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袖丈の寸法で大ゲンカした話

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本日のお題:袖丈の寸法で大ゲンカした話
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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■袖丈の寸法で大ゲンカした話

今週のお題は「袖丈の寸法で大ゲンカした話」です。と言っても最近のことじゃありませんよ。もう20年以上前の話でして、まあ私も当時は若くて血気盛んというかなんというか、今だったら喧嘩にならないようなことでも、無策で真正面からぶつかってしまう青二才でした笑。

当時私が勤務していた店には、私ともう一人、それに店長、合わせて3人店員がおりました。複数の店舗を持つ呉服店の一つで、本部からある程度の販売ノルマを課せられており、多少殺伐(?)としていたような記憶があります。店長は70歳近い女性だったのですがこうと思ったら曲げない方で、店員に厳しく指導するので何人も辞めていきました汗。

今から20年前といえばまだ着物がよく売れていた時代です。ちょっとキツい店長や本部のノルマに店員が疲れていたとは言え笑、訪れるお客様は一定数おられて店内もそこそこ賑わっておりました。

あるとき、お嬢様のために訪問着を誂えるお客様がいらっしゃいました。正確な身長までは覚えておりませんが、標準的な背丈のお嬢様でいらしたと思います。その時に寸法をうかがっていた店長が、袖丈1尺5寸(約57cm)と書き込みました。訪問着の標準的な袖丈は1尺3寸(約49cm)ですから、8cmほど長い寸法です。

一昔前…いまから50年か60年前は、若い方の着物の袖丈は少し長めに誂えておいて、結婚した後で1尺3寸に詰めるのが一般的でした。結婚前に花嫁修業として和裁を習う女性が多く、ほとんどの方が多少のお直しならご自分でされていた時代です。つまり、当時はわざわざお金をかけて呉服店に袖丈直しを依頼する必要がなかったのです。

先ほど書きましたように店長は70歳近い方で、若い頃に身につけた着物に関する知識がアップデートされていないと感じることがたびたびありありました。

50年ほど前といえば着物がまだ生活に密着しておりましたので、結婚前に訪問着を着る機会も多々あったでしょう。しかし私がその店に勤務していた頃には少しずつ着物離れが進んで社会情勢も変化し、結婚後に訪問着を着て親戚へのあいさつ回りをするようなことはあっても結婚前に着る機会はほぼ皆無だったと思います。訪問着の袖丈を長く誂えることは、数10年前なら一般的だったのですが…。

着物離れが進んでいたとはいえ今から20年あまり前はまだ、結納の時に留袖や訪問着、色無地などを頂いて、そのお返しには紳士物の大島紬のアンサンブルを渡す、なんて風習も色濃く残っておりました。何度かこのメルマガでも書きましたが、婚礼のお道具をトラックに乗せて新居に運んだ後、お嫁さんがどんなお道具を持ってきたのか隣近所が見に来るといった、今から思えば嫌がらせのような風習もあったんですよ。タンスの中の着物までお披露目されるのですが、そういった時代背景もあり、結婚が決まってから一度に仕立てるのは大変なので少しずつ着物を揃えていくことがごく当たり前に行われておりました。

結婚の予定がなくても訪問着を仕立てる方が少なくありませんでしたから、店長は未婚女性の訪問着を誂えるときにはいつも1尺5寸の袖丈にしていたんです。しかし一度も着られないまま1尺3寸への袖丈直しを依頼されることが多々ありました。未婚女性だからと訪問着の袖丈を1尺5寸で仕立てても、結婚後にまたお金をかけて1尺3寸に袖丈を詰めることになります。結婚前にほとんど着る機会がないのが想像できるのに、それを提案しないでお客様にお金をかけさせていることが私にはすごく不親切なことのように思えたんです。

そんなわけで、当時ちょっと着物がわかってきた程度の私が「店長、ちょっとそれ不親切じゃないですか?」と豪速球で指摘しちゃったんですよね。今から考えたら、相手にもプライドがあるのだからそんな言い方をして素直に聞いてもらえるわけがありません。それでも若さなのか向こう見ずなのか、言っちゃったんですよ。

血気盛んで何もわかってない青二才だった私は、着物がまだ生活に密着していた大昔の風習を変えずにいることが疑問で、それをそのまま口にしてしまったんです。ほぼ着ないことがわかっているにも関わらず「1尺5寸で仕立てておいてまた後から1尺3寸にしてくださいね」というのは、どうにも納得いかなかったんですよね。

結局この大ゲンカの結末はどうなったのか、店長がなんと言い返されたのか、袖丈は結局どうしたのかも全く覚えておりませんが、あんな剛速球をまともに投げられては快く意見を聞いてはくださらなかったでしょう。今だったらもう少しうまい変化球を使って、プライドを傷つけないよう上手に指摘できると思いますが、あの頃は若かった…。

最後に、背の高い女性が増えてきた昨今、その身長に比例して袖丈を1尺4寸や1尺5寸にすることもありますが、何度かこのメルマガでも書いたように現代の標準が事実上1尺3寸に決まっているため、それよりも長い袖丈にするのは少し躊躇します。もちろん背の高さに比例するのが一番きれいではありますが、既製品の長襦袢やコートなどはすべて1尺3寸用で販売されている以上、すべてフルオーダーで仕立てるセレブな方は別としても、既製品をうまく取り混ぜて着物を楽しもうという方だと常に袖丈が違うことを意識しなくてはいけなくなります。昔の人が体に合わせて仕立てたリサイクル着物であっても、1尺3寸が一番多いですしね。

たかが袖丈、されど袖丈、色々悩ましいところです。

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