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祇園祭といえば展示会でした

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本日のお題:祇園祭といえば展示会でした
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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■祇園祭といえば展示会でした

今週のお題は「祇園祭といえば展示会でした」です。京都の夏の風物詩といえば祇園祭ですよね。京都以外の方は祇園祭は山鉾巡行だけと思っておられる方が多いのですが、7月1日の吉符入りから7月31日の疫神社夏越祭まで1ヶ月にわたって多くの行事が行われ、これらを総称して「祇園祭」と呼びます。

注:一時は交通規制が大変だという警察の要望で7月17日に全ての山鉾が巡行しておりましたが、2014年から以前のように前祭、後祭と分けるようになり、現在は7月17日と7月24日に巡行が行われるようになっています。

この祇園祭、呉服業界と相性がいいんですよね。メインストリートである烏丸通の西側に室町通という通りがありますが、呉服業界で「室町」というと通りの名前ではなく烏丸通の西側の呉服問屋が密集する地域全体を指します。このほぼ全て呉服問屋という室町周辺では、問屋の蔵に山や鉾が保管されているのも珍しくありません。当店の取引先にも鉾や山を保管しておられる会社がいくつかあります。

今では全国的に有名なお祭りですが、元々は地元の町内会のお祭りでその町内ごとの山や鉾を飾るというものですから、室町周辺の町内の呉服問屋がお金を出して重要文化財級の緞帳などを飾り、お稚児さんを乗せて練り歩いていました。今では生き稚児(本物の人間のお稚児さん)は長刀鉾だけになってしまいましたが、昔は多くの鉾にお稚児さんが乗っておりました。しかしお稚児さんに選ばれるとものすごいお金がかかる(注)ということで最近はお人形さんを乗せる形態に変化しています。

注:お稚児さんに選ばれると大変なんですよ。一ヶ月間は母親といえど女人禁制ですのでお世話係の男性を雇い、馬を用意し、近所にご祝儀を配り…聞くところによると1000万-2000万の費用がかかるとか…。ええトコの子しかなれません。

この業界、7月初めになるといくつかの問屋から「祇園祭のため7月11日から17日まで休業します」なんてお知らせが来るんですよ。この業界に入った頃は、お祭りをするから休みってなんというオッペケペーな業界だ、と思いましたが問屋の立ち並んでいる通りに山や鉾が建つのでトラックが入れなくなり商品の出荷ができずお休みになるということらしいです。

その一方で祇園祭だからこそ頑張るという問屋もあります。

私のような大阪人にとっては「京都は近いしいつでも行けるわいな」と思っているのですが(でも行かない、近い人あるある)遠方の方には祇園祭開催中の京都というとワクワクする場所なんですよ。いや、京都人にとっても一大イベントには違いないんですが、フットワークが軽い好奇心旺盛な女性、とりわけ着物が好きな方にとっては夏だ!京都だ!祇園祭だ!と特に魅力的なイベントになりえますので、各問屋は祇園祭にかこつけた展示会を開催するのです。

展示会といっても問屋は消費者と直接つながっているわけではありませんので、小売店にお客様を連れてきてもらうという形です。問屋は社内で展示会を開催し、集客を受け持つ小売店は馴染みのお客様を祇園祭&展示会にお誘いするのです(力を入れている問屋は別会場を借りて大々的に展示会をするところもあります)。

以前私が勤務していた店は大阪でしたので車で1時間も走れば京都に到着しますが、問屋の取引先は大阪だけではありません。近畿一円はもちろん、関東、北海道からも旅行を兼ねて来られるのです。この「遠くからも旅行を兼ねてこられる」というのはとても大事なところですので覚えておいてくださいね。あとで出てきます。

余談ではありますが、随分前に破綻した某大手チェーン店は祇園祭シーズンの展示会を大々的に開催して日本全国からたくさんのお客様を集め、年間売り上げのかなりの割合をこの祇園祭の時期にあげていたそうです。そこまで極端なのは珍しいですが、やはり呉服業界にとって祇園祭は特別なイベントであるということに間違いありません。

私の勤務していた店は小さな店だったのでお連れするお客様も20人程度でした。バスを用意して京都までお連れし、展示会場に着いたら会場内でお昼ご飯、そしてここからが勝負の時間…そう、展示会です。店のスタッフ数人では20人ものお客様のお相手はできませんので、会場内の「マネキンさん」と呼ばれるアドバイザーの方々に商品案内はある程度任せて、私たちは値引き交渉や伝票を書くなどの役割を主に担っておりました。

