が袖口から出なければ目立ちませんので、襦袢の肩口あたりを糸や安全ピンでつまんでしまえば大丈夫です。振りの部分からは出てくるかもしれませんが、手を下ろせばそれほど目立つわけでもありませんし、袖口ほど目に止まらないので、これこそリサイクル着物の醍醐味と思って気楽に着ていただければ幸いです。

どうしても自分に合った裄にしたい、という場合は裄の寸法直しをすることができます。身丈を直すには腰の部分の内揚げを解き、衿を外して身頃の縦の縫い目を全て解く必要があるのに対して、裄を直すのは肩口の部分を解くだけですので比較的安価にお直しをすることができます。ただし当然のことながら縫い代部分に生地が余っていないとどうにもなりませんのでその点は注意が必要です。

また、表地ばかりに目がいってしまいがちですが、袷の場合は表地の縫い代が十分あっても胴裏の縫い代がなく裄が出せないという場合もあるので注意が必要です。また、袖側に縫い代がたくさんあればいいのですが、身頃側に多くありますと肩を外側に少しずらし、極端な言い方をすれば身頃が逆三角形のようになって肩山から袖山にかけての線が一直線ではなくわずかに角度がついてしまう場合がございます。多少角度がついた程度では着用している分にはほぼ分かりませんが、そういう出し方をしていることをご存知なければ着物をたたむ時に「あれ?」と思うかもしれませんね。

裄直しをする場合、今まで縫っていた跡が残っていることが多いのでより綺麗に直そうとすれば悉皆屋さんで縫っていた跡を消してもらう「筋消し(すじけし)」という作業が必要ですが、せっかく安く購入してくださっているリサイクル着物ですので、当店ではアイロンのみで目立たないようにしてできるだけ費用がかからないようにしております。経験上ほとんどの場合アイロンのみでかなり薄くなりますのであまり必要はないかと思いますが、お客様が完璧にしたいと望まれるのであれば、もちろん悉皆屋さんに出すことも可能です。

最後に、可能ならば着物を着始めたらできるだけ早いうちに自分の裄を把握しておくことをお勧めいたします。先ほど書いたように、他の寸法はあまり神経質になる必要はございませんが、裄はほぼ調整が効きませんし、下に着る長襦袢との兼ね合いもあり色々と制限の多い寸法です。

一昔前、着物をお仕立てするのが当たり前の時代ならば、寸法は呉服店にお任せしていたらぴったり合う寸法で仕立てましたので、どの着物にどの長襦袢を合わせてもどのコートや羽織を合わせても下から長襦袢や長着が出てくるといったことはありませんでした。しかしリサイクル着物を中心に購入するのであれば、全てピッタリ寸法を合わせることは費用をかけて逐一裄直しをしない限り不可能です。

しかし不可能であることは理解した上で、購入時にこっちの着物にしようか、あっちの着物にしようか、と迷った時にできるだけご自身の裄に近い寸法の方を選ぶなどすれば、お召しになる時に肩口を糸で止めたりといった手間が省けることもございますので寸法を把握しておいて無駄なことはないと思います。

もし自分の寸法が全くわからないという方は、お持ちの着物をちゃんと着て斜め45度に手を下ろして、手首のグリグリ部分まで何cmかを測って着物の裄に足し引きすれば正しい裄の寸法を出すことができますのでよろしければやってみてくださいね。

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや

住所:大阪市大正区泉尾3-15-4

電話:06-6551-8022

https://www.kikuya.shop/

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