その後、皆さんに一通りお買い上げいただいたらお楽しみの祇園祭を見学していただいて、その後鴨川の納涼床や嵐山の鵜飼(その年によって企画は色々変えていました)にお連れして大阪に帰る、そんな1日でした。

さて、だいたいの流れがわかったところでここからが今日のメルマガの本番です。色々詳しく書きましたがまだ本番じゃなかったんですよ笑。

先ほどから何度か「祇園祭には全国からお客様が集まってくる」と書きました。会場にいる方々(他の呉服店のお客様)に「どこから来たんですか」なんてことは聞かないので実際にはわかりませんが、関東や中国地方あたりは当たり前、もしかすると飛行機代も下がってきていましたから沖縄や北海道の方も招待されていたかもしれません。

ここで気になるのはその旅行費用。呉服店からの招待ということであればあまり安いホテルに泊まっていただくわけにはいきませんし、食事もそれなりのものを用意しなければなりません。安く見積もっても5-6万、遠方の方ですと交通費と宿泊代、もしかすると2泊来る方もおられるかもしれず、10万以上かかってもおかしくありません。

超VIPのお客さんがたくさんおられる店でしたら5万や10万経費をかけたところでなんてことはありません。私のような庶民では考えられないですが、世の中には展示会で「今日はいいのがないけれど今回お世話になったからこれ頂いとくわ」と200万や300万の着物をポンと買う人がいて、そういうお客様を相手にしている呉服店も多いんですよ。そのような方に5万や10万の旅行代は請求できません。

ちなみに私が勤務していた店では京都は近かったため宿泊まではせず、バス代とランチ、夜のお食事代程度の負担でしたので(でも祇園祭の時期の夜の食事は高い!)1人あたり2万円ぐらいの負担でしたでしょうか。お客様の方も祇園祭の展示会に行くと何か付き合いで買わないとダメだろうな、とある程度覚悟してこられているので比較的売り上げは作りやすかったです。

これを聞いて「そんなイベントだったら行ってみたいな、5万ぐらい買えばいいかな」なんて思った方は甘いです笑。先ほどから書いているように祇園祭の展示会は呉服店がある程度旅費を負担して日本全国からお客様が来られますのでそれなりに売り上げを取らないといけません。すごく嫌な言い方になってしまいますが5万や10万買っていただいても元は取れず赤字になってしまいます。

高額売り上げを期待して開催する展示会ですので、会場にはそこそこ値の張るものしか置いていません。あっちを見れば20万の着物、こっちを見れば30万の着物、それを買っていただいたらそれにまだ仕立て代、胴裏、八掛、ガード加工で10万プラスという感じでしょうか。例えば5万の経費で1人お連れするのであれば最低30万、できれば50万で何とか利益が残ったとばかりにホッと胸をなでおろします。もしお友達と2人一緒に行きたいというなら2人併せて100万とは言いませんが、80万は買ってほしいな、と思っている店は多いかもしれません。80万というと大きな金額ですが、商品代金を問屋に支払い、旅行経費なども支払っていると意外と利益が残らないというのが現実でした。

私が勤務していた店は店長がなかなかのやり手でしたから、事前にお伺いする問屋に行って「当店はあまり経費がかかっていないので安いものも用意しておいて欲しい」という交渉をしておりました。あまり高いものばかり並べてみても買えない方もおられますので、言い方は悪いですが「滑り止め」とでもいいましょうか、そういう商品を用意してなかなか買ってもらえない方は最後にそういう商品を見ていただいて売り上げ0を無くすようにしてたようです。具体的な数字を書くと比較的手の出やすい5-10万程度の商品を他の呉服店のお客様は入れない別室に用意してもらっていた記憶があります。

こういうことを書くと呉服業界は怖いところだ、とかなんとか言われるんですが、この辺はやはり商売ですので損得勘定をしっかりとしておかなければならないということで理解していただきたいところです。私は旅行に連れて行って、その経費を捻出するために頑張って販売しなくちゃならないというような商売はもうやりたくないですけどね。呉服屋の旅行付きの企画は大体商品代金に旅行代が上乗せされて割高になっていることが多いためあまりお勧めしたくないのが正直なところです。

現在は生活様式の変化で着物の需要が減ってきており、ここまで大々的な展示会を開催する問屋は少なくなっており、また呉服店側もそこまで経費をかけてお客様をお連れするということが少なくなってきたように思います。ちなみにしがないリサイクル屋さんの当店には問屋から「祇園祭の展示会するんですけどお客さん連れて一緒に来られません?」というようなお誘いは一切ないです笑。

今日は祇園祭という優雅なお祭りの裏でこういうシビアな展示会が行われていたというお話でした。

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022
https://www.kikuya.shop/

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